[文書名] 日本とロシアによる共同記者発表(橋本・エリツィンプラン)
日本政府は、これまでの各種支援を引き続き継続するとともに、2000年までの間、ロシア政府と協力して以下の3つの分野における6つの措置を重点的に実施する。
この目的のため次官級を含め貿易経済政府間委員会等における対話を強化する。
また、この関連で、日本政府は、以下の分野におけるロシア政府の努力を慫慂するとともに、必要に応じ両国国民の協力を要請する。
{表は省略}
投資協力イニシアティヴ
(1)ロシア国内投資の促進{前10文字下線}
日本政府は、ロシア国内における投資の促進を目的に以下の協力を行う。
(イ)「発展予算」の活用:ロシア政府の「発展予算」の効率的運用のための参考とするために、わが国の財政投融資予算の制度、運用にかかわるノウハウを伝えることを目的とした技術支援を行う。
(ロ)国内貯蓄の効率利用のための制度金融整備:ロシア国内金融市場の発展を補完し、ロシア国内の貯蓄が産業の生産・投資活動に友好に還流するような仕組みを整備するために、我が国の開発銀行等の制度金融等の仕組み、運用にかかわるノウハウを伝えることを目的とした技術支援を行う。
(ハ)資金調達・融資環境整備:ロシア国内金融市場の発展を促進するために、金融機関の信用の確立、貯蓄奨励等のために我が国の民間金融等の制度、運用にかかわるノウハウを伝えることを目的とした技術支援を行う。
(2)我が国からの投資の促進{前11文字下線}
日本政府は、我が国からの投資を促進するための環境整備を目的に、ロシア政府と協力して以下の協力を行う。
(イ)円卓会議及び投資促進政府間の実務レベルの意見交換の開催:日露官民関係者の協議の場として円卓会議を積極活用するとともに、政府間実務レベルで投資促進にかかわる意見交換を行う。
(ロ)投資保護協定:投資保護協定締結のための協議を開始する。
(ハ)苦情処理・情報提供窓口の積極活用:ロシア政府が設置した苦情処理・情報提供窓口の活動が円滑に進むための協力。
(ニ)在京投資促進センターの活用:ロシア側の設置する在京事務所の活動が円滑に進むための協力。
(ホ)投資環境整備のための専門家交流:投資環境整備に必要なノウハウを伝えることを目的とした技術支援。対露投資ミッション、セミナー等。
(ヘ)ISTC(国際科学技術センター)への協力:ISTCの活動に対する我が国民間企業の協力を促進し、ロシア軍事先端技術の民需転換を側面支援する。
(3)極東地域における投資の促進{前13文字下線}
日本政府は、極東地域における我が国からの投資を促進するための環境整備を目的に、ロシア政府と協力して以下の協力を行う。
(イ)極東経済に関する意見交換:ロシア連邦政府及び極東地方行政府の代表者の参加を得て極東経済に関する意見交換を日露間で開催し(政府間委員会極東分科会の機動的活用)、「極東長期発展プログラム」その他の経済問題について実務レベルの意見交換を行う。極東投資ミッションの派遣。
(ロ)極東地域の案件形成・F/S支援:投資案件形成のノウハウの移転を目的とした技術支援やロシア側関係者によるF/Sの実施を側面支援する。
(ハ)RVFを通じた中小企業投資促進:投資契約成立の加速化を図るとともに、投資促進のセミナーを開催する等により、RVFの投資対象となり得る日露合弁企業の形成を促す。
(ニ)極東知事会議の活用:極東知事会議の活動を活性化させ、日本海沿岸地方の交流の促進を図る。
(4)貿易・投資環境の改善のための側面的施策{前19文字下線}
日本政府は、日露両国間の貿易・投資環境の改善のための側面的施策として、ロシア政府と協力して以下の措置を図る。
(イ)輸送力強化のための協力:物流需要を踏まえシベリア鉄道輸送網の復興に対する支援等の輸送力強化のための協力。
(ロ)物流の需要見通しの作成:東アジアの物流の受給見通しを策定する。
(ハ)査証・入国制度の簡素化:日露領事協議の枠組の下での双方の査証手続の簡素化等による人的交流の促進。
(ニ)第3国を交えた経済協力会議:日、露及び第3国による経済関係についての意見交換。