[文書名] 自衛隊法(成立時)
法律第百六十五号
自衛隊法
目次
第一章 総則(第一条−第六条)
第二章 指揮監督(第七条−第九条)
第三章 部隊
第一節 陸上自衛隊の部隊の組織及び編成(第十条−第十四条)
第二節 海上自衛隊の部隊の組織及び編成(第十五条−第十九条)
第三節 航空自衛隊の部隊の編成等(第二十条・第二十一条)
第四節 部隊編成の特例及び委任規定(第二十二条・第二十三条)
第四章 機関(第二十四条−第三十条)
第五章 隊員
第一節 通則(第三十一条−第三十四条)
第二節 任免(第三十五条−第四十一条)
第三節 分限、懲戒及び保障(第四十二条−第五十一条)
第四節 服務(第五十二条−第六十五条)
第五節 予備自衛官(第六十六条−第七十五条)
第六章 自衛隊の行動(第七十六条−第八十六条)
第七章 自衛隊の権限(第八十七条−第九十六条)
第八章 雑則(第九十七条−第百十七条)
第九章 罰則(第百十八条−第百二十二条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、自衛隊の任務、自衛隊の部隊の組織及び編成、自衛隊の行動及び権限、隊員の身分取扱等を定めることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「自衛隊」とは、防衛庁長官(以下「長官」という。)及び防衛政務次官並びに防衛庁の次長、参事官、内部部局、統合幕僚会議及び附属機関並びに陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊を含むものとする。
2 この法律において「陸上自衛隊」とは、陸上幕僚監部並びに陸上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関を含むものとする。
3 この法律において「海上自衛隊」とは、海上幕僚監部並びに海上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関を含むものとする。
4 この法律において「航空自衛隊」とは、航空幕僚監部並びに航空幕僚長の監督を受ける部隊及び機関を含むものとする。
5 この法律において「隊員」とは、防衛庁設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第七条第一項に規定する職員をいうものとする。
(自衛隊の任務)
第三条 自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。
2 陸上自衛隊は主として陸において、海上自衛隊は主として海において、航空自衛隊は主として空においてそれぞれ行動することを任務とする。
(自衛隊の旗)
第四条 内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、自衛隊旗又は自衛艦旗を自衛隊の部隊又は自衛艦に交付する。
2 前項の自衛隊旗及び自衛艦旗の制式は、政令で定める。
(表彰)
第五条 隊員又は防衛庁の附属機関若しくは自衛隊の部隊若しくは機関で、功績があつたものに対しては長官又はその委任を受けた者が、特に顕著な功績があつたものに対しては内閣総理大臣が表彰する。
2 前項に定めるものの外、自衛隊の表彰に関し必要な事項は、政令で定める。
(礼式)
第六条 自衛隊の礼式は、総理府令の定めるところによる。
第二章 指揮監督
(内閣総理大臣の指揮監督権)
第七条 内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。
(長官の指揮監督権)
第八条 長官は、内閣総理大臣の指揮監督を受け、自衛隊の隊務を統括する。但し、陸上幕僚長、海上幕僚長、又は航空幕僚長の監督を受ける部隊及び機関(以下「部隊等」という。)に対する長官の指揮監督は、それぞれ当該幕僚長を通じて行うものする。
(幕僚長の職務)
第九条 陸上幕僚長、海上幕僚長又は航空幕僚長(以下「幕僚長」という。)は、長官の指揮監督を受け、それぞれ陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の隊務及び所部の隊員の服務を監督する。
2 陸上幕僚長は陸上自衛隊の隊務に関し、海上幕僚長は海上自衛隊の隊務に関し、航空幕僚長は航空自衛隊の隊務に関しそれぞれ最高の専門的助言者として長官を補佐する。
3 幕僚長は、それぞれ部隊等に対する長官の命令を執行する。
第三章 部隊
第一節 陸上自衛隊の部隊の組織及び編成
(編成)
第十条 陸上自衛隊の部隊は、方面隊、管区隊その他の長官直轄部隊とする。
2 方面隊は、方面総監部及び管区隊その他の直轄部隊から成る。
3 管区隊は、管区総監部及び連隊その他の直轄部隊から成る。
(方面総監)
第十一条 方面隊の長は、方面総監とする。
2 方面総監は、長官の指揮監督を受け、方面隊の隊務を統括する。
(管区総監)
第十二条 管区隊の長は、管区総監とする。
2 管区総監は、長官(方面隊に属する管区隊の管区総監にあつては、方面総監)の指揮監督を受け、管区隊の隊務を統括する。
(方面隊及び管区隊の名称等)
第十三条 方面隊及び管区隊の名称並びに方面総監部及び管区総監部の名称及び所在地は、別表第一のとおりとする。
2 特別の事由によつて方面隊及び管区隊並びに方面総監部及び管区総監部(以下本条中「方面隊等」という。)を増置し、若しくは廃止し、又は方面隊等の名称及び所在地を変更する必要が生じた場合においては、国会の閉会中であるときに限り、政令で方面隊等を増置し、若しくは廃止し、又は方面隊等の名称及び所在地を変更することができる。この場合においては、政府は、次の国会でこの法律を改正する措置をとらなければならない。
(部隊の長)
第十四条 方面隊及び管区隊以外の部隊の長は、長官の定めるところにより、上官の指揮監督を受け、当該部隊の隊務を統括する。
第二節 海上自衛隊の部隊の組織及び編成
(編成)
第十五条 海上自衛隊の部隊は、自衛艦隊、地方隊その他の長官直轄部隊とする。
2 自衛艦隊は、自衛艦隊司令部及び護衛隊群、警戒隊群若しくは掃海隊群のうち二以上のもの又はこれらにその他の部隊を加えたものから成る。
3 地方隊は、地方総監部及び護衛隊、警戒隊、掃海隊、基地隊、航空隊その他の部隊から成る。但し、地方総監部以外の部隊の一部を編成に加えないことができる。
(自衛艦隊司令)
第十六条 自衛艦隊の長は、自衛艦隊司令とする。
2 自衛艦隊司令は、長官の指揮監督を受け、自衛艦隊の隊務を統括する。
(地方総監)
第十七条 地方隊の長は、地方総監とする。
2 地方総監は、長官の指揮監督を受け、地方隊の隊務(自衛艦隊その他の長官直轄部隊に対する補給その他長官の定める事項を含む。)を統括する。
(部隊の長)
第十八条 自衛艦隊及び地方隊以外の部隊の長は、長官の定めるところにより、上官の指揮監督を受け、当該部隊の隊務を統括する。
(地方隊の名称等)
第十九条 地方隊の名称並びに地方総監部の名称及び所在地は、別表第二のとおりとする。
2 特別の事由によつて地方隊及び地方総監部を増置し、若しくは廃止し、又は地方隊及び地方総監部の名称及び所在地を変更する必要が生じた場合においては、国会の閉会中であるときに限り、政令で地方隊及び地方総監部を増置し、若しくは廃止し、又は地方隊及び地方総監部の名称及び所在地を変更することができる。この場合においては、政府は、次の国会でこの法律を改正する措置をとらなければならない。
第三節 航空自衛隊の部隊の編成等
(編成)
第二十条 航空自衛隊の部隊は、航空教育隊その他の長官直轄部隊とする。
2 航空自衛隊の部隊の長は、長官の定めるところにより、上官の指揮監督を受け、当該部隊の隊務を統括する。
(航空教育隊の名称等)
第二十一条 航空教育隊の名称及び所在地は、政令で定める。
第四節 部隊編成の特例及び委任規定
(特別の部隊の編成)
第二十二条 内閣総理大臣は、第七十六条第一項、第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定により自衛隊の出動を命じた場合には、特別の部隊を編成することができる。
2 長官は、第八十二条の規定による海上における警備行動、第八十三条第二項の規定による災害派遣、訓練その他の事由に因り必要がある場合には、特別の部隊を臨時に編成することができる。
(委任規定)
第二十三条 本章に定めるものの外、自衛隊の部隊の組織、編成及び警備区域に関し必要な事項は、政令で定める。
第四章 機関
(機関)
第二十四条 防衛庁に置かれる陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の機関の種類は、左のとおりとする。但し、海上自衛隊又は航空自衛隊については、その一部を置かないことができる。
一 学校
二 補給処
三 病院
四 地方連絡部
2 前項に規定するものの外、自衛隊の業務遂行上特に必要がある場合には、政令で定めるところにより、臨時に陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の機関を置くことができる。
(学校)
第二十五条 学校においては、隊員に対しその職務を遂行するに必要な知識及び技能を修得させるための教育訓練を行うとともに、それぞれ各種部隊の運用等に関する調査研究を行う。
2 学校に、校長を置き、自衛官をもつて充てる。
3 校長は、長官の定めるところにより、校務を掌理する。
(補給処)
第二十六条 補給処においては、自衛隊の需品、火器、弾薬、車両、航空機、施設器材、通信器材、衛生器材等の調達、保管、補給又は整備及びこれらに関する調査研究を行う。
2 補給処に、処長を置き、自衛官をもつて充てる。
3 処長は、長官の定めるところにより、処務を掌理する。但し、長官は、必要があると認める場合には、方面総監、管区総監又は地方総監に指揮監督させることができる。
(病院)
第二十七条 病院においては、隊員その他政令で定める者の診療を行うとともに、医療その他の衛生に関する調査研究を行う。
2 病院に、病院長を置き、自衛官又は技官をもつて充てる。
3 病院長は、長官の定めるところにより、院務を掌理する。但し、長官は、必要があると認める場合には、方面総監、管区総監又は地方総監に指揮監督させることができる。
(特別の事務)
第二十八条 長官は、必要があると認めるときは、校長、処長又は病院長に校務、処務又は院務以外の事務を処理させることができる。この場合においては、長官は、これらの事務について方面総監、管区総監又は地方総監に校長、処長又は病院長を指揮監督させることができる。
(地方連絡部)
第二十九条 地方連絡部においては、自衛官の募集その他長官の定める事務を行う。
2 地方連絡部に、地方連絡部長を置き、自衛官をもつて充てる。
3 地方連絡部長は、長官の定めるところにより、方面総監又は管区総監の指揮監督を受け、部務を掌理する。
(委任規定)
第三十条 本章に定めるものの外、機関の名称、位置、所掌事務、補給処の支処その他の地方機関の設置その他機関に関し必要な事項は、政令で定める。
第五章 隊員
第一節 通則
(任命権者)
第三十一条 隊員の任用、休職、復職、退職、免職、補職及び懲戒処分は、長官又はその委任を受けた者が行う。
