[文書名] シップリー・ニュー・ジーランド首相歓迎晩餐会における橋本内閣総理大臣の挨拶
ジェニー・シップリー・ニュー・ジーランド首相閣下、ご列席の皆様
本日、シップリー首相とバートン・シップリー氏をお迎えして晩餐を共にすることが出来ますことは、私にとって大きな喜びであり、心からの歓迎の意を表したいと思います。
シップリー首相閣下
私たちは、先ほど短時間ながら充実した初めての首脳会談を行いました。その中で、私は、両国の関係が包括的かつ成熟したものであることを改めて認識しました。日本とニュージー・ランドは、赤道を挟んで同じく太平洋に位置するパートナーとして、地域問題及び国際問題について協力を深めています。このような両国の良好な関係は、政治的及び経済的なつながりのみならず、両国の市民の盛んな交流に支えられています。ちなみに、私の選挙区である倉敷市とシップリー首相の地元に近いクライストチャーチ市との間では、二十五年来、活発な姉妹都市交流が行われています。
シップリー首相閣下
私は、貴首相と初めて会談を行い、さまざまな問題に関する貴首相の見識に強い印象を受けました。貴国は、世界に先駆け経済改革を始めとする構造改革を成し遂げてこられました。私も我が国のシステム全体を改革することなくして「明日への自信」はないとの信念の下、行政改革を含む六つの改革を推進しています。この機会に、シップリー首相には是非成功の秘訣をこっそり教えていただければと思っています。私としては、このような素晴らしい首相の指導力の下、ニュー・ジーランドが現在直面している社会福祉の改革などの課題に成功裏に取り組んで行かれることを祈念しています。
シップリー首相閣下
昨年四月、私は、ニュー・ジーランドを訪問しました。そこでのニュー・ジーランド国民の歓迎振りとともに、自然の美しさが深く印象に残っています。
また、一登山家として、エベレスト初登頂を成し遂げたヒラリー卿の国として強い愛着を有しています。今日ここにお招きした有名な登山家の田部井淳子さんも同じ思いを持っておられるでしょう。彼女は、女性として初めてエベレストの登頂に成功した方です。
今晩の晩餐会には、ニュー・ジーランドとの友情を支えて下さっている多くの方々をお招きしています。日本のラグビー・チームに何人ものニュー・ジーランドの選手を連れてきて、我が国のラグビーの向上に尽力されているのが、日本ラグビーフットボール協会の金野会長です。いつの日にか日本がオール・ブラックスに勝ことができると、私には、最近勇気がわいてきているのです。
杏里さんは、ニュー・ジーランドの観光キャンペーンのイメージソングを歌っていらっしゃいます。
それから、長野県古牧小学校の倉島校長と櫻ヶ岡中学校の小沢校長にも来ていただきました。この二つの学校の生徒は、長野オリンピックでニュー・ジーランドの選手を声をからして心から応援したのです。こういう小さな友情こそ我々二国の将来を保証する最も重要な投資です。
こういう広い豊かな友情と交流の上に、両国と両国民の協力を一層強く築いていきたい。それが私の願いであります。そして今日ここにご参集いただいたすべての方々の願いであると信じます。それでは、ここにシップリー首相閣下をお迎えして、両国の実り多い将来の発展を共に祈念し、乾杯をいたしたいと思います。これに加え、シップリー首相とバートン・シップリー氏の銀婚式が四月二十八日であると聞き及びました。一か月以上も早いのはよくわかっています。政治家には、この程度の誤差は許されるでしょう。従って、今夜、せっかく多くのニュー・ジーランドの友人達が集うこの機会に私ども夫婦からも、心からのお祝いを申し上げたいと思います。
乾杯