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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第2回日露フォーラム 「グローバル化の中でのアジア太平洋地域における日露協力の展望」 総括文書

[場所] サンクト・ペテルブルグ
[年月日] 2002年5月21日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 2002年5月20日、21日の両日、サンクト・ペテルブルグにおいて、日本側より総合研究開発機構、ロシア側より戦略策定センター及び北西戦略策定センターの共催により、第2回日露フォーラム「グローバル化の中でのアジア太平洋地域における日露協力の展望」が開催された。フォーラムの参加者及び来賓に対しては、川口順子日本国外務大臣及びI.S.イワノフ・ロシア連邦外務大臣より歓迎のメッセージが寄せられた。日本国及びロシアの政界、学会及び民間の著名且つ権威ある関係者が参加したこのフォーラムは、有馬龍夫日本国政府代表及びA.P.ロシュコフ・ロシア連邦外務次官を共同議長として開催された。

 日露フォーラムは、2000年9月に署名された「平和条約問題に関する日本国内閣総理大臣とロシア連邦大統領の声明」を受け、同声明を更に進めるものとして2001年1月に達成された日本国とロシアの外務大臣間の合意に従い、平和条約の早期締結を含む両国間の友好関係発展の重要性を日本国とロシアの世論に説明するための努力を活発化させていくことを目的として、開催されるものである。

 「グローバル化の中でのアジア太平洋地域における日露関係」をテーマとした第1回日露フォーラムは、2001年5月、モスクワにおいて成功裡に開催された。同フォーラムにおける議論の過程において日本国及びロシアの有識者を代表する参加者は、非公式な雰囲気の中で、現段階における二国間関係発展の特徴について意見交換を行い、平和条約交渉、国際舞台、経済、文化、その他の諸分野における日露協力の諸問題について相互理解を深めることができた。

 第2回日露フォーラムの参加者は、第1回のテーマを継承しつつ、「グローバル化の中でのアジア太平洋地域における日露協力の展望」という全体テーマの下で、「21世紀の平和・安全保障の新しいパラダイム」、「国際テロリズムの根本的要因とその除去への日露協力」、「日露文化交流を展望して」といった焦眉のテーマについて詳細な議論を行った。こうした議論を通じて、参加者は、日露両国は重要な戦略的パートナーとして、幅広い分野で協力関係を進展させていかなければならないことを改めて確認した上で、両国の相互理解を深め、具体的な協力を促進する方途を探求した。

 今回のフォーラムの特徴は、現代世界において最も焦眉な地球規模の問題が大きな関心を持って議論されたことである。難民問題、テロリズム、国際組織犯罪、環境汚染、麻薬の不法取引を初めとして、益々先鋭化し、また、グローバル化の進展と共に国境を越えた性格を帯びつつある新たな挑戦は、国際舞台における二国間の協力の更なる強化の必要性を示すものとなっている。この点は、2001年9月11日の米国における事件によっても確認されたところである。日本国及びロシアは、上述の脅威に対する効果的且つ適切な対応を模索する国際社会の努力に対して、協力して顕著な貢献を行うことが出来るであろう旨が強調された。

 また、日本国とロシアとの間において、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞諸島の帰属の問題を解決して、早期に平和条約を締結することの重要性について参加者の間において改めて意見の一致がみられた。

 両国民間の信頼と相互理解を深める上で重要な役割を担う文化の分野における日露協力の諸問題に関する意見交換が大きな関心を持って行われた。議論の参加者は、最新の先端技術を活用した美術館の協力や地方レベルにおける美術館・博物館交流の発展を支持した。また、日露間の出版分野における協力及び姉妹都市間交流に対して高い評価が与えられた。双方は、第1回日露フォーラムにおいて提案された日露文化交流発展のためのアゴラ(公共広場)の理念を具体化させる方法について意見交換を継続していく必要性があるとの結論に達した。

 文化の分野における協力の強化は日露関係の基盤の強化に資するものであるとの点を踏まえ、フォーラムの参加者は、サンクト・ペテルブルグ建都300周年に寄せての諸行事が2003年に幅広く実施されることを歓迎しつつ、2003年を「ロシアにおける日本年」とし、ロシア国民に日本文化を広く紹介することを目的として、幅広い文化行事をロシア各地で開催することを支持する旨表明した。フォーラムの参加者は、両国首脳に対し、このようなイニシアチブを支持するよう提言した。

 フォーラムの参加者は、衷心より、議論の過程において述べられた新鮮な思想の実現に向けて努力し、また、そのような思想が両国の世論によって広範な形で受け止められ、それによって質的に新たな日露関係構築のための基盤が据えられるよう努めていく考えである旨表明した。また、参加者は、今回の議論が本件フォーラムの所期の目的に従って日露両国の肯定的世論の形成に貢献することを期待する。

 参加者の間において、第3回日露フォーラムを2003年に開催することが合目的的であることに関し意見の一致が見られ、その時期、場所について今後調整されていくこととされた。