(自衛官の階級)
第三十二条 陸上自衛隊の自衛官の階級は、陸将、陸将補、一等陸佐、二等陸佐、三等陸佐、一等陸尉、二等陸尉、三等陸尉、一等陸曹、二等陸曹、三等陸曹、陸士長、一等陸士、二等陸士及び三等陸士とする。
2 海上自衛隊の自衛官の階級は、海将、海将補、一等海佐、二等海佐、三等海佐、一等海尉、二等海尉、三等海尉、一等海曹、二等海曹、三等海曹、海士長、一等海士、二等海士及び三等海士とする。
3 航空自衛隊の自衛官の階級は、空将、空将補、一等空佐、二等空佐、三等空佐、一等空尉、二等空尉、三等空尉、一等空曹、二等空曹、三等空曹、空士長、一等空士、二等空士及び三等空士とする。
(服制)
第三十三条 自衛官、防衛大学校の学生(以下「学生」という。)その他その勤務の性質上制服を必要とする隊員の服制は、総理府令で定める。
(非常勤の隊員の特例)
第三十四条 予備自衛官以外の非常勤の隊員に対する本章の規定の適用については、その職務と責任の特殊性に基いて、政令で同章に定める制限を緩和し、又は排除することができる。
第二節 任免
(隊員の採用)
第三十五条 隊員の採用は、試験によるものとする。但し、試験以外の能力の実証に基く選考によることを妨げない。
2 前項の試験及び選考その他隊員の採用の方法及び手続に関し必要な事項は、総理府令で定める。
(陸士長等の任用期間及びその延長)
第三十六条 陸士長、一等陸士、二等陸士及び三等陸士(以下「陸士長等」という。)は、二年を任用期間として任用されるものとする。但し、長官の定める特殊の技術を必要とする職務を担当する陸士長等は、その志願に基き、三年を任用期間として任用されることができる。
2 前項の規定は、陸士長等で、志願に基き陸曹候補者の指定を受けた者のうち長官の定めるものについては、適用しない。
3 第一項の任用期間の起算日は、採用の日とする。但し、三等陸曹以上の階級から降任された場合にあつては降任の日、前項に規定する陸曹候補者の指定を受けた者のうち長官の定めるものがその指定を取り消された場合にあつては当該指定を取り消された日とする。
4 長官は、陸士長等の任用期間が満了した場合において、当該陸士長等が志願をしたときは、引き続き二年を任用期間としてこれを任用することができる。この場合における任用期間の起算日は、引き続いて任用された日とする。
5 長官は、任用期間を定めて任用されている陸士長等が任用期間が満了したことに因り退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認める場合には、当該陸士長等が第七十六条第一項の規定による防衛出動を命ぜられている場合にあつては一年以内、その他の場合にあつては六月以内の期間を限つて、任用期間を延長することができる。
(隊員の昇任)
第三十七条 隊員の昇任は、勤務実績若しくは功労に基く選考又は試験によるものとする。
2 前項の選考及び試験その他隊員の昇任の方法及び手続に関し必要な事項は、総理府令で定める。
(欠格条項)
第三十八条 左の各号の一に該当する者は、隊員となることができない。
一 禁治産者及び準禁治産者
二 禁こ以上の刑に処せられ、その執行を終るまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
三 法令の規定による懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
四 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
2 隊員は、前項各号の一に該当するに至つたときは、総理府令で定める場合を除き、当然失職する。
(人事に関する不正行為の禁止)
第三十九条 何人も、隊員の任用、休職、復職、退職、免職、補職、懲戒処分その他の人事に関する行為を不正に実現し、又は不正にその実現を妨げる目的をもつて、金銭その他の利益を授受し、提供し、若しくはその授受を要求し、若しくは約束し、脅迫、強制その他これに類する方法を用い、又は公の地位を利用し、若しくはその利用を提供し、要求し、若しくは約束し、あるいはこれらの行為に関与してはならない。
(退職の承認)
第四十条 長官又はその委任を受けた者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。
(条件附採用)
第四十一条 隊員の採用は、すべて条件附のものとし、その隊員がその職において六月を下らない期間を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに、正式のものとなる。
2 条件附採用に関し必要な事項及び条件附採用期間であつて六月をこえる期間を要するものについては、総理府令で定める。
第三節 分限、懲戒及び保障
(身分保障)
第四十二条 隊員は、懲戒処分による場合及び左の各号の一に該当する場合を除き、その意に反して、降任され、又は免職されることがない。
一 勤務成績がよくない場合
二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
三 前二号に規定する場合の外、その職務に必要な適格性を欠く場合
四 組織、編成若しくは定員の改廃又は予算の減少に因り、廃職又は過員を生じた場合
第四十三条 隊員は、左の各号の一に該当する場合又は政令で定める場合を除き、その意に反して休職にされることがない。
一 心身の故障のため長期の休養を要する場合
二 刑事事件に関し起訴された場合
(休職の効果)
第四十四条 休職の期間は、政令で定める。但し、前条第二号の規定による休職の期間は、その事件が裁判所に係属する間とする。
2 休職者は、隊員としての身分を保有するが、職務に従事しない。
3 休職者には、法令で別段の定をする場合を除き、給与を支給しない。
4 長官又はその委任を受けた者は、休職者について休職の事由が消滅したときは、政令で定める場合を除き、直ちにその者を復職させなければならない。
(停年及び停年後の任用)
第四十五条 自衛官(陸士長等を除く。以下本条中同じ。)の停年は、勤務の性質に応じ、階級ごとに政令で定める。
2 長官は、自衛官が停年に達したことに因り退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるときは、当該自衛官が第七十六条第一項の規定による防衛出動を命ぜられている場合にあつては一年以内の期間を限り、その他の場合にあつては六月以内の期間を限り、当該自衛官が停年に達した後も引き続いて自衛官として勤務させることができる。
(懲戒処分)
第四十六条 隊員が左の各号の一に該当する場合には、これに対し懲戒処分として、免職、降任、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
二 隊員たるにふさわしくない行為のあつた場合
三 その他この法律又はこの法律に基く命令に違反した場合
(懲戒の効果)
第四十七条 懲戒処分としての降任は、階級又は職務の級の一級又は二級だけ下位の階級又は職務の級にくだすものとする。
2 停職の期間は、一年以内とする。停職者は、隊員としての身分を保有するが、特に命ぜられた場合を除いては、職務に従事することを停止される。
3 停職者には、法令で別段の定をする場合を除き、給与を支給しない。
4 減給は、一年以内の期間、俸給の五分の一以下を減ずるものとする。
(学生の分限及び懲戒の特例)
第四十八条 防衛大学校の長(以下本条中「学校長」という。)は、学生が成績不良又は心身の故障のため修学の見込がないと認める場合には、その意に反して退校を命ずることができる。
2 学校長は、学生が左の各号の一に該当する場合には、その意に反して休学を命ずることができる。
一 心身の故障のため長期の休養を要する場合
二 刑事事件に関し起訴された場合
3 学校長は、学生が左の各号の一に該当する場合には、これに対し懲戒処分として、退校、停学又は戒告の処分をすることができる。
一 学生としての義務に違反し、又は学業を怠つた場合
二 学生たるにふさわしくない行為があつた場合
三 その他この法律又はこの法律に基く命令に違反した場合
4 学生が第一項又は前項の規定により退校にされた場合には、当然退職するものとする。
5 前項に定めるものの外、学生の分限及び懲戒の効果に関し必要な事項は、政令で定める。
(審査の請求及び公正審査会)
第四十九条 隊員は、その意に反して、降任され、休職にされ、若しくは免職され、又は懲戒処分を受けた場合には、長官に対して、その審査を請求することができる。
2 長官は、前項の審査の請求を受けた場合には、これを公正審査会に付議しなければならない。
3 長官は、前項の規定により付議した処分に対する公正審査会の判定があつたときは、その判定に従つて必要な措置をとらなければならない。
4 公正審査会は、防衛庁に置く。
5 審査の請求の手続並びに公正審査会の組織及び運営は、政令で定める。
(適用除外)
第五十条 第四十二条から第四十四条まで及び前条の規定は、条件附採用期間中の隊員、臨時的に任用された隊員及び学生については、適用しない。
(委任規定)
第五十一条 本節に定めるものの外、隊員の分限及び懲戒に関し必要な事項は、政令で定める。
第四節 服務
(服務の本旨)
第五十二条 隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に努め、もつて国民の負託にこたえることを期するものとする。
(服務の宣誓)
第五十三条 隊員は、総理府令で定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。
(勤務態勢及び勤務時間等)
第五十四条 隊員は、何時でも職務に従事することのできる態勢になければならない。
2 隊員の勤務時間及び休暇は、勤務の性質に応じ、総理府令で定める。
(指定場所に居住する義務)
第五十五条 自衛官は、総理府令で定めるところに従い、長官が指定する場所に居住しなければならない。
(職務遂行の義務)
第五十六条 隊員は、法令に従い、誠実にその職務を遂行するものとし、職務上の危険若しくは責任を回避し、又は上官の許可を受けないで職務を離れてはならない。
(上官の命令に服従する義務)
第五十七条 隊員は、その職務の遂行に当つては、上官の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
(品位を保つ義務)
第五十八条 隊員は、常に品位を重んじ、いやしくも隊員としての信用を傷つけ、又は自衛隊の威信を損するような行為をしてはならない。
2 自衛官及び学生は、長官の定めるところに従い、制服を着用し、服装を常に端正に保たなければならない。
(秘密を守る義務)
第五十九条 隊員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を離れた後も、同様とする。
2 隊員が法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合には、長官の許可を受けなければならない。その職を離れた後も、同様とする。
3 前項の許可は、法令に別段の定がある場合を除き、拒むことができない。
