[文書名] 日米豪印外相会合共同声明
1. 我々、豪州、インド及び日本の外務大臣並びに米国の国務長官は、インドが主催する日米豪印外相会合のため、2026年5月26日、ニューデリーに集まった。
2. 我々は、大きな課題のみならずかつてない好機が伴う時代に会合を行う。紛争、地政学的緊張及びグローバル・サプライチェーンへの圧力の最中にあって、我々は、インド太平洋の平和、安定及び繁栄が国際法の堅持及び紛争の平和的解決にかかっていることを再確認する。我々は、法の支配、主権及び領土一体性を守るというコミットメントを再確認する。我々は、イノベーション、新興技術及び信頼性のあるパートナーシップが、インド太平洋地域の内外における経済的繁栄を推進する大きな潜在力を有していることを認識する。我々は、力又は威圧によるものを含め、緊張を高め地域の平和と安定を損ない、現状変更を試みるものであって、不安定化をもたらすような又は一方的なあらゆる行動に強く反対する。
3. 我々は、各国が強じん性を発展させ、自らの運命を自らの手で決めるために必要な自律性を強化することを可能にする自由で開かれたインド太平洋への支持を確認する。そのため、我々は、地域に具体的な利益をもたらすべく、更に協力を強化し、具体的なイニシアティブを推進することで一致する。
4. 主要な海洋地域における動向は、重要なシーレーンの脆弱性と途切れることのない通商の流れに対するリスクを強調している。これらの課題は、グローバルな貿易及び連結性の中心であり続けるインド太平洋に対して著しい影響を及ぼす。海上輸送及びサプライチェーンの混乱は、グローバルな燃料、食料及び肥料の安全保障並びに船員の安全に対しても広範な影響を及ぼす。
5. 我々は、中東・西アジアの情勢について議論し、進行中の外交努力への支持及び地域における永続的な平和への期待を再確認する。我々は、航行の権利及び自由並びにホルムズ海峡及び紅海を通る安全かつ途切れることのないグローバルな通商の流れに関し、国連海洋法条約(UNCLOS)に反映された国際法を遵守する重要性を改めて表明する。我々は、商船に対する攻撃を非難し、通航料の賦課を含むUNCLOSと整合的でない将来のいかなる措置にも反対する。
6. 我々は、東シナ海及び南シナ海における状況を引き続き深刻に懸念している。我々は、地域における平和と安定を脅かし、力又は威圧によるものを含め不安定化をもたらすような又は一方的なあらゆる行動に対し、強い反対を改めて表明する。我々は、海洋資源開発への干渉、航行及び上空飛行の自由の度重なる妨害並びに南シナ海における、特に放水銃及びフレアの危険な使用並びに衝突・妨害行動といった、軍用機並びに海上保安機関及び海上民兵の船舶による危険な操縦を含む危険で威圧的な行動に対する深刻な懸念を表明する。我々は、係争地形の軍事化を深刻に懸念している。
7. 我々は、UNCLOSに反映されている国際法と整合的な航行及び上空飛行の自由、その他の適法な海洋の利用並びに妨げられない商業活動を堅持することの重要性を強調する。我々は、海洋に関する紛争はUNCLOSに従って平和的に解決されなければならないことを再確認し、10年前の仲裁裁判所による判断は重要なマイルストーンであり、当事者間の紛争を平和的に解決するための基礎であることを改めて表明する。
8. 我々は、関連する国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認し、北朝鮮に対し、関連する国連安保理決議の下での全ての義務を遵守するよう強く求める。我々は、北朝鮮による弾道ミサイル及び大量破壊兵器の不法な開発を非難する。また、北朝鮮の不法な大量破壊兵器及び弾道ミサイル計画の資金源となる北朝鮮の悪意あるサイバー活動及びIT労働者の活動について重大な懸念を表明する。我々は、引き続き北朝鮮に関連する国連安保理決議の違反に対処する取組を支持する。我々は、全ての国連加盟国に対し、全ての武器及び関連物資の北朝鮮への移転又は北朝鮮からの調達の禁止を含め、制裁の履行という国連安保理決議の下での国際的な義務を遵守するよう強く求める。我々は、国際的な不拡散体制を直接的に損なう北朝鮮との軍事協力を深化させている国々に対し、深い懸念を表明する。我々は、拉致問題の即時解決の必要性を再確認する。
9. 我々が地域のための共通の目的を推進する中で、ASEAN中心性及び一体性、ASEAN主導の地域アーキテクチャ、太平洋諸島フォーラム及び太平洋主導の地域の諸グループ並びに環インド洋連合(IORA)に対する我々の協力及び支持は引き続き揺るぎない。
10. 我々は、ミャンマーの継続する紛争及びそれが地域に与える影響を引き続き懸念している。我々は、ASEANの取組に対する支持を再確認し、暴力の即時停止、不当に拘束されている者の解放、人道支援の実施に適した環境整備及び紛争に関与する全ての関係者及び影響を受けたグループの間の対話を呼びかける。我々はまた、この危機が地域の安全保障及び越境犯罪の拡大に与える影響についても懸念している。
