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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 防衛協力に関する日本とインドの共同プレス発表

[場所] 東京
[年月日] 2009年11月9日
[出典] 防衛省
[備考] 防衛省仮訳
[全文]

1.A.K.アントニー印国防大臣は、2009年11月8日から10日までの間、北澤俊美防衛大臣の招待により日本を公式訪問している。両大臣は、2009年11月9日、東京において、日印間の防衛交流・協力並びに地域的及び国際的な安全保障情勢に関する緊密な協議を行った。

2.両大臣は、両国が、2006年以来、戦略的グローバル・パートナーシップを深化させていることを強調した。また、両大臣は、シン印首相による2008年10月の日本公式訪問の際、日印両首脳が、日本とインドとの間の安全保障協力に関する共同宣言(以下、「共同宣言」とする)に署名したことを想起し、安全保障協力を促進するための具体策を盛り込んだ行動計画を早期に作成することを希望した。両大臣は、両国によって作成される行動計画を通じた防衛交流・協力を更に推進するための諸策の両国による検討を加速化させる決意を表明した。

3.両大臣は、プラナーブ・ムカジー印国防大臣による2006年5月の日本公式訪問の際に日印防衛首脳が署名した日印間の防衛分野における協力に関する共同発表が、引き続き両国間の防衛交流・協力の発展の基礎であることをあらためて表明した。

(防衛大臣・国防大臣間の会合)

4.両大臣は、防衛大臣と国防大臣との間の年次の会合を開催する希望を表明した。アントニー大臣は、日本訪問の間における同大臣及び一行に対する北澤大臣の好意と歓待に謝意を表した。両大臣は、双方の都合のいい出来る限り早い時期における防衛大臣の訪印を実現させるために協働することに合意した。

(防衛事務次官・国防次官間の会合)

5.両大臣は、防衛政策対話を含む防衛事務次官と国防次官との間の定期的な会合を実施することの重要性を共有した。両大臣は、第2回防衛政策対話が、2010年の双方の都合のいい出来る限り早い時期にインドで実施されることへの希望を表明した。

(安全保障対話及び防衛当局間協議)

6.両大臣は、両国の防衛当局間の事務レベルにおける定期的な意見交換の重要性を強調した。両大臣は、本年2月に開催された局長級の第6回安全保障対話及び第5回防衛当局間協議を歓迎した。両大臣は、次回の安全保障対話及び防衛当局間協議が2010年に日本で行われることを満足感とともに指摘した。

(幕僚長間交流)

7.両大臣は、幕僚長の定期的な交流を期待した。日本側は、2008年8月の印海軍参謀長の訪日及び2009年8月に日本で開催された太平洋地域陸軍参謀総長等会議への印陸軍参謀長の参加を高く評価した。

(海軍種間協議及び陸軍種間協議を含む軍種間交流)

8.両大臣は、海軍種間協議及び陸軍種間協議を含む幕僚協議といった軍種間交流、並びに、自衛隊と印軍との間の協力を促進し海上安全保障及び災害救援の中核となる能力を向上させるための二国間演習の重要性をあらためて表明した。両大臣は、2007年9月にベンガル湾で行われた多国間海上演習「マラバール07-2」及び2009年4月に沖縄東方沖で行われた「マラバール09」といった、最近の二国間及び多国間の演習を歓迎した。両大臣は、2009年10月に日本で海上自衛隊と印海軍との間で第2回海軍種間協議が開催されたことに満足した。

(留学生及び研究者の相互派遣)

9.両大臣は、相互理解及び協力の基礎を築くため、双方の防衛関連機関への留学生及び研究者の相互派遣を促進することの重要性を認識した。この点において、両大臣は、防衛省・自衛隊から印国防大学及び印幕僚大学その他のインドの国防関係機関への、インドから防衛研究所の一般課程その他の日本の防衛関係機関への、相互主義の精神に基づく留学生及び研究者の定期的な派遣の重要性を確認した。

(海上安全保障)

10.両大臣は、日印両国が海上交通路の安全に対して共通の利益を有していることを認識し、近年の両国間、特に、海上自衛隊と印海軍との間の海上安全保障分野における協力の強化及び2009年10月にインドで行われた日印海上安全保障対話の開始を歓迎した。両大臣は、ソマリア沖・アデン湾における海賊問題への国際的な懸念を共有し、海賊対処の国際的な取組への支持を表明した。両大臣は、関係する地域において、海上交通路の安全を確保するために日印双方によって行われた取組を評価した。両大臣は、この分野における協力及び情報共有を維持・強化することを決意した。

(平和維持・平和構築、災害救援)

11.平和維持・平和構築に関し、両大臣は、ゴラン高原における国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)の両国の派遣隊が密接に協働していることへの満足感を表明し、このような実際的な協力が強化されることを希望した。両大臣は、日本の中央即応集団とインドの国連平和維持活動センター(CUNPK)といった両国の平和維持活動に関する組織による相互交流及び平和維持・平和構築から得た教訓の交換の重要性を確認した。日本側は、2009年2月のCUNPKの訓練課程への二人目の学生派遣の受け入れに感謝した。

12.両大臣は、災害救援活動及び人道支援における経験の共有の重要性を認識した。両大臣は、平和維持・平和構築及び災害救援分野における二国間及び域内の協力(例:ASEAN地域フォーラム(ARF))の大きな重要性を認識した。印側は、東京ディフェンス・フォーラムを通じた日本のイニシアティブを高く評価した。

(テロとの闘い)

13.両大臣は、テロ活動を非難し、テロとの闘いにおける協力を促進する決意を共有した。

(2010年の防衛交流・協力)

14.両大臣は、2010年に、有意義な方法で二国間の防衛交流・協力を進展させる決意を表明した。

2009年11月9日 東京