(職務に専念する義務)
第六十条 隊員は、法令に別段の定がある場合を除き、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用いなければならない。
2 隊員は、法令に別段の定がある場合を除き、防衛庁以外の国家機関の職を兼ね、又は地方公共団体の機関の職につくことができない。
3 隊員は、自己の職務以外の防衛庁の職務を行い、又は防衛庁以外の国家機関の職を兼ね、若しくは地方公共団体の機関の職につく場合においても、総理府令で定める場合を除き、給与を受けることができない。
(政治的行為の制限)
第六十一条 隊員は、政党又は政令で定める政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもつてするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、政令で定める政治的行為をしてはならない。
2 隊員は、公選による公職の候補者となることができない。
3 隊員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。
(私企業からの隔離)
第六十二条 隊員は、営利を目的とする会社その他の団体の役員若しくは顧問の地位その他これらに相当する地位につき、又は自ら営利企業を営んではならない。
2 隊員は、その離職後二年間は、営利を目的とする会社その他の団体の地位で、離職前五年以内に従事していた職務と密接な関係のあるもので総理府令で定めるものについてはならない。
3 前二項の規定は、隊員が総理府令で定める基準に従い行う長官の承認を受けた場合には、適用しない。
(他の職又は事業の関与制限)
第六十三条 隊員は、報酬を受けて、第六十条第二項に規定する国家機関及び地方公共団体の機関の職並びに前条第一項の地位以外の職又は地位につき、あるいは営利企業以外の事業を行う場合には、総理府令で定める基準に従い行う長官の承認を受けなければならない。
(団体の結成等の禁止)
第六十四条 隊員は、勤務条件等に関し使用者たる国の利益を代表する者と交渉するための組合その他の団体を結成し、又はこれに加入してはならない。
2 隊員は、同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。
3 何人も、前項の行為を企て、又はその遂行を共謀し、教唆し、若しくはせん動してはならない。
4 前三項の規定に違反する行為をした隊員は、その行為の開始とともに、国に対し、法令に基いて保有する任用上の権利をもつて対抗することができない。
(委任規定)
第六十五条 本節に定めるものの外、隊員の服務に関し必要な事項は、総理府令で定める。
第五節 予備自衛官
(予備自衛官)
第六十六条 予備自衛官は、第七十条第一項に規定する防衛招集命令により招集された場合において同条第三項の規定により自衛官となつて勤務し、第七十一条第一項に規定する訓練招集命令により招集された場合において訓練に従事するものとする。
2 予備自衛官の員数は、一万五千人とし、防衛庁設置法第七条第一項に規定する職員の定員外とする。
(採用)
第六十七条 予備自衛官の採用は、第三十五条の規定にかかわらず、自衛官(旧保安隊の保安官及び旧警察予備隊の警察官並びに旧警備隊の警備官及び旧海上警備隊の海上警備官を含む。)であつた者の志願に基き、総理府令で定めるところにより、選考によつて行うものとする。
2 長官又はその委任を受けた者は、採用された予備自衛官に対し、総理府令で定めるところにより、相当の自衛官の階級を指定するものとする。
(任用期間及びその延長)
第六十八条 予備自衛官に採用された者の任用期間は、採用の日から起算して三年とする。
2 長官は、予備自衛官(第七十条第一項の規定による防衛招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官となつている者を含む。)がその任用期間が満了した場合において、志願をしたときは、引き続き三年を任用期間として、これを予備自衛官に任用することができる。この場合における任用期間の起算日は、引き続いて任用された日とする。
3 長官は、予備自衛官が第七十条第一項の規定による防衛招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官となつている場合において、当該自衛官が予備自衛官に採用され、又は引き続き任用された日から起算して三年を経過したことに因り退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるときは、一年以内の期間を限り、その者の任用期間を延長することができる。
4 予備自衛官が第七十条第一項の規定による防衛招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官となつていた期間は、予備自衛官の任用期間に含めて計算するものとする。
(昇進)
第六十九条 長官又はその委任を受けた者は、勤務実績又は能力の実証に基く選考により、予備自衛官を、その現に指定されている自衛官の階級より上位の階級を指定して、昇進させることができる。
2 前項の選考その他予備自衛官の昇進の方法及び手続に関し必要な事項は、総理府令で定める。
(防衛招集)
第七十条 長官は、第七十六条第一項に規定する防衛出動命令が発せられた場合において、必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、予備自衛官に対し、防衛招集命令書によつて、防衛招集命令を発することができる。
2 前項の防衛招集命令を受けた予備自衛官は、指定の日時に、指定の場所に出頭して、防衛招集に応じなければならない。
3 第一項の防衛招集命令により招集された予備自衛官は、辞令を発せられることなく、防衛招集に応じて出頭した日をもつて、現に指定されている階級の自衛官となるものとする。この場合において、当該自衛官の員数は、防衛庁設置法第七条第一項に規定する職員の定員外とする。
4 前項本文の場合においては、当該自衛官の任用期間は、第三十六条の規定にかかわらず、その者の予備自衛官としての任用期間によるものとし、当該自衛官については、第四十五条第一項の停年に関する規定は、適用しない。
5 第一項の規定による防衛招集命令を受けた予備自衛官が心身の故障その他真にやむを得ない事由に因り指定の日時に、指定の場所に出頭することができない旨を申し出た場合又は防衛招集に応じて出頭した予備自衛官についてこれらの事由があると認める場合においては、長官は、政令で定めるところにより、防衛招集命令を取り消し、又は防衛招集を猶予し、若しくは解除することができる。
6 長官は、防衛招集の必要がなくなつた場合には、すみやかに、防衛招集を解除しなければならない。
7 防衛招集を解除された自衛官は、次項に該当する場合を除き、辞令を発せられることなく、防衛招集の解除の日の翌日をもつて予備自衛官となり、防衛招集の解除の日の当該自衛官の階級を指定されたものとする。
8 第六十八条第三項の規定により任用期間が延長されていた自衛官が防衛招集を解除された場合においては、防衛招集の解除の日をもつて予備自衛官の任用期間が満了したものとする。
(訓練招集)
第七十一条 長官は、所要の訓練を行うため、年に二回以内、各回ごとに招集期間を定めて、予備自衛官に対し、訓練招集命令書によつて、訓練招集命令を発することができる。
2 前項の訓練招集命令を受けた予備自衛官は、指定の日時に、指定の場所に出頭して、訓練招集に応じなければならない。
3 第一項の招集期間は、一年を通じて二十日をこえないものとする。
4 前条第五項の規定は、訓練招集について準用する。この場合において、同項中「防衛招集命令を取り消し、又は防衛招集を猶予し、若しくは解除することができる。」とあるのは、「訓練招集命令を取り消し、又は変更することができる。」と読み替えるものとする。
5 第一項の訓練招集命令により招集された予備自衛官は、その招集されている期間中、総理府令で定めるところに従い、長官が指定する場所に居住して、訓練に従事するものとする。
(委任規定)
第七十二条 前二条に規定するものの外、第七十条第一項に規定する防衛招集命令書及び前条第一項に規定する訓練招集命令書に記載すべき事項、防衛招集命令及び訓練招集命令の手続その他防衛招集及び訓練招集に関し必要な事項は、政令で定める。
(不利益取扱の禁止)
第七十三条 何人も、被用者を求め、又は求職者の採否を決定する場合においては、予備自衛官である者に対し、その予備自衛官であることを理由として不利益な取扱をしてはならない。
2 すべて使用者は、被用者が予備自衛官であること又は予備自衛官になろうとしたことを理由として、その者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をしてはならない。
(住所変更の届出)
第七十四条 予備自衛官は、住所を変更したとき、心身の故障のため長期の休養を要するに至つたとき、又は不具廃疾となつたときは、政令で定めるところにより、長官に対し、すみやかに、その旨を届け出なければならない。
2 予備自衛官は、防衛招集又は訓練招集に支障を来たすことのないように、常にその所在を同居の親族その他政令で定める者に明らかにしておかなければならない。
3 予備自衛官が死亡したとき、又は所在不明となつたときは、前項の同居の親族その他政令で定める者は、政令で定めるところにより、長官に対し、すみやかに、その旨を届け出なければならない。
(適用除外)
第七十五条 第四十一条、第三節、第五十四条第一項、第六十条第二項及び第三項並びに第六十一条から第六十三条までの規定は、予備自衛官については、適用しない。但し、第六十一条第一項の規定は、第七十一条第一項の規定による訓練招集命令により招集されている予備自衛官については、適用があるものとする。
2 第四十一条、第六十条第二項及び第三項、第六十一条第二項及び第三項並びに第六十二条及び第六十三条の規定は、第七十条第三項の規定により自衛官となつている者については、適用しない。
第六章 自衛隊の行動
(防衛出動)
第七十六条 内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃(外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)に際して、わが国を防衛するため必要があると認める場合には、国会の承認(衆議院が解散されているときは、日本国憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認。以下本項及び次項において同じ。)を得て、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。但し、特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。
2 前項但書の規定により国会の承認を得ないで出動を命じた場合には、内閣総理大臣は、直ちに、これにつき国会の承認を求めなければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があつたとき、又は出動の必要がなくなつたときは、直ちに、自衛隊の撤収を命じなければならない。
