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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] シベリア戦没者追悼式における宮澤内閣総理大臣の追悼の言葉

[場所] 
[年月日] 1993年4月17日
[出典] 宮沢演説集,263頁.
[備考] 
[全文]

 シベリア戦没者追悼式の挙行にあたり、謹んで追悼の言葉を申し上げます。 歳月の流れは人を待たず、早くも終戦から四十七年余りが過ぎました。しかし、故郷の家族を思いながら、帰国を果たせず、抑留中に異郷の地で亡くなられた方々に思いを致す時、今なお悲痛の思いが胸にこみ上げてまいります。

 戦後、我が国は平和と民主主義を国是とし、国民一人一人のたゆまぬ努力により、幾多の困難を乗り越えて、目覚ましい経済発展を遂げてまいりました。その結果、今日我が国は国際社会においても重要な地位を占めるに至っています。しかし、この繁栄の陰に多くの戦没者の尊い犠牲があったことを、決して忘れる訳にはまいりません。

 戦後の半世紀近い時間の経過とともに、今や全人口の約六割は戦争を知らない世代によって占められるようになり、あの惨烈を極めた戦争について語られることも少なくなってきております。

 平和で豊かな今日においてこそ、戦争の悲惨さ、平和の尊さを次の世代に語り継いでいくことが、我々に課せられた重大な責務であると考えます。

 戦没者の方々のご冥福を心よりお祈りするとともに、ご遺族の皆様の今後のご平安を切に祈念して、私の追悼の言葉といたします。