データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 北方領土における軍事施設構築等に関する対ソ申入れ要旨

[場所] 
[年月日] 1979年2月5日
[出典] われらの北方領土 2015年版 資料編,外務省
[備考] 
[全文]

1、過去久しきにわたり日本国政府はソヴィエト連邦政府に対し、歴史的事実に照らしかつ国際法上の見地より疑いもなく日本国の領土である歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の一日も速やかなる返還を求めるとともに、日ソ関係を真の相互信頼に基づく安定的な基礎の上に発展せしめるためには、この領土問題を解決することによって平和条約を締結することが不可欠である所以を繰返し指摘してきた。

2、日本国政府が入手した種々の情報によれば、最近、国後島及び択捉島の両島においてソ連側による新たな軍事力の配備及び施設の構築が進められていると判断するに足る十分な根拠がある。これらの諸島におけるかかる軍事力の配備及び施設の構築は、北方領土問題の早期かつ平和的な解決の精神に逆行するものであり、一貫して国際平和に寄与する政策を追求し、ソ連邦との間にも均しく友好関係の促進に努めてきた日本国政府としては、ソ連側のかかる新たな軍事的措置を深く遺憾とせざるを得ない。

3、日本国政府はソヴィエト連邦政府に対し、前記1の基本的立場を改めて確認し、日本国民の一致した願望である北方領土の速やかなる返還を求め、ここにソ連側による前述の措置につき抗議するとともに、かかる措置が速やかに撤回されるよう強く要求するものである。