[文書名] 水産加工訓練センターの設置のための日本国政府とインド政府との間の協定
昭和三七年三月三一日ニュー・デリーで署名
昭和三七年三月三一日効力発生
前文
日本国政府及びインド政府は、両国間の経済的及び技術的協力を推進し、かつ、両国間に伝統的に存在する友好関係を一層強化することを真摯{摯にしとルビ}に希望して、次のとおり協定した。
第一条
センターの設置
水産加工の技術者に実際的及び理論的訓練を行なうことを業務とする水産加工訓練センター(以下「センター」という。)をインドのマイソール州のマンガロールに設置するものとする。
第二条
日本側職員の役務の供与並びに同職員に与えられる特権、免除及び便宜
(1)日本国政府は、日本国において施行されている法令に従い、附表Ⅰに掲げる日本側の理事長並びに必要な日本側の教育職員及び技術職員(以下「日本側職員」と総称する。)の役務を自己の負担において供与するため必要な措置を執るものとする。
(2)日本側職員は、コロンボ計画に基づいてインドに派遣されている専門家に認められている特権、免除及び便宜を与えられるものとする。
第三条
日本国政府による物品の供与並びにその所属及び用途
(1)日本国政府は、日本国において施行されている法令に従い、センターの設置及び運営に必要な、附表Ⅱに掲げる教材、機械、設備、工具及び予備部品を自己の負担において供与するため必要な措置を執るものとする。
(2)前記の物品は、マドラス、コチン又はマンガロールの港においてc・i・f建てでインドの関係当局に引き渡された時に、インド政府の財産となるものとする。
(3)前記の物品は、日本側の理事長の指導の下にセンターの目的のためのみに使用されるものとする。
第四条
職務遂行により生じた請求に関する責任
インド政府は、日本側職員のこの協定に定める職務のインドにおける善意の遂行に起因し、その遂行中に発生し、又はその他その遂行に関連がある、日本側職員に対する請求が生じた場合には、その請求に関する責任を負うことを約束する。
第五条
インド政府による供与及び負担
(1)インド政府は、自己の負担において次のものを供与することを約束する。
(a)附表Ⅲに掲げるインド側の理事長並びに必要なインド側の技術職員及び事務職員
(b)附表Ⅳに掲げる必要な建物並びにこれに必要な土地及び附帯施設
(c)水産物の陸揚げ施設
(d)原料並びに機械、設備及び工具の補充品並びにセンターの運営に必要なその他の材料でインドで調達することができるもの
(e)日本側職員のための交通の便宜
(2)インド政府は、次のものを負担することを約束する。
(a)第三条に掲げる物品についてインドにおいて課されることがある関税、内国税その他類似の課徴金
(b)第三条に掲げる物品のインド内における輸送並びにそれらの物品の設置、操作及び維持に必要な経費
(c)センターの運営に必要なその他の運営費
(3)インド政府は、日本側職員に対し、家具付きでない適当な宿舎を家賃の支払を条件として供与する責任を負い、さらに、日本側職員のそれぞれに対し、宿舎の家賃及び必要に応じて宿舎に家具を備え付けるための費用に充てるため、一日につき十五ルピーを支払うものとする。
第六条
両国人理事長の責任
日本側の理事長は、第一条に掲げるセンターの業務に関する技術的事項について責任を有するものとし、インド側の理事長は、センターの事務的事項について全面的責任を有するものとする。
両理事長は、センターの運営のため緊密に協力するものとする。
第七条
両政府間の協議
センターの目的を推進し、かつ、センターの運営における両国間の緊密な協力の促進の成果をあげるため、両政府間で協議を行なうものとする。
第八条
発効
(1)この協定は、その署名の日に効力を生ずる。
有効期間
(2)この協定は、その効力発生の日から三年の期間効力を有し、相互の合意によりさらに特定の期間延長することができる。
末文
千九百六十二年三月三十一日にニュー・デリーで、英語により本書二通を作成した。
日本国政府のために
特命全権大使 松平康東
インド政府のために
大蔵次官 L・K・ジャー