11. 日米豪印パートナーは、海洋・越境安全保障、経済的繁栄・経済安全保障、重要・新興技術及び人道支援・緊急対応という4つの重要な柱に焦点を合わせた具体的なイニシアティブを通じ、これらの広範な課題に対処するため、地域パートナーと協力することに引き続きコミットしている。我々は、これらの実践的なイニシアティブを通じて、インド太平洋地域に具体的な利益を提供し続ける。
海洋・越境安全保障
12.海洋安全保障上の課題への対処には、協調的、機動的かつ先見的な対応が求められる。我々は、グルグラムにあるインド洋地域情報融合センターを通じた日米豪印「海洋状況把握のためのインド太平洋パートナーシップ(IPMDA)」のインド洋地域プログラムのインドによる運用化を歓迎する。我々は、既存のIPMDAの取組を活用し、インド太平洋全域における共通作戦図(COP)の構築に取り組む。我々は、当初はインド洋地域において、また、対象分野の専門家の交流や机上演習を通じ、インド太平洋海洋監視協力(IPMSC)を通じた海洋監視活動の協調により、地域の海洋状況把握への貢献を更に強化する。IPMSCは、最新の技術の発展を統合することで、自由で開かれたインド太平洋地域を支援するため、日米豪印がリアルタイムの情報を共有し、船舶の状況に関するより鮮明な全体像を提供することを可能にすることで、IPMDAを増強するものである。
13. 2025年7月のパラオからグアムへの間における史上初の日米豪印シップ・オブザーバー・ミッションの成功を受け、地域全域における不法な海洋活動に効果的に対応するために相互運用性及び知識共有を強化すべく、インドが次回ミッションを主催する。
14. 我々は、国境を越えたテロや、2025年4月22日にインドのパハルガム及び2025年12月14日にオーストラリアのボンダイビーチで引き起こされた恐ろしいテロ攻撃を含め、あらゆる形態及び主張によるテロを明確に非難する。我々は、国際法に従って、国際的に指定されたテロリスト及びテロ組織並びにそれらの代理勢力、関連勢力、支援者及び資金提供者への対応を含め、テロと闘うための断固かつ継続的な国際的取組を求める。我々は、テロ、暴力・犯罪・テロ行為を行う暴力的過激主義者及び新興技術のテロ目的での使用がもたらす脅威を防止し、探知し、これに対応する能力を強化するために、国際及び地域のパートナーと共に包括的な形で協力することにコミットする。
15. 日米豪印は、人身取引、薬物取引、性的脅迫、不正資金調達及びその他の形態のサイバー犯罪を含むその他の越境犯罪の拡散と関連する東南アジア及び周辺地域におけるオンライン詐欺拠点の拡散について引き続き深刻に懸念する。我々は、オンライン詐欺拠点及び関連する越境組織犯罪と闘うため、特にパートナーの能力強化を含む法執行及び規制上の取組における協力を深めていく。
経済的繁栄・経済安全保障
16. 我々は、経済安全保障が日米豪印パートナー及びインド太平洋地域にとって根本的に重要であることを認識し、経済安全保障協力を深化させ、強じんかつ繁栄した地域を支援するための重要なイニシアティブを発展させることにコミットする。我々は、特にグローバル・サプライチェーン及び重要な産業部門に影響を及ぼす重要鉱物に関する恣意的な輸出規制、価格操作及び途絶を含め、経済的威圧並びに非市場的政策及び慣行の使用に対する深刻な懸念を改めて表明する。我々は、多様で信頼できるグローバル・サプライチェーンの重要性及び単一国への依存を回避する必要性を強調する。
17. 我々は、公正かつ多様な重要鉱物市場に向けたビジョンを推進するため、日米豪印重要鉱物枠組みを発表することを喜ばしく思う。これは、採掘、加工及びリサイクルを含む重要鉱物サプライチェーンを強化するため、いかに日米豪印パートナーが経済政策ツールを活用し、民間部門との連携を含めて投資を連携させるかという指針を示すものである。
18. エネルギー製品及び肥料等の重要な下流派生品のグローバル市場の混乱は、インド太平洋地域に深刻な影響を及ぼしている。我々は、グローバルなエネルギー情勢の変化を認識し、エネルギー安全保障及び強じん性に関して協力するため、日米豪印インド太平洋エネルギー安全保障イニシアティブを立ち上げる。日米豪印パートナーは、開かれ、適切に機能する、安定的なエネルギー市場及び強じんで多様なサプライチェーンを確保するために協力する。重要物資に関する開かれた貿易の流れを維持することは、インド太平洋地域の安全保障と繁栄のために極めて重要である。
19. 日米豪印は、信頼性のある強じんなインフラの支援にコミットしている。我々は、インドが2025年10月に強じんかつ安全な港湾に向けた日米豪印のビジョンを推進するために主催した日米豪印港湾の未来パートナーシップ会議の成功を受け、日米豪印諸国がフィジー政府と連携し同国における港湾インフラ及び関連活動の推進に取り組むことを発表できることを誇りに思う。
