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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の特殊核物質賃貸借協定

[場所] 
[年月日] 1964年10月30日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の特殊核物質賃貸借協定

 この賃貸借協定(以下「賃貸借協定」という。)は、千九百六十四年十月三十日に、日本国政府(以下「賃借者」という。)とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会(以下「委員会」という。)との間で締結される。

 賃貸借協定の両当事者は、協力協定に基づく賃借者への特殊核物質の賃貸借に適用される条件を確定することを希望するので、賃貸借協定は、協力協定により授権され、かつ、同協定に基づき実施されるので、よつて、賃貸借協定の両当事者は、相互に次のとおり協定する。

第一条 定義

 賃貸借協定において

a 「法」とは、千九百五十四年の合衆国原子力法(改正を含む。)をいう。

b 「協力協定」とは、千九百五十八年六月十六日にワシントンで署名されて、千九百五十八年十月九日にワシントンで署名された原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書及び千九百六十三年八月七日にワシントンで署名された原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書により改正された原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(将来改正され又はこれに代わるものを含む。)をいう。

c 「原子力委員会」、「委員会」又は「AEC」とは、合衆国原子力委員会又はその正当に授権された代表者をいう。

d 「基本料」とは、賃貸借協定に基づく個個の取引が行なわれる時に有効な標準形状及び仕様の特殊核物質の単位当たりの合衆国ドルの額で、委員会が随時合衆国連邦官報に公表する価格表に定めるものをいう。

e 「委員会の施設」とは、委員会により又は委員会のために運営される実験所、工場、事務所その他の施設をいう。

f 「委員会の確定仕様」とは、特殊核物質の純度その他の物理的又は化学的特性についての仕様で、委員会が随時合衆国連邦官報に公表するものをいう。

g 「消耗された」又は「消耗」とは、特殊核物質の異なる同位元素含有分の混合その他の同位元素率の変更による物質の価額の減少及びその後の使用のために経済的に回収することができない方法による物質の処置を含む。

h 「委員会のために又は委員会を代表して行動する者」とは、委員会との雇用関係又は契約に従つて賃貸借協定を実施し又は賃貸借協定の実施に参加する委員会の被用者及び請負人並びにこの請負人の被用者を含む。

i 「原料物質」とは、(1)ウラン、トリウム若しくは委員会が原料物質であると決定するその他の物質又は(2)委員会が規則により随時決定する含有率においてこれらの物質の一若しくは二以上を含有する鉱石をいう。

j 「特殊核物質」とは、(1)プルトニウム、ウラン二三三、同位元素二三三若しくは同位元素二三五の濃縮ウラン及び委員会が特殊核物質であると決定するその他の物質又は(2)これらの物質のいずれかで人工的に濃縮した物質をいう。ただし、原料物質は含まない。「物質」とは、文脈により別のものを意味しない限り、この項に定義された「特殊核物質」をいう。

k 「価額」とは、当該特殊核物質が標準形状及び仕様のものであるかどうかを問わず、適用される委員会の基本料にその物質の単位数及びその端数を乗ずることにより決定される合衆国ドルの額をいう。

l 「価値」とは、普通ウラン又は減損ウランについて適用される委員会の単位価格に当該普通ウラン又は減損ウランの単位数及びその端数を乗ずることにより決定される合衆国ドルの額をいう。普通ウラン又は減損ウランについて適用される委員会の単位価格は、その時に有効な確定した委員会の価格政策に従つて定められる。

m 「確定した委員会の価格政策」とは、賃貸借協定に基づく個個の取引が行なわれる時に有効な適用される合衆国ドルによる価格又は料金で、(i)委員会が合衆国連邦官報に公表するもの又は(ii)公表された数字がない場合には、委員会の価格政策に従つて決定されるものをいう。この価格政策の明細は、賃借者の要請により提供される。委員会の公表された価格及び料金並びに価格政策は、随時改正することができる。

n 「標準形状」とは、特殊核物質の化学的形状で委員会が随時合衆国連邦官報に公表するものをいう。

第二条 適用範囲

a 1 賃貸借協定は、協力協定に含まれるすべての条件、規定及び保証に従う。

2 賃貸借協定又は委員会と賃借者との間の書面による合意に別段の規定がない限り、賃貸借協定に含まれる条件は、千九百六十三年七月一日以後に賃借者の発注に基づき委員会が賃借者に引き渡す物質及び提供する関係役務並びに委員会と賃借者との間のすべての特殊核物質賃貸借協定に基づき千九百六十三年六月三十日現在において賃貸されている物質に千九百六十三年七月一日から適用される。

