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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第9回日ソ外相間定期協議日ソ共同新聞発表

[場所] 
[年月日] 1989年5月5日
[出典] 内閣府
[備考] 
[全文]

 宇野宗佑日本国外務大臣は、ソ連邦政府の招待により1989年4月30日から5月5日までソ連邦を公式訪問した。

 宇野外務大臣は、エム・エス・ゴルバチョフ・ソ連邦共産党中央委員会書記長兼ソ連邦最高会議幹部会議長と会見した。

 モスクワ滞在中、宇野外務大臣はクレムリンの無名戦士の墓に献花した。また、宇野外務大臣は、グルジア社会主義共和国への視察旅行を行った。

 宇野外務大臣と、エ・ア・シェヴァルナッゼ・ソ連邦共産党中央委員会政治局員兼ソ連邦外務大臣は定期協議としての会談を行い、同会談では、日ソ関係の重要な諸問題及び双方が関心を有する国際問題の広範な分野について深い意見交換が行われた。国際問題の討議に際し、国際情勢全般の分析並びに軍縮問題、アジア・太平洋情勢及び地域問題についての検討に特別の注意が払われた。

 両大臣は、1973年10月10日の日ソ共同声明において確定した合意に基づいて、日ソ平和条約締結に関する交渉を行った。同交渉において双方は、両国関係に存在する困難の除去に関する諸側面についての認識を述べ、平和条約を締結するため、平和条約常設作業グループにおける討議を含め、交渉を一層促進することに合意した。

 両大臣は、1988年12月21日の日ソ共同コミュニケにおいて表明された日ソ関係改善への双方の意向を再確認した。両大臣は、両国関係改善のために昨年以来双方により行われている努力を肯定的に評価し、かかる努力を継続し強化することに合意した。

 両大臣は、二国間関係の発展のための最高レベルでの対話の重要な意義を認識し、1988年12月東京において合意したエム・エス・ゴルバチョフ・ソ連邦共産党中央委員会書記長兼ソ連邦最高会議幹部会議長の日本国訪問に向けての準備作業の状況につき討議し、その作業を促進することに合意した。

 宇野外務大臣は、シェヴァルナッゼ外務大臣に対して定期協議としての会合を行うため1990年に日本国を公式訪問するよう招待した。この招待は、謝意をもって受諾された。訪問の具体的時期は、外交チャネルを通じて合意される。

 次期国連総会の機会にニュー・ヨークにおいて日ソ外相会談を行うとの原則的合意も達成した。

 モスクワでの日ソ会談は、実務的かつ率直な雰囲気の中で行われ、双方にとり実質的かつ有益であった。