(防衛出動待機命令)
第七十七条 長官は、事態が緊迫し、前条第一項の規定による防衛出動命令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の全部又は一部に対し出動待機命令を発することができる。
(命令による治安出動)
第七十八条 内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもつては、治安を維持することができないと認められる場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による出動を命じた場合には、出動を命じた日から二十日以内に国会に付議して、その承認を求めなければならない。但し、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会において、すみやかに、その承認を求めなければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があつたとき、又は出動の必要がなくなつたときは、すみやかに、自衛隊の撤収を命じなければならない。
(治安出動待機命令)
第七十九条 長官は、事態が緊迫し、前条第一項の規定による治安出動命令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の全部又は一部に対し出動待機命令を発することができる。
2 前項の場合においては、長官は、国家公安委員会と緊密な連絡を保つものとする。
(海上保安庁の統制)
第八十条 内閣総理大臣は、第七十六条第一項又は第七十八条第一項の規定による自衛隊の全部又は一部に対する出動命令があつた場合において、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れた場合には、政令で定めるところにより、長官にこれを指揮させるものとする。
3 内閣総理大臣は、第一項の規定による統制につき、その必要がなくなつたと認める場合には、すみやかに、これを解除しなければならない。
(要請による治安出動)
第八十一条 都道府県知事は、治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合には、当該都道府県の都道府県公安委員会と協議の上、内閣総理大臣に対し、部隊等の出動を要請することができる。
2 内閣総理大臣は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊等の出動を命ずることができる。
3 都道府県知事は、事態が収まり、部隊等の出動の必要がなくなつたと認める場合には、内閣総理大臣に対し、すみやかに、部隊等の撤収を要請しなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の要請があつた場合又は部隊等の出動の必要がなくなつたと認める場合には、すみやかに、部隊等の撤収を命じなければならない。
5 都道府県知事は、第一項に規定する要請をした場合には、事態が収つた後、すみやかに、その旨を当該都道府県の議会に報告しなければならない。
6 第一項及び第三項に規定する要請の手続は、政令で定める。
(海上における警備行動)
第八十二条 長官は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。
(災害派遣)
第八十三条 都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を長官又はその指定する者に要請することができる。
2 長官又はその指定する者は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊等を救援のため派遣することができる。但し、天災地変その他の災害に際し、その事態に照らし特に緊急を要し、前項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、部隊等を派遣することができる。
3 庁舎、営舎その他の防衛庁の施設又はこれらの近傍に火災その他の災害が発生した場合においては、部隊等の長は、部隊等を派遣することができる。
4 第一項の要請の手続は、政令で定める。
(領空侵犯に対する措置)
第八十四条 長官は、外国の航空機が国際法規又は航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。
(長官と国家公安委員会との相互の連絡)
第八十五条 内閣総理大臣は、第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定による出動命令を発するに際しては、長官と国家公安委員会との相互の間に緊密な連絡を保たせるものとする。
(関係機関との連絡及び協力)
第八十六条 第七十六条第一項、第七十八条第一項、第八十一条第二項及び第八十三条第二項の規定により部隊等が行動する場合には、当該部隊等及び当該部隊等に関係のある都道府県知事、市町村長、警察消防機関その他の国又は地方公共団体の機関は、相互に緊密に連絡し、及び協力するものとする。
第七章 自衛隊の権限
(武器の保有)
第八十七条 自衛隊は、その任務の遂行に必要な武器を保有することができる。
(防衛出動時の武力行使)
第八十八条 第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる。
2 前項の武力行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合にあつてはこれを遵守し、且つ、事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならないものとする。
(治安出動時の権限)
第八十九条 警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)の規定は、第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、同法第四条第二項中「公安委員会」とあるのは、「長官の指定する者」と読み替えるものとする。
2 前項において準用する警察官職務執行法第七条の規定により自衛官が武器を使用するには、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十六条又は第三十七条に該当する場合を除き、当該部隊指揮官の命令によらなければならない。
第九十条 第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の自衛官は、前条の規定により武器を使用する場合の外、左の各号の一に該当すると認める相当の理由があるときは、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。
一 職務上警護する人、施設又は物件が暴行又は侵害を受け、又は受けようとする明白な危険があり、武器を使用する外、他にこれを排除する適当な手段がない場合
二 多衆集合して暴行若しくは脅迫をし、又は暴行若しくは脅迫をしようとする明白な危険があり、武器を使用する外、他にこれを鎮圧し、又は防止する適当な手段がない場合
2 前条第二項の規定は、前項の場合について準用する。
第九十一条 海上保安庁法(昭和二十三年法律第二十八号)第十六条、第十七条第一項及び第十八条の規定は、第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定により出動を命ぜられた海上自衛隊の三等海曹以上の自衛官の職務の執行について準用する。
(防衛出動時の公共の秩序の維持のための権限)
第九十二条 第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、第八十八条の規定により武力を行使する外、必要に応じ、公共の秩序を維持するため行動することができる。
2 警察官職務執行法及び第九十条第一項の規定は、第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の自衛官が前項の規定により公共の秩序の維持のため行う職務の執行について、海上保安庁法第十六条、第十七条第一項及び第十八条の規定は、第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた海上自衛隊の三等海曹以上の自衛官が前項の規定により公共の秩序の維持のため行う職務の執行について準用する。この場合において、警察官職務執行法第四条第二項中「公安委員会」とあるのは、「長官の指定する者」と読み替えるものとする。
3 第八十九条第二項の規定は、前項において準用する警察官職務執行法第七条又はこの法律第九十条第一項の規定により自衛官が武器を使用する場合について準用する。
(海上における警備行動時の権限)
第九十三条 警察官職務執行法第七条の規定は、第八十二条の規定により行動を命ぜられた自衛隊の自衛官の職務の執行について準用する。
2 海上保安庁法第十六条、第十七条第一項及び第十八条の規定は、第八十二条の規定により行動を命ぜられた海上自衛隊の三等海曹以上の自衛官の職務の執行について準用する。
3 第八十九条第二項の規定は、第一項において準用する警察官職務執行法第七条の規定により武器を使用する場合について準用する。
(災害派遣時の権限)
第九十四条 警察官職務執行法第四条並びに第六条第一項、第三項及び第四項の規定は、警察官がその場にいない場合に限り、第八十三条第二項の規定により派遣を命ぜられた部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、同法第四条第二項中「公安委員会」とあるのは、「長官の指定する者」と読み替えるものとする。
2 海上保安庁法第十六条の規定は、第八十三条第二項の規定により派遣を命ぜられた海上自衛隊の三等海曹以上の自衛官の職務の執行について準用する。
(武器等の防護のための武器の使用)
第九十五条 自衛官は、自衛隊の武器、弾薬、火薬、航空機、車両又は液体燃料を職務上警護するに当り、人又は武器、弾薬、火薬、航空機、車両若しくは液体燃料を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。但し、刑法第三十六条又は第三十七条に該当する場合の外、人に危害を与えてはならない。
(部内の秩序維持に専従する者の権限)
第九十六条 自衛官のうち、部内の秩序維持の職務に専従する者は、政令で定めるところにより、左の各号に掲げる犯罪については、政令で定めるものを除き、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察職員として職務を行う。
一 自衛官並びに陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部及び部隊等に所属する自衛官以外の隊員並びに学生及び訓練招集に応じている予備自衛官(以下本条中「隊員」という。)の犯した犯罪又は職務に従事中の隊員に対する犯罪その他隊員の職務に関し隊員以外の者の犯した犯罪
