[文書名] スワラン・シン・インド共和国外務大臣の訪日に関する日本とインドの共同新聞発表
1. スワラン・シン・インド共和国外務大臣閣下は,日本国政府の招待に応じて,1973年1月6日から10日まで日本を親善訪問した。シン外務大臣にはM・S・パタック計画委員会委員閣下,V・V・パランジペ外務省東アジア局長が同行し,また会談にはチルヴェンガダ・タン駐日インド大使閣下も出席した。
大平外務大臣の会談には小島駐印大使,法眼外務次官,吉田外務省アジア局長,御巫外務省経済協力局長が同席した。
2. シン外務大臣閣下は1月9日宮中において天皇陛下に謁見を賜わつた他,滞日中田中総理大臣,三木副総理,愛知大蔵大臣,桜内農林大臣,中曽根通商産業大臣,小坂経済企画庁長官を訪問した。
3. 両国外務大臣は1月8日及び9日の両日に両国に関心のある広汎な問題に関し最も丁重な雰囲気の許で極めて友好的に意見を交換した。両国外務大臣は特に1971年及び1972年におけるアジア及び世界において起つた歴史的発展につき回顧と検討を行なつた。
両国外務大臣は世界の各地における緊張緩和への一般的傾向,特にアジア及び欧州における緊張緩和への顕著なる動きを歓迎し,かかる動きが更に進展するとともに世界の他の地域にも好影響を及ぼすようにとの希望を表明した。
4. シン外務大臣は日本と中華人民共和国との国交正常化を歓迎し,これがアジアの平和と安定に貢献するであろうとの確信を表明した。
5. 大平外務大臣はインド・パキスタン問題がシムラ協定に謳われているように平和的に且つ両国間の話合いによつて解決されるようにとの深い希望を表明し,さらに,かかる努力が成功することを希望した。
6. 両国外務大臣は日印両国間の関係を検討し,両国間の経済技術協力を拡大しようとする要望が両国において高まりつつあることを歓迎した。両国外務大臣はこの方向に沿つてとられるべき具体的措置について検討をおこなつた。
両国外務大臣は日印経済協力調査委員会の活動が両国間の一層の理解と交流の促進に貴重な貢献をなしうること,それ故に委員会が一層の援助に値するものであるとの確信を披瀝した。
7. シン外務大臣閣下は,同大臣一行の日本滞在中に与えられた丁重な歓迎と厚遇について,日本政府及び同国国民に対し深い感謝の意を表明した。
8. シン外務大臣閣下は日本国外務大臣に対し,インド訪問の招待を衷心より行なつた。大平外務大臣はこの招待を欣然受諾し,相互に都合のよい近い将来におけるインド訪問の希望を表明した。