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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の特殊核物質賃貸借協定

[場所] 
[年月日] 1961年5月19日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の特殊核物質賃貸借協定


SNM賃貸借協定番号JA/L/6


 この賃貸借協定(以下「賃貸借協定」という。)は、千九百六十一年五月十九日に、日本国政府(以下「賃借者」という。)とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会(以下「委員会」という。)との間で締結される。

 賃貸借協定の両当事者は、協力協定に基づく委員会から賃借者への特殊核物質の賃貸借に適用される条件を確定することを希望するので、

 賃貸借協定は、協力協定により授権され、かつ、同協定に基づき実施されるので、

 よつて、賃貸借協定の両当事者は、相互に次のとおり協定する。

第一条 定義

 賃貸借協定において、

A 「法」とは、改正された千九百五十四年の合衆国原子力法をいう。

B 「協力協定」とは、千九百五十八年六月十六日にワシントンで署名されて、千九百五十八年十月九日にワシントンで署名された原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書により改正された原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(将来改正され又はこれに代わるものを含む。)をいう。

C 「原子力委員会」、「委員会」又は「AEC」とは、合衆国原子力委員会又はその正当に授権された代表者をいう。

D 「基本料」とは、賃貸借協定に基づく個個の取引が行なわれる時に有効な標準の形状及び仕様の特殊核物質の単位当たりの合衆国ドルの額で、委員会が随時合衆国連邦官報に公表する価格表に定めるものをいう。

E 「委員会の施設」とは、委員会により又は委員会のために運営される実験所、工場、事務所その他の施設をいう。

F 「委員会の確定仕様」とは、特殊核物質の純度その他の物理的又は化学的特性についての仕様で、委員会が随時合衆国連邦官報に公表するものをいう。

G 「消耗された」又は「消耗」とは、特殊核物質の異なる同位元素含有分の混合その他同位元素率の変更による物質の価額の減少及びその後の使用のために経済的に回収することができない方法による物質の処置を含む。

H 「委員会を代表して行動する者」とは、委員会との雇用関係又は契約に従つて賃貸借協定の実施に参加する委員会の被用者及び請負人並びにこの請負人の被用者を含む。

I 「原料物質」とは、協力協定に定義する原料物質をいう。

J 「特殊核物質」とは、協力協定に定義する特殊核物質をいう。

K 「価額」とは、当該特殊核物質が標準の形状及び仕様のものであるかどうかを問わず、適用される委員会の基本料にその物質の単位数及びその端数を乗ずることにより決定される合衆国ドルの額をいう。

L 「価値」とは、六弗化ウランとしての普通ウラン又は減損ウランについて適用される委員会の単位価格に当該普通ウラン又は減損ウランの単位数及びその端数を乗ずることにより決定される合衆国ドルの額をいう。普通ウラン又は減損ウランについて適用される委員会の単位価格は、その時に有効な確定した委員会の価格政策に従つて定められる。

M 「確定した委員会の価格政策」とは、賃貸借協定に基づく個個の取引が行なわれる時に有効な合衆国ドルによる適用される価格又は料金で、(i)委員会が合衆国連邦官報に公表するもの又は、(ii)公表された数字がない場合には、委員会の価格政策に従つて決定されるものをいう。この価格政策の明細は、賃借者の要請により提供される。委員会の公表された価格及び料金並びに価格政策は、随時改正することができる。

第二条 適用範囲

A 賃貸借協定は、協力協定に含まれるすべての条件、規定及び保証に従う。

B 賃貸借協定又は賃貸借と委員会との間の書面による合意に別段の規定がない限り、賃貸借協定に含まれる条件は、賃貸借協定の署名の日以後に賃借者の発注に基づき委員会が賃借者に引き渡す物質及び関係役務並びに賃貸借協定に附属し、かつ、その一部をなす附属書Aに掲げる物質に適用される。

C 賃借者は、委員会が定める様式の特殊核物質発注書を作成し、かつ、提出することにより、賃貸借協定の適用を受ける物質を発注する。賃借者は、発注書の提出の時に、発注する物質の合衆国内における処理及び(若しくは)加工並びに製造を行なう合衆国の契約者を雇用したか若しくはその雇用を手配したかどうか、又はその物質が直接賃借者に提供されるべきかどうかを明示する。いずれの場合にも、賃借者が発注した物質は、賃貸借協定の第六条の規定に従い、合衆国の輸出港において、委員会から賃借者に引き渡される。

