データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日印グローバル・パートナーシップ強化のための8項目の取組

[場所] ニューデリー
[年月日] 2005年4月24日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

 日本国内閣総理大臣とインド首相は、平和と繁栄のため日印グローバル・パートナーシップの潜在性を最大限顕在化すさせるため、以下の8項目の取組を決定した。

1.対話と交流の拡充

1.両首脳は、相互理解の増進のための定期的な対話と交流の重要性を認識する。この文脈で、両首脳は、今回の会談がこの1年間で3回目の首脳会談であることに満足の意をもって留意する。両首脳は、日印両国の首都で交互に、或いは地域・多数国間会議の機会を利用しつつその他の場所で毎年会合を行うことを決定。また、両首脳は、外務、防衛、貿易、財務及び情報通信技術担当大臣の定期的な交流を促進する意思を確認する。日印間でハイレベルの戦略的対話も二国間で開始する。双方は、既存の対話の枠組みを最大限活用し、石油・天然ガス協力に関する対話を日本の経済産業省とインドの石油・天然ガス省との間で開始する。

2.包括的な経済関係の構築

2.双方は、両国経済の補完的関係に基づき、日印間の経済・貿易及び協力を拡大・深化させるための諸措置を講じ、貿易量の飛躍的拡大及び貿易の多様化に向け進むことを決定した。

3.両首脳は、2005年6月までに発足予定の日印共同研究会において、物・サービスの貿易、投資、その他の経済関係の包括的拡大のために求められる方策に焦点をあて、一年以内に報告書を提出するよう命じた。また、JSGでは、両国が日印経済連携協定を含め、自由化され、より高い水準の経済連携枠組みに前進する可能性を検討する。経済産業省とインド商工省の間で最近発足した政策対話では、優先課題に基づき、障害を除去し、経済関係緊密化を促進するために求められる措置を特定、実施する。政府機関、産業界代表及び学者で構成されるJSGは、政策対話により提供される情報を考慮することがある。

4. 日印両政府は、民間部門と協力しつつ、インドにおける日系企業の対印投資水準が高まるよう慫慂するべく特別な努力を行う。また、日印両政府は、インド製造業の競争力を高めるため、技術協力を強化する。日本政府は、インド工業連盟が2007年に主催する国際技術展に可能な限りの支援を行う用意があり、パートナー国となる可能性も追求する。IT分野における両国の長所の組み合わせによる相乗効果の潜在力を考慮しつつ、ITデータバンク構想を含めIT、ICT協力強化のためのロード・マップを策定するために情報通信技術(ICT)フォーラムのための共同タスク・フォース及びICTフォーラムを活用する。

5.インド政府は、日本のODAの最大の受け取り国であることに深く感謝する。また、インド政府は日本側が、北カランプラ超臨界火力発電所、デリーメトロ、ガンジス川浄化計画(バラナシ)を含む2004年度の8案件に1345億円の円借款を約束したことに謝意をもって留意する。インド政府が経済開発を加速させている努力への支援、特に輸送、電力を含むインフラ、環境等の優先分野への支援のため、引き続きODAを活用することを確認する。日印両政府は、原則として、インドにおける日本青年海外協力隊スキームを再開することに合意した。

6.両国の経済関係水準を飛躍的に拡大するとの目標及び日印グローバル・パートナーシップで新たに強調された焦点に鑑み、両国は、本邦技術活用条件(STEP)がインフラ分野におけるインドの優先度の高い大規模プロジェクトを実施する効果的な方法の一つであるとの認識を共有する。双方は、STEP制度を活用しつつ、日本の技術と専門知識の支援により、コンピューター制御による高容量貨物専用鉄道建設計画(ムンバイーデリー線/デリーハウラー線)の提案の実行可能性を検討する意志を確認した。

7.両国政府は、民間航空、海運を通じた関係も含め、両国間の交通の便を改善するために努力する。租税条約を改正するための交渉を可能な限り早期に完結させる。

3.安全保障対話・協力の拡充

8.両首脳は、日印が地域及び国際社会の安全保障上の課題への取組において果たす重要な役割を認識する。両首脳は、日印安保対話、防衛政策対話及び防衛当局間協議を最大限活用していくことを含め、両国間で安全保障・防衛分野での対話と交流を更に進めていく希望を再確認する。両国の防衛当局の制服組間での交流も強化される。両首脳は、国際海上交通の安全確保の重要性を再確認し、海上保安当局間年次協議、海賊対策連携訓練、情報共有・技術支援を通じた協力を含め、継続的に共働するよう、それぞれの海上保安当局及び関連諸機関に指示した。日本海上保安庁及びインド沿岸警備隊は効果的な協力のための枠組みを開始する。両首脳はまた、海洋安全保障の重要性の観点から、それぞれ日本海上自衛隊、インド海軍に対し、意見交換や親善訪問及びその他の同様の活動を通じた協力を含め、更に協力関係を高めるよう指示した。

4.科学技術協力

9.日本とインドは、知的集約型社会へ移行しようとする2つの国として、科学技術協力の重要性を認識する。双方は、特にそれぞれの優位分野に留意し、ハイテクノロジー分野を含め、この分野における協力の大きな潜在力を活用するために共働する。日印は共働して、新しい「科学技術イニシアティブ」を立ち上げるために協力し、現代生物学、バイオテクノロジー、ヘルス・ケア、農業、炭化水素燃料、環境、ICT、ロボット工学、代替エネルギー等の分野における実質的な可能性を模索する。日印両政府は、日印科学技術合同委員会を再活性化し、2005年後半に次回会合を開催し、新しい「科学技術イニシアティブ」の形式と実施について議論する・両国政府は、ハイテク貿易拡大のための方法と手段を模索することも含め、ハイテクに関する協力を強化する。

