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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 橋本総理発エリツィン大統領宛メッセージ

[場所] 
[年月日] 1996年10月19日
[出典] 内閣府
[備考] 
[全文]

エリツィン大統領閣下

 日ソ共同宣言署名40周年にあたり、御挨拶をお送りします。

 顧みますと、1956年の日ソ国交回復以来40年の月日か経ちましたが、この間、かつてのソ連邦の時代が終わり、新生ロシアの時代が到来しました。両国間の関係は困難な問題を残しつつも、政治、経済、安全保障、実務関係といった種々の分野で着実に進展を遂げました。

 今日、私は、このような新たな時代の到来を迎え、40年前のこの日に署名された日ソ共同宣言が、平和条約の締結に関する交渉の継続を唱っていることを想起するとともに、貴大統領閣下の3年前の訪日の際に「日露関係に関する東京宣言」が両国首脳により署名されたことを、両国関係史に残る画期的な功績であったと高く評価するものであります。本年4月の原子力安全サミットの際にモスクワで行われた貴大統領と私との会談においても、この東京宣言を基礎として両国関係を更に発展させていくよう共に努力していくことを互いに確認したところであります。

 大統領閣下、私は、平和条約の締結による両国関係の完全な正常化という東京宣言の課題の実現に向けて閣下と共に歴史に残る足跡を残すべく一層努力してまいりたいと考えております。また、閣下とともに、各般の分野における日露間の協力と関係強化のために一層の努力を払えるものと確信しております。

 この機会に、日本国民と日本政府を代表して、貴大統領閣下の一日も早いご回復を改めて衷心より祈念するとともに、貴国国民の御多幸を祈念致します。

敬具

1996年10月19日

日本国内閣総理大臣

 橋本龍太郎

ロシア連邦大統領

 エリツィン、ボリス・ニコラエヴィチ 閣下