二 自衛隊の使用する船舶、庁舎、営舎その他の施設内における犯罪
三 自衛隊の所有し、又は使用する施設又は物に対する犯罪
2 前項の規定により司法警察職員として職務を行う自衛官のうち、三等陸曹、三等海曹又は三等空曹以上の者は司法警察員とし、その他の者は司法巡査とする。
3 警察官職務執行法第七条の規定は、第一項の自衛官の職務の執行について準用する。
第八章 雑則
(募集事務の一部委任)
第九十七条 都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行う。
2 長官は、警察庁及び都道府県警察に対し、自衛官の募集に関する事務の一部について協力を求めることができる。
3 第一項の規定により都道府県知事及び市町村長の行う事務並びに前項の規定により都道府県警察の行う協力に要する経費は、国庫の負担とする。
(学資金の貸与)
第九十八条 長官は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する大学(大学院を含む。)に在学する学生で、政令で定める学術を専攻し、修学後その専攻した学術を応用して自衛隊に勤務しようとする者に対し、選考により学資金を貸与することができる。
2 前項の貸与金の額は、政令で定める。
3 第一項の貸与金には、利息を附さない。
4 長官は、学資金の貸与を受けた者が左の各号の一に該当する場合には、政令で定めるところにより、その貸与金の全部又は一部の返還を免除することができる。
一 修学後政令で定める年数以上継続して隊員であつたとき。
二 修学後隊員であつた者が公務に因る災害のため心身に故障を生じ、第四十二条第二号の規定に該当して免職されたとき、又は同条第四号の規定に該当して免職されたとき。
三 死亡又は不具廃疾に因り貸与金の返還ができなくなつたとき。
5 前四項に定めるものの外、学資金の貸与及び返還に関し必要な事項は、政令で定める。
(機雷等の除去)
第九十九条 海上自衛隊は、長官の命を受け、海上における機雷その他の爆発性の危険物の除去及びこれらの処理を行うものとする。
(土木工事等の受託)
第百条 長官は、自衛隊の訓練の目的に適合する場合には、国、地方公共団体その他政令で定めるものの土木工事、通信工事その他政令で定める事業の施行の委託を受け、及びこれを実施することができる。
2 前項の事業の受託に関し必要な事項は、政令で定める。
(海上保安庁等との関係)
第百一条 自衛隊と海上保安庁、航空保安事務所、航空標識所、気象官署、地理調査所、日本国有鉄道及び日本電信電話公社(以下本条中「海上保安庁等」という。)は、相互に常に緊密な連絡を保たなければならない。
2 長官は、自衛隊の任務遂行上特に必要があると認める場合には、海上保安庁等に対し協力を求めることができる。この場合においては、海上保安庁等は、特別の事情のない限り、これに応じなければならない。
(自衛艦旗等)
第百二条 自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶は、長官の定めるところにより、国旗及び第四条第一項の規定により交付された自衛艦旗その他の旗を掲げなければならない。
2 自衛隊の使用する航空機は、自衛隊の航空機であることを明らかに識別することができるような標識を付さなければならない。
3 自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶又は自衛隊の使用する航空機以外の船舶又は航空機は、第一項に規定する旗若しくは前項に規定する標識又はこれらにまぎらわしい旗若しくは標識を掲げ、又は付してはならない。
4 自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶の掲げる第四条第一項の規定により交付された自衛艦旗以外の旗及び自衛隊の使用する航空機の付する標識の制式は、長官が定め、官報で告示する。
(防衛出動時における物資の収用等)
第百三条 第七十六条第一項の規定により自衛隊が出動を命ぜられ、当該自衛隊の行動に係る地域において自衛隊の任務遂行上必要があると認められる場合には、都道府県知事は、長官又は政令で定める者の要請に基き、病院、診療所その他政令で定める施設(以下本条中「施設」という。)を管理し、土地、家屋若しくは物資(以下本条中「土地等」という)。)を使用し、物資の生産、集荷、販売、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対してその取り扱う物資の保管を命じ、又はこれらの物資を収用することができる。但し、事態に照らし緊急を要すると認めるときは、長官又は政令で定める者は、都道府県知事に通知した上で、自らこれらの権限を行うことができる。
2 第七十六条第一項の規定により自衛隊が出動を命ぜられた場合においては、当該自衛隊の行動に係る地域以外の地域においても、都道府県知事は、長官又は政令で定める者の要請に基き、自衛隊の任務遂行上特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣が告示して定めた地域内に限り、前項の規定の例により、施設の管理、土地等の使用若しくは物資の収用を行い、又は取扱物資の保管命令を発し、また、当該地域内にある医療、土木建築工事又は輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している医療、土木建築工事又は輸送の業務と同種の業務で長官又は政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができる。
3 災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)第十二条第二項及び第三項並びに第十三条の規定は、前二項の規定により施設を管理し、土地等を使用し、物資の保管を命じ、又は物資を収用する場合について、同法第十二条第二項、第二十四条第五項及び第二十九条の規定は、前項の規定により医療、土木建築工事又は輸送に従事する者を長官又は政令で定める者の指定した業務に従事させる場合について準用する。
4 第二項に規定する医療、土木建築工事又は輸送に従事する者の範囲は、政令で定める。
5 前四項に定めるものの外、第七十六条第一項の規定により自衛隊が出動を命ぜられた場合における施設の管理、土地等の使用、物資の保管命令、物資の収用又は業務従事命令について必要な手続は、政令で定める。
(公衆電気通信設備の利用等)
第百四条 長官は、第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の任務遂行上必要があると認める場合には、緊急を要する通信を確保するため、郵政大臣に対し、公衆電気通信設備を優先的に利用し、又は有線電気通信法(昭和二十八年法律第九十六号)第三条第三項第三号に掲げる者が設置する電気通信設備を使用することに関し必要な措置をとることを求めることができる。
2 郵政大臣は、前項の要求があつたときは、その要求に沿うように適当な措置をとるものとする。
(訓練のための漁船の操業の制限又は禁止)
第百五条 内閣総理大臣は、自衛隊の行う訓練のため水面を使用する必要があるときは、農林大臣及び関係都道府県知事の意見を聞き、一定の区域及び期間を定めて、漁船の操業を制限し、又は禁止することができる。
2 国は、前項の規定による制限又は禁止により、当該区域において従来適法に漁業を営んでいた者が漁業経営上こうむつた損失を補償する。
3 前項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失とする。
4 前二項の規定による損失の補償を受けようとする者は、その者の住所地を管轄する都道府県知事を経由して、損失補償申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
5 都道府県知事は、前項の申請書を受理したときは、その意見を記載した書面を当該申請書に添えて、これを内閣総理大臣に送付しなければならない。
6 内閣総理大臣は、前項の書類を受理したときは、補償すべき損失の有無及び損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、遅滞なくこれを都道府県知事を経由して当該申請者に通知しなければならない。
7 前項の規定による決定に不服がある者は、同項の通知を受けた日から三十日以内に、内閣総理大臣に対して異議の申立をすることができる。
8 内閣総理大臣は、前項の規定による申立があつたときは、その申立のあつた日から三十日以内にこれについて決定し、これを申立人に通知しなければならない。
9 本条により決定された補償金の額に不服がある者は、訴をもつてその増額を請求することができる。
10 前項の訴においては、国を被告とする。
11 前各項に定めるものの外、第二項の規定による損失の補償の実施に関し必要な事項は、政令で定める。
(火薬類取締法の適用除外)
第百六条 火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)の規定は、第二条から第四条まで、第七条、第九条第一項及び第二項、第十条から第十三条まで、第十四条第一項、第十五条、第十九条第二項、第二十八条、第二十九条、第三十条第一項、第三十一条第一項、第三項及び第四項、第三十二条、第三十三条第一項及び第三項、第三十五条、第三十九条第一項、第四十六条第二項並びに第五十条の規定を除き、自衛隊の行う火薬類の製造、貯蔵、運搬、消費その他の取扱については、適用しない。
2 自衛隊の行う火薬類の製造、貯蔵、運搬、消費その他の取扱についての火薬類取締法(前項の規定により適用を除外される規定を除く。)の適用については、政令で特例を定めることができる。
3 長官は、第一項の規定にかかわらず、自衛隊が取り扱う火薬類について、火薬類取締法及びこれに基く命令の規定に準拠して製造、貯蔵、運搬、消費その他の取扱に関する技術上の基準を定め、その他火薬類に因る災害を防止し、公共の安全を確保するため必要な措置を講じなければならない。
(航空法の適用除外)
第百七条 航空法中第十一条、第二十条第一項、第二十八条第一項及び第二項、第三十四条第二項、第三十八条第一項、第五十七条から第五十九条まで、第六十五条、第六十六条、第八十六条、第八十九条、第九十条、第九十五条、第百三十二条第一項及び第二項並びに第百三十四条第一項及び第二項の規定は、自衛隊の使用する航空機及びその航空機に乗り組んで運航に従事する者並びに自衛隊が設置する飛行場及び航空保安施設については、適用しない。
2 航空法第四十九条から第五十一条までの規定は、自衛隊が設置する飛行場について準用する。この場合において、同法第四十九条第一項中「第四十条(第四十三条第二項において準用する場合を含む。)の告示」とあるのは「防衛庁長官の告示」と、同法第五十条中「当該飛行場の設置又は第四十三条第一項の施設の変更」とあるのは「当該飛行場の設置又は変更」と読み替えるものとする。
