データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 北方領土問題についての海外広報活動に関するソ連側口頭申入れ要旨

[場所] 
[年月日] 1981年8月6日
[出典] われらの北方領土 2015年版 資料編,外務省
[備考] 
[全文]

 ソ連邦に対する自己の不法な領土要求に対する支持を取りつける目的で、他国にアピールを行っている最近の日本政府の試みは看過するわけにはいかない。これは、特に、サンフランシスコ平和条約の署名国の地図出版社に対し、国後、択捉、歯舞、色丹の島々をソ連邦に属するのではなく、日本に属するように表記するため、これらの出版社により発行されている地図に変更を加えるよう申し入れていることが、証明している。

 これが唯一の事実ではない。日本の大使館及び他の在外代表機関を通じて、周知の歴史的事実が歪曲され、ソ連邦の領土に対する根拠のない要求が提起されている多種多様の公的機関による出版物を含む資料が配布されている。日本政府の指導者たちは、かかる要求を提起するため、国連の演壇をも利用している。

 かかる日本側の行動は、領土保全及び国家主権の尊重という一般に承認されている規範に矛盾しており、その本質において、第二次世界大戦の諸結果の変更と戦後日本が負った義務の放棄に向けられたものである。

 ソ連邦に対する領土要求のキャンペーンを人工的に煽動するためにいかなる手段がとられようとも、また、この作り出された問題に対し他国の関心をひきつけようとする試みがどのような規範及びどのような形式により行われようとも、ソ連邦の立場は不動であることが日本において理解されなければならない。