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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 海洋生物資源についての違法、無通報、無規制操業及び水産物の密輸出の防止の分野における今後の協力の基礎に関する日本国政府とロシア連邦政府との間の覚書

[場所] 東京
[年月日] 2009年5月12日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 日本国政府及びロシア連邦政府(以下「双方」という。)は、

 2003年1月10日に日本国内閣総理大臣及びロシア連邦大統領が採択した日露行動計画の記述に留意し、

 2000年9月4日付けの治安・司法分野における日本国政府とロシア連邦政府との間の協力に関する覚書、2000年9月4日付けの日本国海上保安庁とロシア連邦国境警備庁との間の協力の発展の基盤に関する覚書、2005年11月21日付けの刑事共助及び治安活動の分野における協力に関する日本国政府とロシア連邦政府との間の覚書及び2007年2月28日付けの日本国財務省関税局とロシア連邦税関庁との間の協力の発展の方向性に関する覚書の記述に立脚し、

 漁業の分野における日本国とロシア連邦との間の伝統的かつ互恵的な関係の一層の発展及び強化を希求し、

 海洋生物資源が有限であることを認識し、並びにこの資源の保存及び合理的利用に対する共通の関心に立脚して、

 次の共通認識で一致した。

1.双方は、海洋生物資源についての違法、無通報、無規制操業及び水産物の密輸出の防止の分野において、双方の権限のある機関(地方支部のレベルを含む。)の間の協力を強化するよう努める。

2.双方は次の形態により協力を発展させる意図を有する。

―既存の協力の枠内における情報交換

―双方の経験の相互研究を目的とする専門家の相互訪問(他方の国の港における水産物の陸揚げの視察のためのオブザーバーの派遣を含む。)

3.2007年以降、3回にわたり、「水棲生物資源及び水産物の密漁・密輸出対策に関する日露専門家会議」が行われ、共に関心を有する問題について詳細な意見交換が行われたことに立脚し、双方は、この分野における両国間の協力の深化を目的として、今後もこの会議を継続する。

 双方は、必要に応じ、双方の同意に基づき、両国の権限のある機関の地方支部による会議の実施を促進する意図を有する。

4.双方は、本覚書の3に言及されている会議を利用し、便宜置籍船である漁船及び輸送船であって、海洋生物資源についての違法、無通報、無規制操業又は水産物の日本国の港への密輸出を行っているとの情報があるものに関する議論を継続する。

5.双方は、海洋生物資源についての違法、無通報、無規制操業及び水産物の密輸出の防止の分野における二国間及び多数国間の更なる協力の発展に向けて努力する。

 そのために、双方は、本覚書の3に言及されている会議の成果及びその他の機会を利用し、双方が必要と考える協力の新たな形態を模索する努力を行うとともに、両国の国内法令を考慮しつつ、法的基盤を強化する可能性について検討する。

6.本覚書は国際約束ではなく、双方に対して国際法上の権利及び義務を創設するものではない。

 2009年5月12日に東京で、日本語及びロシア語でそれぞれ2通を作成した。

 日本国政府のために     ロシア連邦政府のために