20. 我々は、信頼性のある海底ケーブル・システムがグローバルなデジタル経済の根幹であり、インド太平洋全域における安全で、信頼でき、強じんな連結性に不可欠であることを認識する。我々はまた、より緊密な調整と情報共有を通じ、脅威及び破壊行為を含むリスクから海底ケーブル・ネットワークを保護する必要性を強調する。この点に関し、日米豪印パートナーは、太平洋諸島フォーラムのデジタルの未来を守るべく、全ての太平洋諸島フォーラム加盟国が2026年までに海底ケーブルで連結されることを確保するための具体的な支援を提供してきた。我々は、引き続き、信頼性のある冗長性を更に提供すべく、地域における将来の海底ケーブルによる連結を支援する機会を模索していく。我々は、ケーブル・インフラ強化のための協力の推進に向けて政府と産業界が一堂に会して2025年7月にニューデリーで開催されたウェーブレングス・フォーラムを含め、ケーブルの連結性及び強じん性のための日米豪印パートナーシップの下で進行中の取組を歓迎する。
重要・新興技術
21. 重要・新興技術における信頼性のある協力は、安全保障上の利益を守り、サプライチェーンを強化し、競争力のある強い経済を維持するための我々の能力を支える。我々は、5G、6G及びAIを含め、安全で強じんなデジタル・エコシステムを構築し、次世代技術を支援するとのコミットメントを再確認する。この文脈において、我々は、健全な技術標準に基づいて構築されたオープンかつ相互運用可能なアーキテクチャが、ネットワーク・セキュリティを強化し、イノベーションを促進し、単一ベンダーのシステムへの依存の低減に貢献し得ることを認識する。日米豪印諸国は、今後数か月で、次世代通信標準、デジタルアイデンティティ標準に関するワークショップ及び標準化人材の育成に関するトラック1.5に関する作業を推進する。
22. 日米豪印は、我々の共通の経済安全保障アジェンダの柱としてパックス・シリカを歓迎する。我々は、AIが我々の長期的な繁栄に変革をもたらす力を持つものであり、その利益を確保するために信頼できるサプライチェーンが不可欠であることを認識する。我々は、重要鉱物及び先端製造からコンピュータ、半導体及び信頼性のあるネットワークまでの技術スタックの全てに関してパートナーシップを深化させる取組を歓迎する。我々は共に、信頼、技術的補完性及び永続的繁栄への共通のコミットメントに基づいた包括的経済パートナーシップを推進するための努力を歓迎する。
23. 日米豪印パートナーは、バイオものづくりの重要性を再確認し、強固で強じんで重要な医薬品のサプライチェーンを確保するため、信頼できるステークホルダーとの協力を強化することにコミットした。
人道支援・緊急対応
24. 日米豪印は、インド太平洋における人道支援・災害救援(HADR)に関する実践的な協力を推進するという共通のコミットメントを再確認する。日米豪印は、相互運用性と情報共有の強化において著しい進展を遂げており、我々は、引き続き、インド太平洋全域における適時かつ効果的な災害対応を確保するための迅速な対応能力の強化と調整メカニズムの改善に向け、地域パートナー及び関連国際機関との関与を深化させる。
25.我々は、引き続き、インド太平洋全域における災害時の情報交換と対応調整を行う。関係者は、パプアニューギニアのエンガにおける地滑り(2024年)及びミャンマー地震(2025年)への対応で連携し、実践的な支援と協力に対する日米豪印のコミットメントを示した。2025年にホノルルで実施された机上演習(TTX)及び戦略作業部会会合は、集団的な準備体制及び対応能力を著しく強化した。標準作業書(SOP)、危機後のレビュー・メカニズム及び戦略的コミュニケーション枠組みの策定は、日米豪印のHADR協力を前進させた。
26. 我々は、将来の健康危機により良く備え、対応するため、インド太平洋地域全域における日米豪印の健康安全保障協力を強化するとのコミットメントを再確認する。我々は、地域パートナーと共に、地域全体における人々の福祉と繁栄を促進する強じんな保健インフラの推進に取り組む。
27. 我々は、2024年の日米豪印首脳会合でパイロット・イニシアティブとして立ち上げられたインド太平洋ロジスティクス・ネットワーク(IPLN)の継続的な進展を歓迎する。これは、人命救助、復興努力の促進及び地域パートナーへの支援のため、インド太平洋全域において大規模自然災害への文民による対応をより迅速かつ効率的に支援すべく、共有された物流能力を活用するものである。我々は、2025年4月の机上訓練(TTX)及び2025年12月のクリスマス・ドロップ作戦における実働訓練の成功裏の実施を踏まえ、2026年に日本が主催する第2回TTXを含め、計画された一連の取組を通じてIPLNを更に運用化することを意図する。これらの取組は、複合的な手段によるロジスティクスの調整を促進するための標準手順書(SOP)の策定を支援し、集積、維持管理及び活動の能力を向上させる。
28. 4つの主要な民主主義国及び海洋国家として、我々は全ての国が威圧されることなく繁栄できる地域にコミットし続ける。我々は、日米豪印首脳会合、次回の日米豪印外相会合、そしてインド太平洋の内外における平和、安定及び繁栄を推進するための継続的な取組を楽しみにしている。