データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 中印国境問題に関するネール・インド首相あて返書

[場所] 
[年月日] 1962年11月3日
[出典] 外交青書7号,21−22頁.
[備考] 
[全文]

 過去において繰返し声明されてきた如く、領土紛争を含み国際紛争はすべて平和的手段によって解決されるべきであるとするのが日本政府の確信するところであり、国際紛争処理に当つて日本政府は常にこの確信にしたがって行動してきたのであります。

 従って、今般中共が貴国との国境紛争を解決するための手段として大規模な軍事行動に訴えていることは、極めて遺憾なことであります。私は、アジアひいては全世界の平和に対する脅威となるかかる軍事行動につき、閣下の重大なる関心と憂慮の念をともにするものであります。私はインドがこのようにして直面させられた諸困難に対し、日本政府及び日本国民の深甚なる同情を表明いたしたいと思います。

 日本国民は、この紛争が平和的手段によりなるべく速やかに国際正義にもとづき解決されるよう心より希望するものであり、私は、この目的のためにインド政府が払われるいかなる努力に対しても日本政府及び日本国民は支持を惜しまないことを貴閣下に対し確言したいと存じます。