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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 平成七年北方領土返還要求全国大会における村山内閣総理大臣の挨拶

[場所] 
[年月日] 1995年2月7日
[出典] 村山演説集,463ー464頁.
[備考] 
[全文]

 「平成七年北方領土返還要求全国大会」の開催に当たり、一言ごあいさつ申し上げます。

 初めに、関西地方を襲った兵庫県南部地震により亡くなられた方々とその御遺族に対し、深く哀悼の意を表し、また、負傷された方々や避難生活を続けておられる方々に心からお見舞いを申し上げます。政府といたしましては、できうる限りの被災者の救援と復旧・復興対策を講ずるため、最大限の努力を致しているところであります。

 さて、我が国固有の領土である北方領土が、戦後半世紀を経ようとする今日なお返還されていないことは、誠に遺憾なことであります。

 北方領土の早期返還を求める国民の声は、年々大きな高まりを見せ、返還要求運動は、全国的な広がりを持った国民運動として定着しております。

 また、本日の「北方領土の日」を中心に、全国各地で多くの国民が参加して種々の行事が繰り広げられていることは、北方領土問題の早期解決を求める日本国民の心からの願いと強い決意の表れと確信しております。

 これも、日ごろから地道にこの運動を支え、また、推進してこられた皆様方を始め多くの方々の献身的な御努力のたまものであると、心から敬意を表します。

 我が国の隣国であるロシアとの関係については、両国間の最大の懸案である北方領土問題を早期に解決して、平和条約を締結し、完全な正常化を図る必要があります。このため、昨年七月のナポリ・サミットの際に行われたGセブン首脳とエリツィン大統領との会談において、私から「法と正義」の原則に基づく外交の実践の必要性とともに、平成五年十月の「東京宣言」に基づき日露関係の完全な正常化を達成することの必要性につき改めて指摘をいたしました。また、昨年十一月にサスコベッツ第一副首相が来日した際にも、「東京宣言」に基づいて、日露両国が平和条約の早期締結に向け、更に一貫して前進していくことを確認しております。

 この「東京宣言」に基づき北方領土問題が解決され、日露関係の完全な正常化が実現することは、日露両国にとって有益であるのみならず、国際社会全体にとっても極めて好ましいことであります。私は、このような考えに基づき、一貫した方針の下、日露関係が均衡のとれた形で発展していくよう、対ロシア外交を進めていく考えでありますので、今後とも国民の皆様の一致した力強い御支援をお願い申し上げます。

 最後に、この北方領土返還要求全国大会に御出席の方々を始め、この問題の早期解決を心から願って運動を続けていただいている全国の皆様の御活躍と御健勝をお祈りして、私のあいさつといたします。