[文書名] 重要鉱物協力強化に関する日豪共同声明
本日発表された「経済安全保障協力に関する日豪共同宣言」の下、日本及びオーストラリアの両首相は、重要鉱物を両国の経済安全保障関係の中核的な柱として格上げすることを、ここに共同で表明する。
先端製造業やエネルギー移行、更には広範な経済安全保障の観点を含め、重要鉱物に関する日豪間の戦略的連携の重要性は、日本とオーストラリアの「特別な戦略的パートナーシップ」を一層強化するものである。
重要鉱物のサプライチェーンが集中していること、及びそれが川下産業に及ぼす影響に対する懸念を共有し、両国は、「日豪重要鉱物資源パートナーシップ」等の既存の枠組みを更に積極的に活用することも含め、投資や重要鉱物サプライチェーンの多角化に係る協力を強化することにコミットする。
この協力には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を含む公的金融手段及びオーストラリアの重要鉱物戦略備蓄等のイニシアティブの活用や、両国の関連法令に沿う形での規制手続の合理化のための措置を含む、政策協調及び情報共有の更なる深化が含まれる。
日本とオーストラリアは、両国における鉱山開発、精錬、下流の製造工程において、最も緊急性の高いサプライチェーン上の脆弱性に対処するための戦略的プロジェクトに重点を置く。
オーストラリア政府は、重要鉱物ファシリティ及び豪州輸出金融公社(EFA)を通じて、日本が関与する重要鉱物プロジェクトに対して、非拘束的な支援表明書(Letters of Support)も含む約13億豪ドル規模の支援を行っている。また、日本政府は、JOGMECを通じて、以下のプロジェクトに約3.7億豪ドルの投資・助成金支援をしてきており、これらプロジェクトの進展に応じて、更なる投資・助成金支援を行う予定である。我々は、我々が共有する重要鉱物プロジェクト・パイプラインにおけるより一層の緊密な連携を通じて、これらに更なる成果を積み上げていく。
両政府は既に、重要鉱物のサプライチェーンを実質的に多角化し得る以下の優先プロジェクトを特定している。
優先プロジェクト
・ ライナス・レアアース・プロジェクト
日本及びオーストラリアの産業の協力を象徴する重要鉱物分野のフラッグシップ事業。2011年には、双日株式会社及びJOGMECによる合弁会社(JARE)が、ライナス・レアアースに対する出融資を行い、軽レアアースの生産開始を実現した。更に2025年には、重レアアースの生産開始という新たな節目を迎えた。
・ アルコア・ガリウム・プロジェクト
本プロジェクトは、アルコア社が、双日株式会社及びJOGMECの合弁会社(JAGA)とともに、西オーストラリア州のアルコアの既存アルミナ精錬所の一つにおいて、半導体、LED、太陽電池等に使用されるガリウムの回収を進めるものである。本プロジェクトは、日本、オーストラリア、米国の各政府からの出資支援が予定されている。
・ マグニウム・マグネシウム・プロジェクト
マグニウム・オーストラリア社は、西オーストラリア州において、環境負荷を低減した低炭素プロセスを用い、自動車及び航空宇宙分野を含む軽量化用途で広く使用される高純度マグネシウムの商業生産を計画している。日本の商社である阪和興業及び日本政府も、本件への関心を示している。
・ タイヴァン・蛍石・プロジェクト
西オーストラリア州に位置するスピーワー・蛍石・プロジェクトは、住友商事及びJOGMECが、Tivan Limitedと連携し、半導体やEV等の先端用途で用いられるフッ化水素酸の原料である高純度蛍石の生産を目指す、日本政府支援のプロジェクトである。本プロジェクトには、EFAから非拘束・条件付きの支援意向も示されている。
・ RZリソーシズ・重要鉱物・プロジェクト
ニューサウスウェールズ州のコピ重要鉱物プロジェクトは、ミネラルサンドを対象とした開発事業であり、重要鉱物及びレアアースの供給を目指すものである。RZリソーシズ社が所有し、JX金属及び丸紅が関与している。本プロジェクトは、豪州輸出金融公社及び米国輸出入銀行から、重要鉱物プロジェクトとしての非拘束的な支援意向を受けている。
・ アルデアリソーシズ・ニッケル・プロジェクト
カルグーリー・ニッケル・プロジェクト(グーンガリー・ハブ)は、豪州最大級のニッケル・コバルト資源の一つである。本プロジェクトは、アルデアリソーシズ社、住友金属鉱山株式会社及び三菱商事株式会社との合弁により開発が進められている。日本政府は、経済安全保障推進法に基づく助成金を通じて、強靱かつ安全な重要鉱物サプライチェーン構築を目指している。また、本プロジェクトは、豪州輸出金融公社及び米国輸出入銀行から非拘束・条件付きの支援意向を受けている。さらに、オーストラリア政府は、本件をInvestor Front Doorパイロット制度の対象案件として選定しており、同制度は政府とのプロジェクト対応を円滑化することを目的としている。
両国は、貿易ミッションの実施頻度の向上や、重要鉱物分野における鉱山事業者、投資家、金融機関、オフテイカー間の議論促進等を通じて更なる戦略的優先プロジェクトの特定に向けた協力を更に強化する。
また、重要鉱物分野における集団的な取組を強化するため、米国を含むその他のパートナー国とも連携を深めていく。