D 委員会が行なうか又は委員会のために行なわれる賃借者の物質発注書の受諾は、その発注書に明示された物質をその発注書及び賃貸借協定の条件に従つて賃貸する旨の委員会の約束を構成する。

E 賃貸借協定のいかなる規定も、賃借者に対して物質を発注する義務を負わせ、又は委員会に対して賃借者に物質を賃貸する義務若しくはその物質に関連して賃借者に役務を提供する義務を負わせるものとみなしてはならない。

F 賃借者と委員会との間のすべての現存する協定及び取極(それぞれ千九百五十六年十一月二十三日及び千九百五十七年五月八日に署名された賃借者と委員会との間の二の特殊核物質の賃貸借に関する協定を除く。)で、それに基づいて賃借者が附属書Aに掲げる物質を占有し、又はその物質について責任を負うものは、ここに効力を失う。ただし、これらの協定及び取極に基づいて支払うべき金額に関しては、この限りでない。

第三条 権原

賃貸借協定の両当事者が別段の合意をする場合を除き、賃貸借協定に従つて賃借者に提供され、又は賃借者が受領するすべての物質に対する権原は、常に合衆国が有する。

第四条 賃貸借協定の期間、廃棄及び取消し

A 賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、賃借者は、千九百六十三年六月三十日まで、賃貸借協定の適用を受ける物質を占有し、かつ、使用する権利を有する。ただし、賃貸借協定は両当事者の相互の合意により延長することができる。

B 協力協定の満了、停止又は廃棄は、自動的に賃貸借協定の終了となり、その後は、いずれの物質発注も、効力を有しない。

C 賃借者は、物質の引渡前のいかなる時においても、委員会にあてた書面による通告により、賃貸借協定に基づく物質発注を取り消すことができる。ただし、賃借者は、その発注に関連して委員会が負担した費用について、その時に有効な確定した委員会の価格政策に従つて決定される取消料を支払う。

D いずれの一方の当事者も、他方の当事者が賃貸借協定又は協力協定に基づく自己の義務を遂行せず、又はその遂行を怠つたときはいつでも、賃貸借協定を廃棄することができる。

第五条 委員会が提供すべき物質、役務料

A 賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、賃貸借協定の適用を受ける特殊核物質は、委員会の確定仕様に従う標準形状で、賃借者又は賃借者が指定する合衆国の契約者に提供される。物質の現行の標準形状は、次に掲げる。

 標準形状

 濃縮ウラン(ウラン二三五)  六弗化ウラン

 プルトニウム        金属プルトニウム

 ウラン二三三        硝酸ウラニル

B 貸借者は、賃貸借協定に基づいて発注された物質で直接賃借者に提供されるものに関し、撤収、荷造りその他賃借人の発注書に従つて提供される特別の役務についての委員会の役務料を支払う。賃借者及び委員会が作成する物質発注書においてその料金が合意されない限り、賃借者は、賃借者の発注書に従つて提供される役務についての料金でその時に有効な確定した委員会の価格政策に従つて決定されるものを委員会に支払う。賃借者は、また、前記の役務が提供される期間についての使用料(以下に定める。)を支払い、及びその役務の提供中に消耗される物質の価額を支払う。

C 賃貸借協定に基づいて賃借者が発注する物質で、賃借者が雇用し、又は手配する合衆国の契約者に提供されるものの場合には、撤収、荷造りその他賃借人の発注書に従つて提供される特別の役務についての委員会の役務料の支払に関する取極は、前記の契約者との間で行なわれる。前記の役務が行なわれる期間についての使用料(以下に定める。)の支払及びその役務の提供中に消耗される物質の価額の支払に関する取極も、また、前記の契約者との間で行なわれる。

D 賃貸借協定に基づいて発注された物質で直接賃借者に提供される物質が委員会の確定仕様又は賃借者及び委員会が作成する発注書に定める仕様に合致しないときは、アメリカ合衆国政府、委員会及び委員会を代表して行動する者の責任及び補償義務は、適用される仕様に合致する物質の引渡しによつてその食い違いを正すことのみに限定される。委員会は、委員会から直接取得された物質で適用される仕様に合致しないものの返還及び仕様に合致する代替物質の輸送のための運送料を支払う。

