データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日ソ交渉に関する鳩山一郎とブルガーニン両首相往復書簡,ソヴィエト連邦閣僚会議議長から総理大臣にあてた書簡

[場所] モスクワ
[年月日] 1956年9月13日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),782頁.
[備考] 仮訳
[全文]

 書簡をもつて啓上いたします。

 本議長は、貴総理大臣が日ソ交渉を直ちにモスクワにおいて再開すべき日本国政府の用意を表明せられ、かつ、両国間の関係の正常化に関するソヴィエト連邦政府の同意の確認を要請された千九百五十六年九月十一日付の貴簡を受領したことを通報する光栄を有します。

 ソヴィエト政府は、両国が相互にあらかじめ討議してきた次の事項から生ずる貴簡に述べられた考慮に即応して、この際平和条約を締結することなく、日ソ関係の正常化に関する交渉をモスクワにおいて再開する同政府の用意を確認するものであります。

1 ソヴィエト社会主義共和国連邦と日本国との間の戦争状態の終結の宣明

2 外交関係の回復及び大使館の相互設置

3 ソヴィエト社会主義共和国連邦において刑を宣告されたすべての日本国民の釈放及び送還

4 千九百五十六年五月十四日に署名された漁業条約の効力発生

5 国際連合加盟に関する日本国の要請の支持

 なお、本議長は、ロンドン及びモスクワにおける交渉の過程において合意に到達した諸点に関する貴要望に関しては、双方がこれらの諸点に関し意見を交換することができるものと考えるものであります。

 本議長は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向つて敬意を表します。

千九百五十六年九月十三日

モスクワにおいて

ソヴィエト社会主義共和国連邦閣僚会議議長

ニコライ・ブルガーニン

日本国総理大臣 鳩山一郎閣下