データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島における共同経済活動の発展に関する日露協力プログラム

[場所] 
[年月日] 2000年9月
[出典] 日露間領土問題の歴史に関する共同作成資料集(2001年),外務省
[備考] 
[全文]

 加藤良三日本国外務審議官及びA.P.ロシュコフ・ロシア連邦外務次官は、1998年11月13日付けの日本国とロシア連邦の間の創造的パートナーシップ構築に関するモスクワ宣言第2項に従って設置された択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島における共同経済活動に関する委員会の共同議長として、上記の諸島においていかなる共同経済活動を実施し得るかについて明らかにすることを目的として、同委員会の枠内において行われた作業に基づき、以下を確認する。

1.諸島における段階的な共同経済活動の発展は、この地域における日露間の相互理解及び信頼の強化、平和条約に関する二国間交渉の進展のための望ましい環境の整備並びに日露関係における全般的な雰囲気の改善に向けて進められる。

2.双方は、海洋生物資源の再生産及び養殖並びに漁獲物の加工を含め、相互に関心を有する分野における協力を、将来の共同経済活動のあり得べき形態として見ている。

3.共同経済活動を軌道に乗せるため、諸島において、1998年2月21日に署名された日本国政府とロシア連邦政府との間の海洋生物資源についての操業の分野における協力の若干の事項に関する協定(以下「協定」という。)に基づいて、海洋生物資源の再生産に関する分野における協力を実現することが合目的的である。このような協力の形態としては、現段階においては、ウニ及び貝類の栽培漁業があり得る。

4.海洋生物資源の再生産の分野における日露間の協力は、協定第一条に従い実施される。

 海洋生物資源の再生産の分野における共同経済活動は、協定の付表に示されている水域において実施される。

 この協力の進捗状況は、共同経済活動に関する委員会の会合において検討される。ウニ及び貝類の栽培漁業に関する文書の早期策定の問題について、同委員会の枠内の作業グループにおいて精力的な検討作業が継続される。

5.本プログラムの枠内での海洋生物資源の再生産の分野における協力は、これに関連するいかなる問題についていずれの一方の側の法的立場をも害するものとみなしてはならない。

日本国外務審議官

加藤良三

ロシア連邦外務次官

A.P.ロシュコフ