E 賃貸借協定に基づいて賃借者が発注した物質で、委員会による賃借者への引渡しに先だつて賃借者が指定する合衆国の契約者に提供されるものの場合には、その物質が仕様に合致しないことに関する委員会の責任及び補償義務は、委員会とその契約者との間の取極により規制する。

F 賃貸借協定に基づき濃縮ウラン(ウラン二三五)として提供される物質は、その賃貸借された物質が賃貸借協定に定義する特殊核物質でなくなる程度までに同位元素率が減少する方法で消耗されることが認められる。その結果生ずる普通ウラン又は減損ウランは、引き続き特殊核物質として賃貸借協定の規定の適用を受ける。ただし、その物質の喪失又は消耗についての賃借者の義務及びその物質の使用料についての賃借者の義務は、普通ウラン又は減損ウランの価値を使用して計算する。

G 賃借者は、委員会の書面による事前の同意を得ないで、賃貸借協定の適用を受ける特殊核物質を混合してはならない。

第六条 引渡し

A 賃貸借協定に基づいて発注された物質で直接賃借者に提供されるものに関し、委員会は、賃借者が手配する運送者に対し、委員会の施設におけるf・o・b・の商業的運送条件で発注物質を渡す。運送者は、委員会が要求する料金、条件及び許可要件に従い、委員会が賃借者との協議の後指定するアメリカ合衆国内の輸出港にその物質を運送し、及び引き渡す。委員会は、その後直ちに、その指定港において物質を賃借者に引き渡すため、及びその輸出を許可するため必要な措置を執る。賃借者は、物質の運送及び引渡しの費用(容器及び荷造りの費用を含む。)、物質の保管費並びに引渡しに関連する物質の物理的な取扱いに関するすべての手配について、責任を負う。賃借者又はその正当に授権された代理人は、指定輸出港において物質の引渡しを受諾し、かつ、そのための適当な受領証に署名する。物質の賃貸借は、この署名の時に開始し、賃借者は、その物質について完全な責任を負う。

B 賃貸借協定に基づいて発注された物質で、賃借者が雇用し、又は手配する合衆国の契約者に対し処理及び(又は)加工並びに製造のため提供されるものに関し、

(1) 委員会は、前記の合衆国の契約者に対し、委員会が要求する料金、条件及び許可要件に従うことを条件として、委員会の施設におけるf・o・b・の商業的運送条件で、前記の物質を渡す。

(2) 契約者による物質の処理及び(又は)加工並びに製造が完了し、かつ、特殊核物質の同位元素含有分及び量に関して賃貸借協定第十七条Dに定める契約者の決定の証明書を委員会が受領した時に、賃借者は、委員会が賃借者との協議の後指定するアメリカ合衆国内の輸出港に、貸借者が委員会に対し三十日の書面による予告を行なつた後に、委員会が要求する料金、条件及び許可要件に従つて、前記の処理され、及び(又は)加工され、並びに製造された物質を運送し、及び引き渡す運送者を手配する。委員会は、その後直ちに、その指定港において物質を賃借者に引き渡すため、及びその輸出を許可するため必要な措置を執る。賃借者は、物質の運送及び引渡しの費用(容器及び荷造りの費用を含む。)、物質の保管費並びに引渡しに関連する物質の物理的な取扱いに関するすべての手配について、責任を負う。賃借者又はその正当に授権された代理人は、指定輸出港において物質の引渡しを受諾し、かつ、そのための適当な受領証に署名する。物質の賃貸借は、この署名の時に開始し、貸借者は、その物質に含まれる特殊核物質について完全な責任を負う。

第七条 委員会への物質の返還、委員会の役務についての特別の料金

A 賃貸借協定の両当事者が別段の合意をする場合を除き、賃借者は、賃貸借協定が満了し、又はそれより早期に廃棄されたときは、賃貸借協定の適用を受けるすべての物質を返還する。もつとも、賃借者は、その満了又は廃棄の日より前にいつでもその物質の全部又は一部を返還する権利を有する。

B 賃貸借協定に別段の規定がある場合又は相互に合意する場合を除き、賃貸借協定の適用を受ける物質で直接委員会に返還されるものは、委員会が認める施設で処理された後は次の標準形状のいずれかでなければならず、かつ、賃貸借協定の署名の日に有効な物質の返還のための委員会の確定仕様に合致しなければならない。

