[文書名] 刑事共助及び治安活動の分野における協力に関する日本国政府とロシア連邦政府との間の覚書
日本国政府及びロシア連邦政府(以下「双方」という。)は、
国境を越える犯罪が増加している中で、日露両国が犯罪対策のために協力することの重要性を認識し、
1998年11月13日に作成された日本国とロシア連邦の間の創造的パートナーシップ構築に関するモスクワ宣言及び2003年1月10日に採択された「日露行動計画」において、治安分野における協力の活発化が謳われたことを想起し、
2000年9月4日に署名された治安・司法分野における日本国政府とロシア連邦政府との間の協力に関する覚書において、捜査共助の両国にとっての重要性及びその今後の発展の必要性が確認されたことを踏まえ、
近年、国際テロ対策、麻薬、向精神薬及びそれらの前駆物質、銃器又は盗難車両の不法取引を始めとする国際組織犯罪、水産物の密漁・密輸問題等に関し、国連、G8等の国際的枠組みにおけるものを含む両国の捜査・訴追当局の協力が進展しつつあることを指摘し、
両国の捜査・訴追当局が、刑事共助の分野で蓄積してきた協力の経験を高く評価し、
今後日露間の刑事共助及び治安活動の分野における協力の必要性が一層高まる可能性が高いことを認識して、
以下について意見の一致をみた。
1.双方は、既に両国間で進展している、国際テロ対策、麻薬、向精神薬及びそれらの前駆物質、銃器又は盗難車両の不法取引を始めとする国際組織犯罪の取締り、水産物の密漁・密輸問題への対応等に当たっての協力に関し、国連、G8等の国際的枠組みにおけるものを含む、両国の捜査・訴追当局の協力を一層活発化させる。
2.双方は、日露間において刑事共助の分野における協力を一層促進するため、特に両国の近接している地方において、実効的に共助が実施されることの重要性に留意しつつ、捜査、訴追その他の刑事訴訟手続における、共助の範囲、条件、手続等について定めるとともに、共助を実施するに当たって両国において相互に直接連絡する中央当局を定めることを内容とする刑事共助条約を締結するための協議を2006年に開始する。
3.刑事共助条約の締結協議の開始に先立ち、双方は、より実効的な共助の実施を可能とする条約の締結に資するよう、刑事司法制度に関する諸問題について相互理解を深めることを目的として、刑事司法制度についての情報交換を行う。
4.双方は、それぞれの国内法上可能な範囲内で、その他の刑事司法分野での協力を一層強化する。
2005年11月21日、東京において、日本語及びロシア語の各1部からなる2部が作成された。
日本国政府のために
ロシア連邦政府のために