3 自衛隊の使用する航空機及びその航空機に乗り組んで運航に従事する者についての航空法第六章(第一項の規定により適用を除外される規定を除く。)の規定の適用については、政令で特例を定めることができる。
4 航空法第六十条から第六十四条まで、第七十六条、第七十九条から第八十一条まで、第八十四条第二項、第八十八条及び第九十一条の規定は、第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた場合において、同法第七十九条から第八十一条までの規定は、第七十八条第一項若しくは第八十一条第二項の規定により出動を命ぜられた場合又は第八十三条第二項の規定により派遣を命ぜられた場合において、それぞれ政令で定めるところにより、自衛隊の航空機及び航空機に乗り組んで運航に従事する者については適用しない。
5 長官は、第一項及び前項の規定にかかわらず、自衛隊が使用する航空機の安全性及び運航に関する基準、その航空機に乗り組んで運航に従事する者の技能に関する基準並びに自衛隊が設置する飛行場及び航空保安施設の設置及び管理に関する基準を定め、その他航空機に因る災害を防止し、公共の安全を確保するため必要な措置を講じなければならない。
6 長官は、前項の規定による基準を定めようとする場合には、あらかじめ運輸大臣と協議するものとする。
(労働組合法等の適用除外)
第百八条 労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)、労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)及び船員法(昭和二十二年法律第百号)(第一条、第二条、第七条から第十八条まで、第二十条、第二十五条から第二十七条まで、第百二十二条から第百二十五条まで、第百二十六条(第六号及び第七号を除く。)、第百二十七条、第百二十八条(第三号を除く。)及び第百三十四条並びにこれらに関する第百二十条の規定を除く。)並びにこれらに基く命令の規定は、隊員については、適用しない。
(船舶法等の適用除外)
第百九条 船舶法(明治三十二年法律第四十六号)、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)及び船舶積量測度法(大正三年法律第三十四号)の規定は、海上自衛隊(防衛大学校を含む。以下本章中同じ。)の使用する船舶については、適用しない。但し、船舶安全法第二十八条の規定中危険及び気象の通報その他船舶航行上の危険防止に関する部分は、海上自衛隊の政令で定める船舶については、適用があるものとする。
2 海上自衛隊の使用する船舶は、総理府令で定めるところにより、国の所有に属するものにあつては国籍を証明する書類を、その他のものにあつては海上自衛隊の使用するものであることを証明する書類を備え付けなければならない。
(船舶職員法の適用除外)
第百十条 船舶職員法(昭和二十六年法律第百四十九号)の規定は、海上自衛隊の使用する船舶及びこれに乗り組んで船舶職員の業務に従事する隊員については、適用しない。
(海上自衛隊の使用する船舶についての技術上の基準等)
第百十一条 長官は、海上自衛隊の使用する船舶について堪航性及び人命の安全を確保するため必要な技術上の基準及び配員の基準を定めなければならない。
(電波法の適用除外)
第百十二条 電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第百四条の規定にかかわらず、同法の規定のうち、無線局の免許及び検査並びに無線従事者に関するものは、自衛隊がそのレーダー及び移動体の無線設備を使用する場合については、適用しない。
2 長官は、自衛隊がそのレーダー及び移動体の無線設備を使用する場合には、その使用する周波数について、郵政大臣の承認を受けなければならない。
3 自衛隊がそのレーダー及び移動体の無線設備を使用する場合には、前項に規定する周波数の使用に関し、他の無線局の運用を阻害するような混信を防止するため、郵政大臣が定めるところに従うものとする。
4 長官は、無線通信の良好な運行を確保するため、自衛隊がそのレーダー及び移動体の無線設備を使用する場合における無線局の開設及び検査並びに当該無線局で無線通信に従事する者に関し必要な基準を定めなければならない。
(道路運送法の適用除外)
第百十三条 道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第九十九条、第百二十六条及び第百二十七条の規定は、自衛隊の使用する自動車のうち、政令で定めるものについては、適用しない。
(道路運送車両法の適用除外)
第百十四条 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)の規定は、自衛隊の使用する自動車のうち、政令で定めるものについては、適用しない。
2 道路運送車両法の規定が適用されない自衛隊の使用する自動車については、長官は、保安基準並びに整備及び検査の基準を定めなければならない。
3 道路運送車両法の規定が適用されない自動車は、長官の定めるところにより、他の自動車と明らかに識別することができるような番号及び標識を付さなければならない。
4 自衛隊の使用する自動車以外の自動車は、前項に規定する番号若しくは標識又はこれらにまぎらわしい番号若しくは標識を付してはならない。
5 第三項の自動車に付する標識の制式は、官報で告示する。
(銃砲刀剣類等所持取締令の適用除外)
第百十五条 銃砲刀剣類等所持取締令(昭和二十五年政令第三百三十四号)第二十五条の規定は、自衛隊の保有する銃砲については、適用しない。
(麻薬取締法の特例)
第百十六条 自衛隊の部隊で政令で定めるものは、麻薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第二十六条第一項及び第二十八条第一項の規定にかかわらず、麻薬を譲り受け、及び所持することができる。この場合においては、当該部隊の長は、麻薬取締法の適用については、麻薬管理者とみなす。
(委任規定)
第百十七条 この法律に特別の定があるものの外、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
第九章 罰則
第百十八条 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第五十九条第一項又は第二項の規定に違反して秘密を漏らした者
二 第六十二条第一項又は第二項の規定に違反した者
三 正当な理由がなくて自衛隊の保有する武器を使用した者
2 前項第一号に掲げる行為を企て、教唆し、又はそのほう助をした者は、同項の刑に処する。
第百十九条 左の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は禁こに処する。
一 第六十一条第一項の規定に違反した者
二 第六十四条第一項の規定に違反して組合その他の団体を結成した者
三 第六十四条第二項の規定に違反した者
四 第七十条第一項の規定による防衛招集命令を受けた予備自衛官で、正当な理由がなくて指定された日から三日を過ぎてなお指定された場所に出頭しないもの
五 第七十七条又は第七十九条第一項の規定による出動待機命令を受けた者で、正当な理由がなくて職務の場所を離れ七日を過ぎたもの又は職務の場所につくように命ぜられた日から正当な理由がなくて七日を過ぎてなお職務の場所につかないもの
六 第七十八条第一項又は第八十一条第二項に規定する治安出動命令を受けた者で、上官の職務上の命令に反抗し、又はこれに服従しないもの
七 上官の職務上の命令に対し多数共同して反抗した者
八 正当な権限がなくて又は上官の職務上の命令に違反して自衛隊の部隊を指揮した者
2 前項第二号若しくは第四号から第六号までに規定する行為の遂行を教唆し、若しくはそのほう助をした者又は同項第三号、第七号若しくは第八号に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、若しくはせん動した者は、それぞれ同項の刑に処する。
第百二十条 第七十八条第一項又は第八十一条第二項に規定する治安出動命令を受けた者で、左の各号の一に該当するものは、五年以下の懲役又は禁こに処する。
一 第六十四条第二項の規定に違反した者
二 正当な理由がなくて職務の場所を離れ三日を過ぎた者又は職務の場所につくように命ぜられた日から正当な理由がなくて三日を過ぎてなお職務の場所につかない者
三 上官の職務上の命令に対し多数共同して反抗した者
四 正当な権限がなくて又は上官の職務上の命令に違反して自衛隊の部隊を指揮した者
2 前項第二号に規定する行為の遂行を教唆し、若しくはそのほう助をした者又は同項第一号、第三号若しくは第四号に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、若しくはせん動した者は、それぞれ同項の刑に処する。
第百二十一条 自衛隊の所有し、又は使用する武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物を損壊し、又は傷害した者は、五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第百二十二条 第七十六条第一項の規定による防衛出動命令を受けた者で、左の各号の一に該当するものは、七年以下の懲役又は禁こに処する。
一 第六十四条第二項の規定に違反した者
二 正当な理由がなくて職務の場所を離れ三日を過ぎた者又は職務の場所につくように命ぜられた日から正当な理由がなくて三日を過ぎてなお職務の場所につかない者
三 上官の職務上の命令に反抗し、又はこれに服従しない者
四 正当な権限がなくて又は上官の職務上の命令に違反して自衛隊の部隊を指揮した者
五 警戒勤務中、正当な理由がなくて勤務の場所を離れ、又は睡眠し、若しくはめいていして職務を怠つた者
2 前項第二号若しくは第三号に規定する行為の遂行を教唆し、若しくはそのほう助をした者又は同項第一号若しくは第四号に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、若しくはせん動した者は、それぞれ同項の刑に処する。
附則
1 この法律は、防衛庁設置法施行の日から施行する。但し、附則第二項及び附則第十七項の規定は、公布の日から施行する。
2 保安庁の長官官房若しくは各局、第一幕僚監部若しくは第二幕僚監部、保安研修所、保安大学校、技術研究所又は第一幕僚長若しくは第二幕僚長の監督を受ける部隊若しくは機関に勤務する職員は、この法律の施行(前項但書に係る部分を除く。以下同じ。)前においても、この法律の定めるところにより、服務の宣誓を行うことができる。
3 前項の職員で、同項の規定によりあらかじめ服務の宣誓を行つたものは、別に辞令を発せられない限り、それぞれ相当の防衛庁の長官官房若しくは各局、陸上幕僚監部若しくは海上幕僚監部、防衛研修所、防衛大学校、技術研究所又は陸上幕僚長若しくは海上幕僚長の監督を受ける部隊若しくは機関の相当の隊員となるものとする。
4 保安庁の保安官又は警備官で前項の規定により自衛官となるものの階級は、別に辞令を発せられない限り、従前の保安官又は警備官の階級に相当するこの法律に規定する階級とする。