 濃縮ウラン (ウラン二三五) 六弗化ウラン

 プルトニウム        金属プルトニウム

 ウラン二三三        硝酸ウラニル

C 委員会の同意を得て他の国又は国際機関に移転された物質は、その物質の形状及び(又は)仕様に関係なく、委員会に返還されたものとみなす。

D 委員会の施設以外の再処理施設で委員会が認めるものを賃借者が利用することができない場合又は委員会の施設以外の認められた施設の処理料が回収しうる特殊核物質の価額をこえることを委員会が満足するように賃借者が立証した場合には、委員会は、Bに定める以外の形状及び(又は)仕様の物質の返還を受諾する。この場合には、賃借者は、(i)賃貸借協定の署名の日に有効な委員会の確定仕様に合致するように返還される物質を処理するための役務料を支払うか、又は(ii)その物質の価額若しくは価値に等しい額並びに物質の取扱い、保管及び(又は)処分についてその時に有効な委員会の価格政策に従つて決定される特別の役務料を支払う。このDにいう処理役務料は、その時に有効な確定した委員会の価格政策に従つて決定される委員会の処理料及び処理中に消耗される物質の価額又は価値について委員会が決定する額を含む。賃借者が返還する物質がこのDの規定に基づく処理料の適用を受けるときはいつでも、賃借者は、委員会が決定する通常の処理期間が満了するまで、その物質について引き続き使用料を支払う。

E 賃貸借協定の両当事者は、Dに定める場合には、賃借者が賃貸借協定に基づき賃貸借される物質の化学的処理を要請することができるものと了解する。両当事者は、さらに、賃借者の前記の要請があるときは、委員会が、(a)化学的処理の役務を遂行するための認められた商業的施設、(b)委員会の施設及び(c)合衆国の原子炉設置被許可者に対して委員会が提供する同様の役務の利用可能性等の要素を考慮して、前記の役務を遂行することを約束することができるかどうかを決定し、また、それができると決定するときは、いかなる条件でその役務を遂行するかを決定するものと了解する。

F 賃貸借協定の適用を受ける物質で六弗化ウランの形状で直接委員会に返還されるものは、委員会が定める適当な寸法の円筒に入れて輸送しなければならない。一個の容器に入れて輸送される物質の量は、使用する円筒の型について委員会が定める最小限度の積量より少なくてはならない。

G 委員会に返還されるすべての物質は、委員会が定める健康上及び安全上の危険に対する適当な保障措置の下に、委員会が賃借者との協議の後指定するアメリカ合衆国内の輸入港に運送される。委員会は、その後直ちに、その物質の輸入を許可するため必要な措置を執る。両当事者が別段の合意をしない限り、賃借者は、その後、委員会が要求する料金、条件及び許可要件に従つて、委員会の施設又は委員会が指定する場所におけるf・o・b・の商業的運送条件で、その施設又は場所に物質を運送する運送者を手配し、かつ、その運送の費用について責任を負う。委員会が放棄しない限り、賃借者は、委員会に対し、物質を直接委員会に返還する意思を有する旨の書面による少なくとも六十日前の通告を与え、並びにその物質の形状及び仕様を通報する。委員会は、物質を返還する意思を有する旨の賃借者の通告を受領した後、できる限りすみやかに、賃貸借協定の条件に従つてその物質を受諾することができるかどうかについて、及び適当な場合には物質の返還のために指定する委員会の施設又は場所について、賃借者に通告する。賃借者は、物質の発送の時に、発送の日付及び輸送方法並びに到着予定日を、輸送が仕向けられる委員会の施設又は場所に通告し、委員会は、物質がその施設又は場所に引き渡された時に、その物質の返還を受諾し、かつ、その受諾及び賃貸借協定に基づく物質の返還の日付を証明する適当な受領書に署名する。

第八条 喪失し、又は消耗した物質についての支払

A 賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、賃借者は、物質の喪失又は消耗について、その喪失又は消耗が賃借者の過失若しくは怠慢又は物質の賃借者への引渡しの時から物質が賃貸借協定に定めるところに従つて委員会に返還される時までの間に生ずる他の理由によるかどうかを問わず、委員会に対し責任を負い、及び補償する。

