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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ワルシャワ条約機構の軍事機構解体に関する外相及び国防相会議の声明

[場所] 
[年月日] 1991年2月25日
[出典] 日本外交主要文書・年表(4),976頁.
[備考] 外務省假訳
[全文]

 欧州諸国は、対立と大陸の分裂の時代に結びついた過去の遺物から解放されつつある。パリ憲章は、欧州における民主主義、平和及び統一の新しい時代を宣言した。全欧州プロセスの加盟国は、ヘルシンキ最終文書の10原則の尊重の下で、かつ民主主義、法の支配及び人権への忠誠を基盤とした友好関係を築いている。

 欧州通常戦力条約に調印した22カ国は、それら諸国がもはや敵ではなく、新たなパートナーシップと協力の関係を築くであろうとの共同宣言を発表した。各国は、同盟条約の加盟国となる権利、あるいはならない権利を有することが確認された。欧州分裂が停止したことは、各国に留保されている選択の自由の完全な尊重の下で、安全保障の分野での関係に新たな性質を付与する歴史的可能性を開くものである。 ワルシャワ条約加盟国は、対等な主権国家として行動しつつ、欧州で進行している深い変化を考慮し、1990年6月7日の政治諮問委員会モスクワ会議の決定の実行に向けて、1991年3月31日までにその軍事機構と組織を解体することを決定した。 会議参加国は、この決議がCSCEパリ首脳会談で達成された合意の精神において、欧州における軍事的潜在力の一層の低下とブロック的な安全保障の機構から全欧州的な安全保障の機構への移行を促進する使命を帯びていることを指摘した。参加国は、パリ会談の過程において指摘された目的に向かって精力的に前進する共同の努力の確保に賛同した。

 新たな状況において、会議に出席した国家間の関係発展は2国間を基盤としたものへと順次移行するであろう。このことは、建設的かつ友好的関係における相互利益にも、現代の欧州の現実にも応えている。

 会議参加国は、欧州通常戦力条約と信頼醸成に関するウィーン文書の厳格な実行が、大陸における安定と安全保障の強化及びヘルシンキ・プロセスの一層の発展の最も重要な前提条件であることを強調した。