[文書名] 日ソ漁業条約(北西太平洋の公海における漁業に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の条約,附属書
両締約国は、条約区域において次に掲げる魚類その他の水産動物の漁獲を規制することに同意する。
1 さけ
さけ(オンコリンカス・ケタ)
ます(オンコリンカス・ガルブーシヤ)
ぎんざけ(オンコリンカス・キジューチ)
べにざけ(オンコリンカス・ネルカ)
ますのすけ(オンコリンカス・チャウィーチャ)
(イ)規制を行う区域は、ナワリン岬より南東に向い北緯五十五度と西経百七十五度との交点に至り、更に南転して北緯四十五度と西経百七十五度との交点に至り、更に西進して北緯四十五度と東経百五十五度との交点に至り、その後南西方秋勇留島に至る線をもつて、東及び南より区画される北西太平洋(オホーツク海及びベーリング海を含む。)及び北緯四十五度の線以北の日本海とする。
(ロ)千九百五十六年の漁期については、(イ)に掲げる区域のうちいずれかの締約国に所属する島しよ及び大陸沿岸の海岸線より沖合四十海里の条約区域において、移動漁具による海上漁業は、禁止される。
前記の禁止区域は、将来科学的資料に基きできる限りすみやかに委員会において再検討するものとする。
前記の禁止区域のうち北海道に近接する区域においては、前記の移動漁具による海上漁業の禁止の規定は、日本の小漁船には適用しない。
(ハ)総漁獲量は、委員会において決定される。条約実施第一年の総漁獲量は、第一回の委員会において決定される。
(ニ)母船式漁業については、漁船及び調査船の一隻当り年間漁獲量(生魚の重量による。)はそれぞれ三百メトリックトン及び百五十メトリックトンをこえることができない。
一隻の母船に属するすべての漁船及び調査船の総漁獲量は、一隻の母船につき定められた総漁獲量をこえないものとする。その総漁獲量の範囲内においては、各漁船及び調査船の漁獲量は、それぞれ各漁船及び調査船につき定められた前記の漁獲量を若干こえることができる。
(ホ)各年の漁撈の終期は、八月十日までとする。
(ヘ)一隻の漁船が海中に浮設する流網の長さは、次のとおりとする。
オホーツク海においては、十キロメートル以下
オリュートル岬、北緯四十八度と東経百七十度二十五分との交点及び秋勇留島を結ぶ線をもつて東及び南より区画される太平洋水域においては、十二キロメトール以下
その他の水域においては、十五キロメートル以下
一隻の漁船が浮設した流網の網と網との間の間隔は、投網直後に確認されるものとする。一つの網と最も近い他の網との間隔は、すべての方向に向つて次のとおりとする。
オホーツク海域においては、十二キロメートル以上
オリュートル岬、北緯四十八度と東経百七十度二十五分との交点及び秋勇留島を結ぶ線をもつて東及び南より区画される太平洋水域においては、十キロメートル以上
その他の水域においては、八キロメートル以上
但し、前記の規定は、北緯四十八度以南において操業し、かつ日本国の港を根拠地とする小漁船については、適用しない。
流網の網目については、結節から結節までの長さを五十五ミリメートル以上とする。
2 にしん(クルペア・パラシイ)
長さ二十センチメートル(ふん端から尾びれの中央ぎよう骨の末端まで)未満の未成熟小にしんの漁獲は、行わないものとする。
小にしんの混獲は、多量でない限り、認められる。その限度は、委員会において決定される。
3 かに
たらばがに(パラリトーデス・カムチャティカ)
あぶらがに(パラリトーデス・プラティプス)
(イ)めすがに及び胸甲の巾十三センチメートル未満の子がにの漁獲は、禁止される。網にかかつて引き揚げられためすがに及び前記の子がには、すみやかに水中に放さなければならない。
めすがに及び前記の子がにの混獲は、多量でない限り、認められる。その限度は、委員会において決定される。
委員会は、また、ある区域におけるめすがに及び前記の子がにの混獲がいかなる限度に達したときにその区域における漁獲を停止すべきかについて決定する。
(ロ)かに網の配列の長さ、一線上にある配列の間の間隔及び線の間の距離については、資源の保護及び操業能率を考慮して制限を設けるものとし、委員会がこれを決定する。