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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「北方領土の日」設定記念北方領土返還運動推進全国集会における鈴木内閣総理大臣の挨拶

[場所] 海運クラブ
[年月日] 1981年2月7日
[出典] 鈴木演説集,302−303頁.
[備考] 
[全文]

 本日ここに、「北方領土の日設定記念北方領土返還運動推進全国集会」が開催されるに当たり一言御挨拶を申し上げます。

 本日二月七日は、北方領土の日であります。

 いまを去る百二十六年前の今日、日露通好条約が下田において調印され、択捉島と得撫島との間に平和裏に両国の国境が定められました。この条約によって、歯舞諸島、色丹島、国後島及び択捉島の北方四島は我が国の領土であることが、両国間で初めて確認されたのであります。

 我々の父祖が汗と力で築きあげてきた我が国固有の領土であるこれら北方四島が、戦後三十五年を経た今日、なおソ連の占拠下に置かれたまま祖国復帰が実現していないことは、日ソ両国間の平和友好関係の促進のために誠に遺憾なことであります。

 現在、北方領土問題を巡る情勢には極めて厳しいものがありますが、北方領土問題は飽くまでも平和的な話し合いによって解決すべき問題であると考えます。

 政府は、北方四島の祖国復帰を実現して平和条約を締結し、日ソ関係を真の相互理解に基づく安定した基礎の上に発展させる方針に基づき、国民世論の力強い支持を背景に、この問題の解決のためなお一層の努力を傾けてまいる決意であります。

 ここに、長年北方領土問題に取り組んで来られた多くの方々の御努力に対して深く感謝いたしますとともに、皆様方の御努力と国民の総意が実り、二月七日が「北方領土の日」から真の「日ソ友好の日」となることを国民と共に強く祈念するものであります。