B 喪失し、又は消耗した物質について委員会に支払うべき額は、賃貸借協定に従つて算定されるその物質の価額又は価値とする。物質の消耗が、特殊核物質との混合その他の同位元素率の変更に起因する価額の減少である場合には、支払うべき額は、第十一条の規定に基づいて開設される賃借者勘定に示すところに従い、混合され、又は変更された物質の価額又は価値をその混合又は変更前の当該物質の価額又は価値から減ずることによつて決定する。賃借者は、委員会が要求するときは、賃借者の喪失又は消耗の報告に示す資料に基づいて決定される喪失し、又は消耗した物質について、定期的に支払を行なう。物質の喪失又は消耗の報告の様式は、委員会が定める。

第九条 使用料の支払

 賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、賃借者は、第十一条に定めるところに従い、賃貸借協定の適用を受ける物質についての使用料を委員会に支払うことに同意する。使用料率は、委員会の明細勘定書の期間中有効な委員会の公表した年間(三百六十五日)使用料率とする。

第十条 委員会の他の権能

 賃貸借協定のいかなる規定も、委員会が、賃借者と協議の後、法律上その他の援用することができる権能に基づいて、賃貸借協定の適用を受ける物質及び(若しくは)役務に関する委員会の料金又は賃貸借協定の他の特定の規定が適用されないと決定するときは、その料金を支払い、又はその規定を遵守する義務を賃借者に負わせるものとみなしてはならない。

第十一条 特殊核物質賃貸借勘定の開設

A 委員会は、賃借者のために特殊核物質賃借勘定を開設し、賃貸借協定に定めるところに従い、賃貸借協定の適用を受ける物質の価額又は価値に等しい額をこの勘定に借記する。この勘定には、賃貸借協定に定めるところに従い、賃貸借協定に基づいて返還され、又は支払が行なわれた物質の価額又は価値に等しい額を貸記する。委員会に支払うべき使用料の額は、この勘定の各日の差引残高を使用して算定する。返還された物質の価額又は価値及び喪失し、又は消耗した物質についての支払を控除した後にこの勘定に示される物質の価額又は価値は、返還されず、又は支払が行なわれない物質について委員会に支払うべき額を示す。

B 賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、賃借者勘定は、提供された物質について、賃借者にその物質が引き渡された日付で借記する。

C 賃借者勘定は、直接委員会に返還され、又は他の国若しくは国際機関に移転された物質について、その物質が第七条の規定に従つて返還され、又は移転された場合にのみ、貸記する。賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、賃借者勘定は、直接委員会に返還された物質について第七条Gの規定に従つて委員会の施設又は場所に物質が引き渡された日付で、貸記する。他の国又は国際機関に移転された物質についての貸記は、相互に合意する日付で行なう。支払が行なわれた物質についての貸記は、委員会がその支払を受領した日付で行なう。

D 委員会が第十二条に定めるところに従つて適用される基本料を変更するときはいつでも、賃借者勘定に記入する物質の価額又は価値は、新たな基本料により再算定する。ただし、この変更の日に喪失し、又は消耗した物質の価額又は価値は、再算定しない。新たな基本料は、適用される基本料の変更が有効となる日の後に喪失し、又は消耗した物質の価額又は価値の決定及び前記の日の後に使用料の適用を受ける物質の価額又は価値の算定のために使用される。

E 賃借者は、物質の輸送及び移転の結果行なわれる賃借者勘定の借記及び貸記並びに適用される基本料の変更に伴う前記の勘定における物質の価額又は価値の変更について通告を受ける。賃借者は、すみやかに、前記の通告に対する異議又はその通告における矛盾若しくは誤りを委員会に通告する、

F 賃借者は、賃貸借協定の適用を受ける物質に関して、委員会が定める受領及び発送を明示する移転書、喪失又は消耗の報告並びに現在使用量報告を提出し、かつ、賃貸借協定の適用を受ける物質の受領、占有、移転又は使用に関する適当な記録を維持し、合理的な通告を受けたときは、査察のためにその記録を委員会に提供する。

第十二条 使用料率、基本料及び仕様の変更

A 賃貸借協定に基づいて提供された物質についての使用料率、基本料及び仕様は、法に基づいて委員会が行なう変更に従う。

B 使用料率、基本料及び(又は)仕様の変更は、委員会の変更の公示に従い、七月一日又は一月一日のいずれかの日に効力を生ずる。ただし、その変更について、公表その他の方法により少なくとも三十日前の予告が賃借者に与えられることを条件とする。

