[文書名] 日本国政府とロシア連邦政府との間の海洋生物資源についての操業の分野における協力の若干の事項に関する協定(ロシアとの海洋生物資源についての操業の分野における協力の若干の事項に関する協定)
平成十年二月二十一日 モスクワで
平成十年五月二十一日 効力発生
平成十年六月二十五日 告示
(外務省告示第二一七号)
日本国政府及びロシア連邦政府(以下「両政府」という。)は、
日本国とロシア連邦との間の善隣関係の発展及び強化の促進を希望し、
千九百八十四年十二月七日に東京で署名された日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の両国の地先沖合における漁業の分野の相互の関係に関する協定及び千九百八十五年五月十二日にモスクワで署名された漁業の分野における協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定に基づく関係を含む漁業の分野における両国の間の伝統的かつ互恵的な関係の一層の発展及び強化を志向し、
千九百九十三年十月十三日付けの日露関係に関する東京宣言並びに日本国とロシア連邦との間の貿易経済及び科学技術の分野における関係の今後の展望に関する宣言において規定されている諸原則に基づき、
生物資源の保存、合理的利用及び再生産のための協力(海洋環境の保護のための協力を含む。)の一層の進展を重視し、
この協定に規定する水域における日本国の漁船による商業的基礎に基づく暫定的な性格を有する操業並びに当該水域における生物資源の保存、合理的利用及び再生産の態様を定めることを希望して、
次のとおり協定した。
第一条
両政府は、この協定に定めるところにより、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の周辺の付表に示される緯度及び経度の点を順次結ぶ測地線により囲まれる水域において日本国の漁船による生物資源についての操業が実施されるため、また、当該水域における生物資源の保存、合理的利用及び再生産のため、協力する。
第二条
1 第一条に規定する水域における日本国の漁船による生物資源についての操業は、両政府が外交上の経路を通じて相互に通報することにより確定されるそれぞれの国の団体の間で毎年合意される了解覚書に従って実施されることとなる。
2 両政府は、この条の1にいうそれぞれの国の団体の間で合意される取決めをこの条の1にいう了解覚書として認知する旨を外交上の公文の交換により相互に通報する。
3 日本国政府は、生物資源についての操業、保存及び再生産に関連して、この条の1にいう日本国の団体により、この協定及びこの条の1にいう了解覚書に従い、支払が行われるよう日本国の法令の範囲内で措置をとる。
第三条
両政府は、相互に関心を有する場合に、漁獲物の市場価格の動向に関する情報の交換及び漁獲物の加工を含む両国間の漁業一般の分野における協力の発展に努める。
両政府は、適当な場合には、それぞれの国の関係法令の範囲内で、相互の漁業関係の分野における両国の団体及び企業の間の協力の発展を奨励する。
第四条
両政府は、相互に合意する時期に、原則として一年に一回、この協定の実施に関連する諸問題につき協議を行う。
第五条
両政府は、適当な場合には、この協定の実施に関連し、日本国農林水産省水産庁、日本国運輸省海上保安庁、ロシア連邦農業食糧省、ロシア連邦国境警備庁その他の両政府の関係機関の間の連絡を促進する。
第六条
この協定、この協定に従って行われる活動及びこの協定の実施のための措置並びにこれらに関連するいかなる活動及び措置も、相互の関係における諸問題についてのいずれの政府の立場及び見解をも害するものとみなしてはならない。
第七条
1 この協定は、両政府がこの協定の効力発生のために必要なそれぞれの国内法上の手続が完了したことを外交上の経路を通じて相互に通告した日に効力を生じ、いずれか一方の政府がこの協定を終了させようとする日の少なくとも六箇月前までに他方の政府に書面によってその旨を通告しない限り、三年間効力を有する。
2 この協定は、三年間効力を有した後、いずれか一方の政府がこの協定の有効期間の満了の日の六箇月前までにこの協定を終了させる意思を他方の政府に書面によって通告しない限り、自動的に順次一年間効力を延長される。
一九九八年二月二十一日にモスクワで、ひとしく正文である日本語及びロシア語により本書二通を作成した。
日本国政府のために
小渕恵三
ロシア連邦政府のために
ボリス・エフィーモヴィチ・ネムツォフ
{付表 省略}