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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 観光分野における日本国政府とロシア連邦政府との間の協力の強化に関するプログラム

[場所] 東京
[年月日] 2005年11月21日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 日本国政府及びロシア連邦政府(以下「双方」という。)は、

 観光分野における双方の協力の発展が、両国の国民の間の交流の拡大及び相互理解を促進し、政治、経済、文化及び社会全般にわたる日露関係の更なる発展及び強化に寄与することを強く確信し、

 1998年11月13日付けの「観光分野における日本国政府とロシア連邦政府との間の協力に関する覚書」において、双方が観光分野における協力の可能性を探求していく意向を表明したことに留意し、

 2000年9月5日に署名された「文化交流に関する日本国政府とロシア連邦政府との間の協定」において、観光旅行を奨励する意向が表明され、また、2003年1月10日に両国首脳により採択された「日露行動計画」において、民間レベルにおける観光振興に向けたイニシアティブを支持することが確認されたことを想起し、

 日本国政府が2003年から「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を実施し、外国人旅行者の訪日を促進する事業に取り組んでいることを考慮し、

 また、これまで、1547名のロシア企業経営者が日本センターによる観光をテーマとした講座を受講し、そのうち125名が訪日研修を行うなど、日本センターがロシアにおける観光振興に貢献していることを高く評価し、

 さらに、本年が日魯通好条約調印から150周年の歴史的に重要な節目の年に当たり、両国において各種の記念行事が開催されていることを念頭に置いて、

 両国間の観光分野における協力を強化するため、以下の措置を採ることが重要であることにつき共通の認識に至った。

1.双方は、観光交流の発展及び拡大に向け、観光インフラの発展及び観光サービスの質的向上に努める。

2.観光を担当する双方の諸機関は、定期的に(少なくとも2年に1回)双方向の観光交流の促進の問題に関する協議を行う。双方は、国家及び民間機関の活動を連絡調整する、観光に関する作業部会の設置につき検討する。

3.双方は、日本センターの活用を含め、日本及びロシアの観光業の人材育成のための協力を継続し、発展させる。双方は、このような協力を調整するために定期的に協議を行う。

4.双方は、観光目的で他方の国に入国する両国国民の安全が確保されるよう配慮し、相手国の国民が滞在中に事件、事故等に巻き込まれた場合には、その支援、必要な場合にはその救済に最大限努力する。双方は、様々な機会を通じて、観光客の安全確保に関する必要な措置につき、協議を行う。

5.双方は、観光目的で入国する他方の国の旅行者に対する査証発給手続の更なる迅速化及び出入国審査手続の簡素化のための必要な措置を講ずる。双方は、両国の観光旅行者を含めた査証制度の一層の簡素化に向け、必要な措置をとるべく適切な場において協議を継続する。

6.観光を担当する双方の諸機関は、観光業界が他方の国における文化、スポーツ及びその他の行事への団体・個人旅行を含む旅行者にとって魅力的な商品を提供することを奨励する。上述の諸機関は、観光交流を発展させるために、展示会、シンポジウム、会議等の様々な行事の実施及び観光産業の専門家の定期的な交流を促進する。

7.双方は、両国の学術機関、地方公共団体等の諸団体間の協力が観光振興に資することを考慮し、このような協力を促進する。その際、双方は、特に両国の姉妹都市交流や青少年間の交流の促進が重要であることに立脚する。

8.双方は、他方の国からの観光客を始めとする外国人旅行客を最大限誘致するための広報活動を積極的に実施する。双方は、観光誘致に資する報道の更なる促進を目的とする両国のメディア関係者の相互訪問を今後とも奨励する。

9.双方は、在外公館の果たすべき役割の重要性に留意し、他方の国における在外公館のホームページの活用、在外公館を通じた観光に関する適当な広報資料の配付等を通じ、自国の観光に関する情報を積極的に提供する。また、双方は、在外公館を通じた、統計、観光関連の法令に関する情報、自然環境及び文化財の保存及び活用に関する情報等、観光分野における情報の交換について協力する。

10.双方は、世界観光機関及び観光分野で活動を行うその他の国際機関の枠組みにおける協力を継続し発展させる。

日本国政府のために

ロシア連邦政府のために

東京 2005年11月21日