第十三条 AECの義務の履行、支払請求

A 委員会は、賃貸借協定に基づく義務を委員会の施設の運営者を通じて履行することができる。

B 賃貸借協定に基づき委員会に支払うべき額についての支払請求は、通常、

(1) 役務については、その遂行の後に、及び

(2) 物質の使用料及び物質の喪失又は消耗については、半年ごとに行なう。

C 第八条Bに定めるところに従つて定期的に行なわれた支払請求は、当該物質の実際の量、濃縮度、同位元素含有分及び仕様に合わせて調整される。もつとも、この調整は、Dに定める場合を除き、賃借者又は委員会に利息を支払う義務を負わせない。

D 委員会により又は委員会のために行なわれるすべての支払請求は、明細勘定書の日付の日から六十日以内に、アメリカ合衆国通貨で支払う。委員会は、支払を明細勘定書の日付の日から六十日後に受領したときは、その支払額について、年六パーセントの率で追加の料金を徴収する権利を有する。

第十四条 引渡しの時

 委員会は、賃貸借協定の適用を受ける物質の発注書に掲げる時に物質の引渡しを行なうよう合理的な努力を払うが、アメリカ合衆国政府、委員会及び委員会を代表して行動する者は、その時に引渡しが行なわれなかつたことについて、責任を負わない。

第十五条 円筒及び設備

A 賃貸借協定の両当事者が別段の合意をする場合を除き、六弗化ウランの形状の濃縮ウラン(ウラン二三五)の賃借者から直接委員会への及び委員会から直接賃借者へのすべての輸送は、委員会から購入した円筒に入れて行なう。六弗化ウランを直接委員会に返還するための円筒は、賃借者の要請により、委員会の施設におけるf・o・b・の商業的運送条件で賃借者に提供される。

B Aに定める場合を除き、賃貸借協定の適用を受ける物質の賃借者への輸送及びその物質の委員会への返還輸送は、もつぱら、委員会が認める容器及び(又は)設備により行なわれる。委員会は、物質の輸送のための容器及び設備を提供することができるが、その義務を有しない。

C AEC所有のものでない円筒、容器及び設備で賃借者が提供し、又は利用するものは、安全、設計基準、清潔性及び非汚染性に関する委員会の現行の仕様及び慣例に合致するものとし、そのことについての判定は、委員会のみが行なう。委員会は、AEC所有のものでない円筒、容器及び設備を合理的な期間内に賃借者に返還するように努力するが、その円筒、容器又は設備の喪失又は損傷について責任を負わない。ただし、その喪失又は損傷が委員会の過失又は怠慢に起因する場合は、この限りでない。AEC所有のものでない円筒、容器及び設備の委員会による返還運送は、委員会の施設におけるf・o・b・の商業的運送条件で行なわれる。

D 物質が委員会に輸送され、かつ、容器、物質又は輸送方法が委員会又は当該事項の管轄権を有する合衆国政府の他のいずれかの機関が定める建康及び安全の基準に合致しなかつたため、委員会が容器、貨車、トラックその他の輸送車両又は委員会の積下場及び安全の機械の汚染除去を行なうこととしたときはいつでも、賃借者は、確定した委員会の価格政策に従つて委員会が決定する汚染除去費用の全部について委員会に対し責任を負う。

第十六条 譲渡

 賃借者は、委員会の明示の書面による承認を受けないで、賃貸借協定又は同協定の適用を受ける物質の発注書を譲渡することができない。

第十七条 物質の量及び物性の決定、測定の相違の解決、使用料の調整

A この第十七条AからCまでに定める規定及び手続は、賃貸借協定に基づいて賃貸借きれる物質で直接賃借者に提供されるもの及び賃貸借協定の適用を受ける物質で直接委員会の施設に返還されるものに関し、その物質の量及び物性の決定並びにその決定から生ずる測定値の相違の解決に適用する。このAの規定の適用上「発出者」及び「受領者」とは、場合により、賃借者及び委員会をいう。

