データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] スターリン・ソ連首相の日本国民あてメッセージ 

[場所] 
[年月日] 1952年1月1日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),471頁.共同通信社出版部「世界資料」6巻2号,3頁.
[備考] 
[全文]

 わたしは、日本国民に新年のあいさつを送るようとの貴下の要請を受領しました。ソヴエト{ママ}の政治家としては外国の首相が自分の希望を外国の人民に述べるような伝統を持つていないのであります。しかし、外国の占領にともない不幸な状態に陥つた日本人民にたいし、ソ連国民は深い同情をよせているため、わたしはあえて前例を破つて貴下の要請に応ずるものであります。

 わたしは貴下にたいし、わたしが日本国民の自由と幸福を希望していること、ならびにわたしが自国の独立のために、自ら勇敢なたたかいで完全な成功を収めるよう希望していることを、日本国民に伝えるようお願いするものであります。ソ連人民自身は過去において、日本の帝国主義者も参加した外国の占領を経験しています。したがつて、ソ連人民は、日本国民の苦悩を十分理解しており、日本国民に深い同情を寄せるとともに、日本国民が当時ソ連人民によつてかち得られたのと同様に自国の復興と独立を達成するものと信じています。わたしは日本の労働者が、失業、低賃金から解放され、一般消費物資の物価高を排除され、平和維持のための闘争に成功するよう希望します。

 わたしは日本の農民にたいし、土地を持たぬ状態およびわずかの土地を持つ状態から解放され、重い課税を排除され平和維持のたたかいに成功するよう希望します。

 わたしは、日本の全国民および日本の知識層にたいし、日本の民主勢力の完全な勝利、国内経済生活の活況および向上、民族的文化、科学、芸術の繁栄ならびに平和維持のたたかいで成功を収めるよう希望します。

 編注 共同通信社は世界各主要国元首に「日本国民によせる新年メッセージ」を要請したが、これにこたえてスターリン・ソ連首相は日本国民へのメッセージを駐日ソ連代表部を通じてよせてきた。