5.文化・学術交流、人と人との交流の強化

10.両首脳は、両国国民、特に若者の間の交流の拡大が両国関係の基礎をより強固にするという認識を共有する。また、両首脳は、日本におけるインド及びインドにおける日本の存在感を高めていくことの重要性を認識する。両首脳は、文化・学術交流及び人と人とのより密接な交流が、未来の指導者達がグローバル・パートナーシップの理想を前進させるための適切な環境を創り出し、両国間に存在するお互いに対する親善を構築することを確信する。

11.これに基づき、日印両政府は、5年以内に様々なレベルで日本語学習者を3万人に引き上げるという目標の下、インドにおける中等教育課程で日本語を正規選択科目として導入すること等を含む手段を通じ、インドにおける日本語教育を共働して推進する。日本政府は、日本語教育が行われているインドの大学・機関に対する日本語学習センターの設立及びインド工科大学7校における日本語教育研究所の設立というインド政府の取組を歓迎し、奨励する。

12.日印両政府は、人と人の交流、特に学生の交流、JETプログラムを含む若い世代の交流を奨励し、文化・学術交流の継続的に推進し、日印文化混合委員会を通じて定期的に確認、強化する。国際交流基金とインド文化交流評議会間の組織的関係を進展させる。ニュー・デリーに国際交流基金の日本センターを、東京にインド文化センターを設立する。日本の支援の下、インドにおける仏教遺跡周辺地域を含む観光インフラ開発を進める。双方向の観光を推進し、日本政府は2005年中に観光調査団をインドに派遣する。日印両政府は、それぞれ選出された10の教育機関による新しい学術交流プログラムを導入する。双方は、ジャバルプールにおけるインド情報技術大学(デザイン・製造)及びインド工科大学の発展のための協力するためあらゆる努力を行う。両国政府は、日印間の文化協定締結50周年を記念し、2007年度に日本におけるインド祭、インドにおける日本祭を実施する。

6.アジア新時代の幕を開ける協力

13.両首脳は、アジアにおける平和、安全保障及び繁栄の促進において、それぞれの国が果たす役割と責任の重要性を認識し、評価する。両首脳は、この目的に向けて、東アジア共同体を実現する意図を有するとともに、アジア経済共同体の理念を「優位と繁栄の弧」として促進するために共働する。日本国側は、東アジア・サミットへのインドの参加を支持するとの決定をしたことを伝達したのに対し、インド側は、日本の支持に謝意を表明した。また、日印両政府は、国境を越える犯罪との闘いにおいても協力するとともに、地震、サイクロン、津波を含む自然災害の緩和にも共に取り組む。

7.国際連合その他の国際機関での協力

14.両首脳は、世界の平和、安定及び繁栄にとって国際連合の果たす役割が死活的に重要であることを確認するとともに、国連改革、特に安保理改革の早期実現に向けて共に協力していく意思を改めて確認する。また、両首脳は、全加盟国の一般的総意を代表する国連総会を再活性化することの重要性及び経済・社会分野において緊急の課題に効果的に対処するため国連諸機関・組織の効率性を改善することの重要性を強調する。この関連で、両首脳は、国連事務総長の勧告のとおり、2005年9月の国連サミット前に国連安保理改革についての決定がなされることの重要性を強調する。両首脳は、国連の代表性と信頼性をより高め、より効果的なものとするため、G4における協力を含め、常任・非常任理事国拡大による国連安保理改革実現のために日印間で進められている協力につき満足の意をもって留意する。両首脳は、日印両国が拡大された安保理における常任理事国としての正当な候補であることについての確固として共有された認識に基づき、常任理事国入りに関する相互支持を改めて表明する。また、両首脳は、国連改革のプロセスを意思を同じくする幅広い国々とともに前進させることの重要性と強調するとともに、この目的に向けた協力を強化していくことを決定する。

15.日印両国政府は、WTOを含め、その他の国際機関における協力も拡充する。両国政府は、2004年8月1日のドーハ作業計画に記載されている目的達成のために共働する。両国政府は、世界経済の運営における主要国として、開かれ、公正、公平、かつ透明性のあるルールに基づく多数国間貿易制度を支持するとともに、世界経済の安定と成長確保のために共働する意思を有する。

8.国際的課題への対処

16.日印両国政府は、テロの脅威及びテロとの闘いに国際社会が一致して対処する重要性を認識し、既存の二国間及び国際的な枠組みでの協力を一層強固なものとする。日印テロ協議は近く第1回会合を開催し、将来の協力分野を特定する。

17.日印両国政府は、不拡散のためのパートナーとして取り組む。両国政府は、核兵器の廃絶という共通の目標に向けたアプローチについてそれぞれの立場を表明する一方で、両国の共通性を促進し、相互協力で一致する分野を特定することを建設的に追求し、二国間関係全般の前進を図ることを確認する。

18.また、両国政府は、持続可能な開発及び環境に優しい技術を含め、エネルギーと環境面での協力を強化する。その際、両国政府は、エネルギー安全保障、エネルギー効率、省エネ及び無公害燃料に一層焦点を当てることを確保するものとする。さらに、両国政府は、炭化水素部門において第3国でのものを含む開発・生産・下流部門事業、アジアの石油市場の改善及びアジアのエネルギー・インフラへの投資拡大でも協力する。