(1) 委員会が定めた方法により採取した委員会の試料は、正式の試料であり、賃借者及び委員会が他の試料の使用に合意しない限り、賃借者、委員会及び判定人を拘束する。

(2) 受領者は、物質についてのAEC移管書に掲げる発出者の量及び(又は)物性を受諾しない場合には、その物質の受領の時又はその物質のためのAEC移管書の受領の時のいずれかおそい時から六十日以内に、書面による異議の通告を発出者に与える。異議の通告は、異議を裏付ける測定資料を含むものとする。この異議の通告が六十日以内に与えられなかつた場合には、発出者の測定値が最終的となり、かつ、両当事者を拘束する。受領者は、賃借者及び委員会が相互に合意しない限り、その相違が解決されるまではいかなる方法でもその物質を使用し、又は処分してはならない。ただし、この(2)のいかなる規定も、受領者が保管のため又は健康上及び安全上の危険に対する防護のために必要なその物質の取扱いを行なうことを妨げるものではない。

(3) 異議が相互の合意により解決されない場合には、次の手続が適用される。

(a) 異議が総量測定(たとえば、総量、総重量及び純重量、総個数その他当該物質の全量に関して行なわれる測定)に関するものである場合には、両当事者が相互に合意する判定人により、相互に合意する場所で、再測定が行なわれる。判定人の測定値は、両当事者にとつて最終的である。判定人の測定値からより離れた原測定値を出した当事者が判定人の経費を負担する。ただし、判定人の測定値が発出者の測定値と受領者の測定値とから等距離にある場合には、両当事者がそれぞれ判定人の経費の半額を負担する。

(b) 異議が試料の分析から得られた測定値に関するものである場合には、正式の試料を、分析のため、相互に合意される判定人に提出する。判定人の測定値は、両当事者にとつて最終的である。

(i) 仕様の許容限度に関する異議の場合には、正式の試料に基づく判定人の測定値が仕様の許容限度内にあるときは、受領者が判定人の経費を負担し、また、判定人の測定値が仕様の許容限度内にないときは、発出者が判定人の経費を負担する。

(ii) 定量的決定に関する異議の場合には、正式の試料に基づく判定人の測定値を使用し、判定人の測定値からより離れた測定値を出した当事者が判定人の経費を支払う。ただし、判定人の測定値が発出者の測定値と受領者の測定値とから等距離にある場合には、両当事者がそれぞれ判定人の経費の半額を負担する。

B この条にいう測定に関する異議の対象となる物質に関して賃貸借協定に基づいて使用料が課される期間は、次のとおり調整される。

(1) 異議が賃借者に引き渡された物質に関するものであり、かつ、判定人により賃借者に有利に解決される場合には、使用料は、異議の通告の受領の日と、解決の日又は、賃借者による物質の使用若しくは処分がこの第十七条A(2)に定めるところに従つて両当事者により相互に合意されたときは、その使用若しくは処分の日のいずれか早い日との間の期間は、課されない。ただし、異議が物質の仕様に関するものであり、かつ、判定人により賃借者に有利に解決される場合には、使用料は、賃借者がその物質を保持することを選ぶとき、その物質の使用若しくは処分をこの第十七条A(2)に定めるところに従つて両当事者間で相互に合意した上で賃借者がその物質を使用し、若しくは処分するとき、又は賃借者が異議の解決の後妥当な期間内にその物質の返還を行なわないときに限り、課される。

(2) 異議が直接委員会に返還される物質に関するものである場合には、輸送の受領の日と異議の通告の賃借者による受領の日との間の期間は、使用料は、課されない。異議が賃借者に有利に解決されない限り、使用料は、異議の通告を賃借者が受領した日と、解決の日又は、委員会による物質の使用若しくは処分がこの第十七条A(2)に定めるところに従つて両当事者により相互に合意されたときは、その使用若しくは処分の日のいずれか早い日との間の期間は、課される。

(3) 判定人が利用され、かつ、判定人の測定値が両当事者の測定値から等距離にある場合には、使用料は、異議の通告の受領の日と、解決の日又は、賃借者若しくは委員会による物質の使用若しくは処分がこの第十七条A(2)に定めるところに従つて両当事者により相互に合意されたときは、その使用若しくは処分の日のいずれか早い日との間の期間の半分は、課される。

(4) 異議が相互の合意により解決される場合には、使用料の期間は、相互の合意により定める。

 使用料は、量又は他の特徴が問題になつている物質の全体に適用するものとし、測定値の相違により示される量にだけ適用するのではない。

C 賃貸借協定の適用を受ける照射済物質で処理のため直接委員会の施設に返還されるものの量及び(又は)物性は、その物質を処理するための賃借者と委員会との間の契約で合意する規定及び手続に従つて決定する。

