データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ソ連・東欧諸国の対チェコ軍事介入に関する官房長官談話

[場所] 
[年月日] 1968年8月21日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),805頁.
[備考] 
[全文]

東欧諸国の対チエコ{ママ}軍事介入について

 本日、小沢チェコ駐在大使よりソ連及び隣接社会主義国軍(ポーランド、東独、ハンガリー、ブルガリア)がチェコ領内に侵入し、プラハ市内の大統領官邸、党本部、総理官邸等は多数の戦車、装甲車、完全装備の兵員により包囲されているが、同市内は戦闘その他はなく平静である旨の報告が入電している。

 今回ソ連及び東欧四カ国がいかなる根拠に基づいて今回の軍事侵入を行なったものかつまびらかでないが、もし、今回の措置がチェコ国民の意志に反して武力をもって干渉することを目的とするものであるならば、かかる措置は、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対する武力の行使を{前1文字ママとルビ}慎むべきであるとする国連憲章の精神に反するものであり、国際緊張の緩和、世界平和の維持の上からも重大な関心を払わざるを得ない。

 政府としてはソ連及び東欧四カ国は理性的な話し合いにより東欧における平和及び安全の維持ひいては世界平和のために協力することを強く希望するものである。

 今回の事態に対してわが政府が具体的にとるべき立場については外務省を中心として早急に検討することとしているが、差当り必要に応じて在留邦人の保護等の措置を講ずるよう小沢大使にも訓令ずみである。