5 前二項の規定により自衛官その他の隊員となつた者に対し、従前の規定に基いてなされた任用上の決定その他の手続は、この法律の相当規定に基いてなされたものとみなす。
6 附則第四項の規定により陸士長、一等陸士又は二等陸士たる自衛官となつた者についての任用期間は、第三十六条第一項の規定にかかわらず、二年とし、その者が警察予備隊の警察官又は保安庁の保安官として採用された日(旧警察予備隊令施行令(昭和二十五年政令第二百七十一号)第五条第二項又は旧保安庁法(昭和二十七年法律第二百六十五号。以下「旧法」という。)第三十三条第三項の規定により引き続き任用されている者にあつては、引き続き任用された日)から起算するものとする。
7 この法律の施行の日前において、従前の規定によりその意に反して免職され、又は懲戒処分によつて免職された者は、すでに従前の規定により保安庁長官に対して審査の請求をしている場合を除き、政令で定めるところにより、長官に対して、その審査を請求することができる。第四十九条第二項及び第三項の規定は、この場合において長官のとるべき措置について準用する。
8 この法律の施行の際、現に保安庁の公正審査会に係属している事案は、第四十九条第四項に規定する防衛庁の公正審査会に係属しているものとみなす。
9 この法律の施行の際、現に旧法第七十七条第一項各号に掲げる犯罪について、同法同条同項に規定する部内の秩序維持の職務に専従する保安官又は警備官が行つている刑事訴訟法の規定による手続は、この法律の相当規定に基いて部内の秩序維持に専従する自衛官がした手続とみなす。
10 第九十六条第一項に規定する部内の秩序維持の職務に専従する自衛官は、同項各号に掲げる犯罪の外、政令で定めるところにより、旧法第七十七条第一項各号に掲げる犯罪についても、この法律第九十六条第二項の規定の例により、刑事訴訟法の規定による司法警察職員としての職務を行うことができる。
11 警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)の施行の日の前日までの間は、第八十九条、第九十二条、第九十三条第一項及び第三項、第九十四条第一項並びに第九十六条第三項中「警察官職務執行法」とあるのは「警察官等職務執行法」と、第九十七条第二項中「警察庁及び都道府県警察」とあるのは「国家地方警察及び自治体警察」と、同条第三項中「都道府県警察」とあるのは「自治体警察」と読み替えるものとする。
12 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお、従前の例による。
13 保安庁職員給与法(昭和二十七年法律第二百六十六号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
防衛庁職員給与法
第一条中「保安庁の職員(海上公安局の職員を除く。以下「職員」という。)」を「防衛庁の職員(以下「職員」という。)」に改める。
第三条第一項本文中「職員」を「職員(予備自衛官を除く。以下本条において同じ。)」に改め、同項但書を次のように改める。
但し、職員が自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第七十六条第一項、同法第七十八条第一項又は同法第八十一条第二項の規定による出動(以下「出動」という。)を命ぜられている場合、自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶に乗り組んでいる場合その他政令で定める特別の事由がある場合には、政令で定めるところにより、職員の収入により生計を維持する者で職員の指定するものにその給与の全部又は一部を支払うことができる。
第四条第一項中「保安庁の次長又は官房長、局長、」を「防衛庁の次長(以下「次長」という。)、統合幕僚会議の議長たる自衛官(以下「議長」という。)並びに防衛庁の参事官、」に、「官房長等」を「参事官等」に改め、同条第二項中「保安庁」を「防衛庁」に、「官房長等、保安官、警備官、保安大学校の学生」を「議長、参事官等、自衛官(議長を除く。以下同じ。)、予備自衛官、防衛大学校の学生(以下「学生」という。)」に、「保安大学校」を「防衛大学校」に改め、同条第三項中「保安官及び警備官」を「自衛官」に改める。
第五条中「保安大学校の学生」を「議長、予備自衛官、学生」に改める。
第六条第三項中「官房長等」を「参事官等」に、「保安官及び警備官」を「自衛官」に改める。
第七条第二項中「一等保安士補以下の保安官が三等保安士以上の保安官(以下「幹部保安官」という。)に、又は一等警備士補以下の警備官が三等警備士以上の警備官(以下「幹部警備官」という。)に昇任した場合」を「一等陸曹、一等海曹又は一等空曹以下の自衛官(以下「陸曹等」という。)が三等陸尉、三等海尉又は三等空尉以上の自衛官(以下「幹部自衛官」という。)に昇任した場合」に、「幹部保安官の候補者である一等保安士補以下の保安官又は幹部警備官の候補者である一等警備士補以下の警備官」を「幹部自衛官の候補者である陸曹等」に改める。
第八条第二項中「幹部保安官が一等保安士補以下の保安官は、又は幹部警備官が一等警備士補以下の警備官に降任した場合」を「幹部自衛官が陸曹等に降任した場合」に、「幹部保安官の候補者である一等保安士補以下の保安官であつた者又は幹部警備官の候補者である一等警備士補以下の警備官であつた者」を「幹部自衛官の候補者である陸曹等から幹部自衛官に昇任した者」に改める。
第十条第一項中「保安大学校の学生」を「予備自衛官、学生」に改める。
第十一条第一項中「官房長等」を「議長、参事官等」に改め、同条第二項中「保安官及び警備官」を「自衛官」に改める。
第十二条第三項中「官房長等」を「議長、参事官等」に改め、同条第四項中「保安官及び警備官」を「自衛官」に改める。
第十三条第一項各号列記以外の部分中「保安庁長官」を「防衛庁長官」に改め、同条第二項但書中「保安官及び警備官」を「自衛官」に改め、同条第四項を次のように改める。
4 出動を命ぜられている職員、自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶に乗り組んでいる職員その他政令で定める特別の事由がある職員の扶養親族に関する届出について必要な事項は、政令で定める。
第十四条第一項中「官房長等」を「議長、参事官等」に改め、同条第三項後段中「保安庁職員給与法」を「防衛庁職員給与法」に改める。
第十六条を次のように改める。
(乗組手当及び航空手当)
第十六条 自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶(政令で定めるものを除く。以下本条及び次条において同じ。)に乗り組んでいる自衛官には乗組手当を、自衛隊の使用する航空機に乗り組んで政令で定める職務を行うことを命ぜられている自衛官(以下次項において「乗員」という。)には航空手当を支給する。
2 乗組手当及び航空手当は、前項の自衛官が乗り組まなかつた日又は乗員として勤務しなかつた日については、それぞれ政令で定めるところにより特に乗り組んだものとみなされる日又は乗員として勤務したものとみなされる日を除き、支給しない。
3 乗組手当及び航空手当の額は、第一項の自衛官の受ける俸給の百分の二十五以内において政令で定める。
第十七条第一項中「保安庁の使用する船舶に乗り組むことを命ぜられた備警官又は保安官」を「自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶に乗り組んでいる自衛官」に、「これらの者が乗り組む船舶」を「その者が乗り組む自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 前項の航海手当の額は、政令で定める。
第十七条第三項中「警備官又は保安官」を「自衛官」に改める。
第十八条第一項中「一等保安士補以下の保安官又は一等警備士補以下の警備官」を「陸曹等」に、「保安庁法第五十条」を「自衛隊法第五十五条」に改める。
第十八条の二第一項中「非常勤の者」を「予備自衛官及び非常勤の者」に改め、「保安大学校の」を削り、同条第二項中「保安官及び警備官」を「自衛官(統合幕僚会議の議長たる自衛官を除く。)」に、「乗船手当」を「乗組手当、航空手当」に、「保安大学校」を「防衛大学校」に、「保安庁長官」を「防衛庁長官」に改める。
第十九条中「乗船手当、」を「乗組手当、航空手当、」に改める。
第二十二条中「保安官、警備官及び保安大学校の学生」を「自衛官、訓練招集に応じている予備自衛官及び学生」に改め、「国は、」の下に「政令で定めるところにより、」を加える。
第二十三条第二項中「官房長等」を「議長、参事官等」に、「保安官及び警備官」を「自衛官」に改める。
第二十四条の次に次の一条を加える。
(予備自衛官手当等)
第二十四条の二 予備自衛官には、予備自衛官手当を支給する。
2 前項の予備自衛官手当の月額は、千円とする。
3 予備自衛官手当は、予備自衛官となつた日の属する月から、予備自衛官以外の者となり、又は死亡した日の属する月まで支給する。
4 予備自衛官が左の各号の一に該当する場合には、前三項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、予備自衛官手当を支給しないことができる。
一 自己の責に帰すべき事由に因つて退職させられた場合
二 政令で定める特別の事由がないのにかかわらず退職した場合
三 正当の事由に因らないで訓練招集に応じなかつた場合
5 訓練招集に応じた予備自衛官には、訓練招集に応じた期間一日につき、政令で定める額の訓練招集手当を支給する。
6 前五項に規定するものの外、予備自衛官手当及び訓練招集手当の支給について必要な事項は、政令で定める。
第二十五条第一項中「保安大学校の」を削る。
第二十七条第一項中「保安庁長官」を「防衛庁長官」に、「保安庁」を「防衛庁」に改め、同条第二項本文中「次長及び官房長等」を「次長、議長及び参事官等」に、「保安官及び警備官」を「自衛官」に、「乗船手当、」を「乗組手当、航空手当、」に、「一等保安士補以下の保安官又は一等警備士補以下の警備官」を「陸曹等」に改める。
第二十八条第一項を次のように改める。
自衛隊法第三十六条の規定により任用期間を定めて任用されている陸士長以下の自衛官(以下「任用期間の定のある隊員」という。)がその任用期間を満了した日に退職し、又は死亡した場合には、退職手当として、その者の退職又は死亡当時の俸給日額に、左の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める日数を乗じて得た額を支給する。
一 任用期間が二年である者 百二十日
二 任用期間が三年である者 百八十日