D 賃貸借協定に基づいて発注された物質で、処理及び(又は)加工並びに製造のため賃借者により雇用され、又は手配された合衆国の契約者に提供されるものに関しては、次の規定が適用される。

(1) 賃借者は、前記の契約者に対し、処理され、及び(又は)加工され、並びに製造された物質に含まれる特殊核物質の量並びにその同位元素含有分に関する契約者の決定の証明書を委員会に提出させる。賃貸借協定の両当事者による別段の合意がない限り、賃借者の合衆国の契約者により処理され、及び(又は)加工され、並びに製造された濃縮ウランの同位元素ウラン二三五の百分率は、委員会が契約者に提供したウランの同位元素ウラン二三五の濃縮度と同一とみなされ、これに従つて契約者の証明書が作成される。処理され、及び(又は)加工され、並びに製造された物質に含まれる特殊核物質の量は、合衆国の契約者が決定し、かつ、書面により証明するもので、委員会が適当と認める審査又は分析の後同意を与え、又は修正したものとする。

(2) 委員会と契約者との間において物質の量及び物性の決定並びにその決定から生ずる測定値の相違の解決を規律する規定及び手続は、委員会とその契約者との間の取極により定める。

第十八条 特許侵害の免責

 委員会が書面により明示的に放棄しない限り、賃借者は、賃借者のために行なわれたいずれかの役務、分析又は試験の実施中に、それについての賃借者の特別の指示に従つた結果生ずる公開の特許の侵害について、アメリカ合衆国政府、委員会及び委員会を代表する者に対し、その責任(それに伴う費用及び経費を含む。)を免れさせることに同意する。

第十九条 情報の利用及び公開の権利

 委員会は、賃貸借協定に基づいて賃借者のために行なわれた役務、分析又は試験の結果委員会又は委員会を代表する者が開発した情報又は資料を公開し、及び利用する権利を有する。

第二十条 他の契約及び協定

 賃貸借協定によれば、賃貸借協定の適用を受ける照射済物質の処理役務に関する賃借者と委員会との間の別個の契約及び(又は)賃貸借協定の適用を受ける物質を委員会の利益のために委員会に提供するための賃借者と委員会との間の協定(この協定は、使用料支払義務の停止又は終了について、賃貸借協定に基づくその他の義務の停止、終了又は変更について、及び(又は)賃借者が返還する物質の量の測定値について規定することができる。)を締結する可能性が認められる。前記の停止、終了若しくは変更の場合又は賃貸借協定に基づいて賃借者のために債権が認められる返還物質の額の決定に際しての測定資料の使用の場合を除き、賃貸借協定の適用を受ける物質について賃貸借協定に基づいて賃借者が負う義務は、前記の別個の契約の存在にかかわらず、継続するものとする。

第二十一条 受益を禁止される者

 アメリカ合衆国議会の議員又は同国の属領代表は、同国の法律に従い、賃貸借協定のいかなる部分にも、また、それから生ずるいかなる利益にも関与し、又は参加することができないものと了解される。

第二十二条 通告

A 賃貸借協定に基づく賃借者の通告は、書面により次のあて名で委員会に提出する。

 コロンビア区ワシントン二五

 合衆国原子力委員会国際部長

B 賃貸借協定に基づく委員会の通告は、書面により次のあて名で賃借者に提出する。

 コロンビア区ワシントン八

北西マサチュセッツ通り二五一四

日本国大使館参事官

 以上の証拠として、この協定の両当事者は、正当な権限によりこの協定に署名させた。

 千九百六十一年五月十九日にワシントンで、日本語及び英語により本書二通を作成した。

 日本国政府のために
加藤匡夫

アメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会のために
A・A・ウエルス

SNM賃貸借協定番号 JA/L/6



附属書A


 次の装置の操作における使用のための日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との特殊核物質賃貸借協定の附属書

 装置A 半均質炉系臨界実験装置

 装置B 水性均質炉系臨界実験装置

 装置C 速中性子増殖炉指数実験装置用速中性子コンヴァーター

 これらの三の装置は、日本国茨城県那珂郡東海村日本原子力研究所に設置される。