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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日ソ平和条約案,議定書(ソ連案)

[場所] 
[年月日] 1956年8月14日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),780頁.松本俊一「モスクワにかける虹 日ソ国交回復秘録」,朝日新聞社,1966年,193−200頁.
[備考] 
[全文]

 ソヴィエト社会主義共和国連邦と日本国との間の平和条約に署名するに当つて、両締約国は、ソヴィエト社会主義共和国連邦が平和条約第四条に掲げる小千島列島の諸島嶼(歯舞諸島及び色丹島)を日本国に引き渡す手続について、次のように合意した。

    第一条

 ソヴィエト社会主義共和国連邦はソヴィエト社会主義共和国連邦と日本国との間の平和条約が効力を生ずる日から六箇月以内に、小千島列島の諸島嶼(歯舞諸島及び色丹島)の日本国への引渡しを実施するものとする。

    第二条

 ソヴィエト社会主義共和国連邦は、第一条に掲げる諸島嶼にある工場、住宅、倉庫その他の施設を含む国有不動産を無償で日本国に引き渡すものとする。

 また、ソヴィエト社会主義共和国連邦は、前記のこれらの諸島嶼を日本国に引き渡すとき、同諸島嶼にある国有動産を無償で日本国に引き渡すものとする。

    第三条

 第一条に掲げる諸島嶼にある軍事施設その他の設備で軍事目的のために使用することができるものは、これらの島嶼を日本国に引き渡す前に破壊されなければならない。

    第四条

 両締約国は、第一条に掲げる諸島嶼の引き渡しの後、同諸島嶼がソヴィエト社会主義共和国連邦に編入されていたこと、又は同諸島嶼が平和条約第四条に基づいて日本国に引き渡されることによつて生ずるいかなる賠償要求又は請求をも行なわないことを、それぞれ自国、その団体及び国民の名において約束する。

    第五条

 この議定書の諸規定を実施するため、平和条約が効力を生ずる日から一箇月以内に、ソ日混合委員会が設置せられるものとし、各締約国は、それぞれ  名の代表及び所要の随員を任命するものとする。

 混合委員会は、引き渡すべき財産の授受証書及びソヴィエト社会主義共和国連邦による小千島列島の諸島嶼(歯舞諸島及び色丹島)の日本国への引き渡しに関する最終議定書を作成するものとする。

    第六条

 一九五 年  日付のソヴィエト社会主義共和国連邦と日本国との間の平和条約の不可分の一部をなすこの議定書は、同平和条約と同時に効力を生ずる。

 一九五 年 月  日

 ソヴィエト社会主義共和国連邦最高会議幹部会の委任により

 日本国政府の委任により