第二十八条第二項中「前項の表の上欄に掲げる職員が同項に規定する期間」を「任用期間の定のある隊員がその任用期間」に改め、同条但書中「退職手当の額が」の下に「その退職又は死亡の日におけるその者の俸給日額の百二十日分(前項第二号に掲げる者にあつては、百八十日分)に相当する額をこえるとき、又は」を加え、同条第三項中「警査長以下の警備官として採用された者にあつてはその採用された日から、保安庁法附則第九項の規定により警査長以下の警備官となつた者にあつては昭和二十七年八月一日」を「自衛隊法第三十六条第二項に規定する陸曹候補者の指定を受けている者にあつてはその指定を受けた日から、海士長、一等海士、二等海士若しくは三等海士又は空士長、一等空士、二等空士若しくは三等空士たる自衛官として任用された者にあつてはその任用の日」に改め、同条第四項中「保査長等」を「任用期間の定のある隊員」に、「保安庁法第三十三条第二項」を「自衛隊法第三十六条第五項」に、「同法同条第三項」を「同法同条第四項」に改め、同条第五項中「保安庁法第三十三条第二項」を「自衛隊法第三十六条第五項」に、「保査長等」を「任用期間の定のある隊員」に改め、「又は死亡した場合には、」を「若しくは死亡した場合又はその延長された期間が経過する前に第二項各号に掲げる場合の一に該当するに至つた場合には、」に改め、同項に但書として次のように加える。
但し、その者の退職手当の額が第二項第一号に掲げる場合にあつてはその者の死亡当時の俸給日額の七十二日分、第二号に掲げる場合にあつてはその者の退職当時の俸給日額の三十六日分に相当する額に満たないときは、その額をもつて退職手当の額とする。
第二十八条第六項を削り、同条第七項中「警査長等から警察士補に、保査長等から保安士補に、警察士補から三等警察士以上の警察予備隊の警察官に、又は保安士補から幹部保安官」を「陸士長、一等陸士、二等陸士若しくは三等陸士から一等陸曹、二等陸曹若しくは三等陸曹(以下「陸曹」という。)に、又は陸曹から三等陸尉以上の自衛官」に、「第一項から第四項まで及び前項」を「前五項」に改め、同項を同条第六項とする。
第二十八条第八項を次のように改める。
7 停年に達した自衛官が自衛隊法第四十五条第二項の規定により引き続いて勤務することを命ぜられた場合には、国家公務員等退職手当暫定措置法第二条第二項の規定にかかわらず、その者が停年に達した日に退職したものとみなし、その際退職手当を支給することができる。
第二十八条第九項第一号中「保安庁法第三十五条第二項」を「自衛隊法第三十八条第二項」に改め、同条同項第二号中「保安庁法第四十二条」を「自衛隊法第四十六条」に改め、同条同項第三号中「保安庁法第五十九条第四項」を「自衛隊法第六十四条」に改め、同項を同条第八項とする。
第二十八条第十項中「保安官及び警備官」を「自衛官」に改め、同項を同条第九項とし、同条第十一項中「保安官及び警備官並びに保安大学校の学生」を「自衛官及び学生」に改め、「保安大学校の」を削り、「保安官又は警備官」を「自衛官」に改め、同項を同条第十項とし、同条第十二項を同条第十一項とする。
第二十八条の次に次の一条を加える。
第二十八条の二 予備自衛官が訓練招集に応じている期間中の職務に起因する傷い疾病に因りその職に堪えないで退職したとき、又は訓練招集に応じている期間中の職務に起因して死亡したときは、その者に対して、又は国家公務員等退職手当暫定措置法第十一条の規定の例によりその遺族に対して、退職手当として、その者が自衛隊法第六十七条第二項の規定により指定されている自衛官の階級について別表第三に定める俸給の幅の最低号俸による日額(その者が自衛官として受けていた最終の俸給日額に満たないときは、その最終の俸給日額)に三十を乗じて得た額を支給する。但し、当該予備自衛官が国家公務員等退職手当暫定措置法の規定による退職手当の支給を受ける者である場合においては、この限りでない。
第二十九条第一項を削り、同条第二項中「保安官、警備官又は保安大学校の学生」を「自衛官、予備自衛官又は学生」に改め、同項を同条第一項とし、同条第三項中「保安官、警備官及び保安大学校の学生」を「自衛官又は学生」に改め、同項を同条第二項とする。
第三十条を次のように改める。
(出動の場合の特別措置)
第三十条 出動を命ぜられた職員に対する出動手当の支給、災害補償その他給与に関し必要な特別の措置については、別に法律で定める。本則に次の一条を加える。
(委任規定)
第三十一条 この法律に特別の定があるものの外、この法律の実施に関して必要な事項は、政令で定める。
附則第八項中「保安官及び警備官」を「自衛官」に、「又は同条第五項から第七項まで」を「、第五項及び第六項」に改める。
附則第十一項を附則第十二項とし、以下一項ずつ繰り下げ、附則第十項の次に次の一項を加える。
11 国家公務員に対する年末手当の支給に関する法律(昭和二十五年法律第二百二十六号)は、職員には適用しない。
(別表に関する改正記述部分につき削除)
14 この法律の施行の際、附則第三項及び附則第四項の規定により自衛官その他の隊員となる者の級若しくは職務の級又は号俸は、それぞれ改正前の保安庁職員給与法(以下「改正前の給与法」という。)の規定によりその者が属している級若しくは職務の級又はその者が受けている号俸に対応する級若しくは職務の級又は号俸とする。この場合において、その者が従前受けていた俸給月額又は俸給日額が新たにその者が属することとなつた級若しくは職務の級又は階級における俸給の幅の最高号俸による額をこえている場合においては、それぞれその額をもつてその者の俸給月額又は俸給日額とする。
15 附則第四項の規定により陸士長、一等陸士若しくは二等陸士又は一等陸曹、二等陸曹若しくは三等陸曹となつた者で、左の各号の一に該当するものに対する退職手当の支給については、なお、従前の例による。
一 昭和二十七年八月一日から昭和二十七年十月十四日までの間においてその任用期間が経過し、一等警察士補、二等警察士補又は三等警察士補である警察予備隊の警察官(以下「警察士補」という。)として引き続いて任用された者
二 旧法附則第十五項及び旧法附則第十六項の規定により昭和二十七年十二月においてその任用期間が経過し、一等保安士補、二等保安士補又は三等保安士補である保安庁の保安官(以下「保安士補」という。)として引き続いて任用された者
三 昭和二十七年七月一日から昭和二十七年十月十四日までの間において警査長以下の警察予備隊の警察官として任用された者
四 保査長以下の保安庁の保安官(以下「保査長等」という。)として任用された者
16 改正後の防衛庁職員給与法(以下「改正後の給与法」という。)第二十八条第三項の規定は、附則第四項の規定により海士長、一等海士、二等海士又は三等海士となつた自衛官で、左の各号に掲げるものがそれぞれ当該各号に定める日から起算して二年の期間が経過する前において、公務上死亡し、又は公務上の傷い疾病に因りその職に堪えないで退職した場合について準用する。
一 警査長以下の保安庁の警備官として任用された者にあつては、任用の日
二 旧法附則第九項の規定により警査長以下の保安庁の警備官となつた者にあつては、昭和二十八年八月一日
17 この法律の公布の日から施行の日の前日までの間に退職する保査長等又は保安士補で保査長等から昇任した者に対しては、改正前の給与法第二十八条第一項及び第七項並びに国家公務員等退職手当暫定措置法の規定にかかわらず、その退職の日における俸給日額にその保査長等(警査長以下の警察予備隊の警察官を含む。)としての勤続期間一月につき五日の割合で計算した日数と保安士補(警察士補を含む。)としての勤続期間一月につき二・五日の割合で計算した日数との合計日数を乗じて得た額を支給する。この場合における勤続期間は、月によつて計算するものとし、保査長等から保安士補に昇任した日の属する月は、昇任前の階級に属するものとする。
18 前三項の規定及び改正前の給与法第二十八条の規定に基いて支給された退職手当の額の計算の基礎となつた在職期間は、国家公務員等退職手当暫定措置法第七条の勤続期間の計算については、その期間から除算する。
19 隊員に係る公務上の災害に対する改正前の給与法第二十七条の規定(船員法第一条に規定する船員である隊員にあつては、労働基準法等の施行に伴う政府職員に係る給与の応急措置に関する法律(昭和二十二年法律第百六十七号)の規定)による補償又はこれに相当する給与若しくは給付で、この法律の施行前において支給すべき事由の生じたものの支給については、なお、従前の例による。但し、これらの法律の規定に基いて国が支給する隊員に係る公務上の災害に対する補償又はこれに相当する給与若しくは給付の支給について異議のある者は、長官に対して、審査を請求することができる。
20 改正後の給与法第二十七条第一項において準用する国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)第二十四条から第二十七条までの規定は、前項の場合について準用する。
21 恩給法(大正十二年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。
第二十条第二項第二号中「保安庁次長」を「防衛庁次長」に改め、同条同項第六号から第八号までを次のように改める。
六 海上保安官
七 自衛官
八 削除
第二十三条第五号から第七号までを次のように改める。
五 海上保安士タル海上保安官
六 一等陸曹、一等海曹若ハ一等空曹、二等陸曹、二等海曹若ハ二等空曹、三等陸曹、三等海曹若ハ三等空曹、陸士長、海士長若ハ空士長、一等陸士、一等海士若ハ一等空士、二等陸士、二等海士若ハ二等空士又ハ三等陸士、三等海士若ハ三等空士タル自衛官
第四十四条第三項中「第二十条第二項第七号及第八号並第二十三条第六号及第七号」を「第二十条第二項第七号及第二十三条第六号」に改める。
第五十九条但書中「第二十条第二項第七号若ハ第八号又ハ第二十三条第六号若ハ第七号」を「第二十条第二項第七号(統合幕僚会議ノ議長タル自衛官ヲ除ク)又ハ第二十三条第六号」に改める。
第五十九条ノ三第三号中「保安庁ノ職員(海上公安局ノ職員ヲ除ク)」を「防衛庁ノ職員」に、「保安庁職員給与法」を「防衛庁職員給与法」に改める。
22 国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項第一号の次に次の一号を加える。
一の二 防衛庁に属する職員 総理府
第九十四条第一項に次の一号を加える。
三 防衛大学校の学生
23 国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律(昭和二十四年法律第二百号)の一部を次のように改正する。
第四条中「保安官及び警備官」を「自衛官」に、「保安庁長官」を「防衛庁長官」に改める。
24 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二百六十二条第五号中「保安庁職員給与法」を「防衛庁職員給与法」に改める。
25 この法律の施行前に給与事由の生じた恩給については、改正後の恩給法第二十条第二項第二号及び第六号から第八号まで、第二十三条第五号から第七号まで並びに第五十九条ノ三第三号の規定にかかわらず、なお、従前の例による。
26 この附則に定めるものの外、この法律の施行のため必要な経過措置は、政令で定める。
(別表第一削除)
(別表第二削除)
内閣総理大臣 吉田茂
法務大臣 加藤鐐五郎
外務大臣 岡崎勝男
大蔵大臣 小笠原三九郎
文部大臣 大達茂雄
厚生大臣 草葉隆円
農林大臣 保利茂
通商産業大臣 愛知揆一
運輸大臣 石井光次郎
郵政大臣 塚田十一郎
労働大臣 小坂善太郎
建設大臣 戸塚九一郎