b 1 賃借者は、委員会が定める様式の特殊核物質発注書を作成し、かつ、提出することにより、賃貸借協定の適用を受ける物質を発注する。

2 賃借者は、その発生の際に、発注された物質が(a)賃借者に直接提供されるか、(b)処理及び(若しくは)加工並びに製造若しくは他の目的のために賃借者が雇用し若しくは手配する委員会の賃借者である委員会の許可を受けた合衆国の会社(以下「合衆国の契約者」という。)を通じて提供されるか、又は(c)他の方法で提供されるかのいずれを希望するかを明示する。

c 委員会が行なうか又は委員会のために行なわれる賃借者の物質発注書の受諾は、その発注書に明示された物質をその発注書及び賃貸借協定の条件に従つて賃貸する旨の委員会の約束を構成する。

d 賃貸借協定のいかなる規定も、賃借者に対して物質を発注する義務を負わせ、又は委員会に対して賃借者に物質を賃貸する義務若しくはその物質に関連して賃借者に役務を提供する義務を負わせるものとみなしてはならない。

第三条 権原

 賃貸借協定に別段の規定がある場合又は賃貸借協定の両当事者が別段の合意をする場合を除き、賃貸借協定に従つて賃借者に提供され又は賃借者が受領するすべての物質に対する権原は、常にアメリカ合衆国政府が有する。

第四条 賃貸借協定の期間、廃棄及び取消し

a 賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、賃借者は、千九百六十七年六月三十日まで、賃貸借協定の適用を受ける物質を占有し、かつ、使用する権利を有する。なお、両当事者は、賃貸借協定又は適当に修正された賃貸借協定若しくは合意の更新に関し、適当な時に交渉する意図を有するものと了解される。

b 協力協定の全部又は一部の満了、停止又は廃棄は、自動的に賃貸借協定の終了となり、その後は、いずれの物質発注も、賃貸借協定の終了により影響をうける物質につき、効力を有しない。


c 賃借者は、物質の引渡し前のいかなる時においても、委員会にあてた書面による通告により、賃貸借協定に基づく物質発注を取り消すことができる。ただし、賃借者は、その発注に関連して委員会が負担した費用について、その費用が負担された時に有効な確定した委員会の価格政策に従つて決定される取消料を支払う。

d いずれの一方の当事者も、他方の当事者が賃貸借協定又は協力協定に基づく自己の義務を遂行せず又はその遂行を怠つたときはいつでも、賃貸借協定を廃棄することができる。

e 賃借者が、なんらかの理由により、賃貸借協定に基づき賃貸された物質を賃貸された目的に使用することができない場合には、賃借者は、すみやかに委員会に通報し、かつ、両当事者が今後別段の合意をする場合を除き、賃貸借協定の条件に従つて当該物質を返還する。

第五条 委員会が提供すべき物質、役務料

a 賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、賃貸借協定の適用を受ける特殊核物質は、委員会の確定仕様に従う標準形状で、賃借者又は賃借者が指定する合衆国の契約者に提供される。

b 1 賃借者は、賃貸借協定の適用をうける物質で直接賃借者に提供されるものに関し、取出し、荷造りその他賃借者発注書に従つて提供される特別の役務についての委員会の役務料を支払う。賃借者及び委員会が作成する物質発注書においてその料金が合意されない限り、賃借者は、賃借者の発注書に従つて提供される役務についての料金でその役務が提供される時に有効な確定した委員会の価格政策に従つて決定されるものを委員会に支払う。賃借者は、また、前記の役務が提供される期間についての使用料相当額及びその特別の役務の提供中に消耗される物質の価額を支払う。

2 賃貸借協定に基づいて賃借者が発注する物質で、賃借者が雇用し又は手配する合衆国の契約者を通じて提供されるものの場合には、前記の契約者が取出し、荷造りその他賃借者の発注書に従つて提供される特別の役務についての委員会の役務料を支払うための取極は、賃借者又は賃借者が許可した使用者により行なわれる。前記の役務が提供される期間についての使用料(以下に定める。)の支払及びその特別の役務の提供中に消耗される物質の価額の支払に関する取極も、また、賃借者又は賃借者が許可した使用者により前記の契約者との間で行なわれる。

c 1 賃貸借協定に基づいて発注された物質で直接賃借者に提供されるものが賃借者及び委員会が作成する発注書に定める仕様(そのような仕様が定められていない場合には、委員会の確定仕様)に合致しないときは、アメリカ合衆国政府、委員会及び委員会のために又は委員会を代表して行動する者の責任及び補償義務は、適用される仕様に合致する物質をその仕様に合致していない物質と引換えにアメリカ合衆国内の相互に合意する輸出港において引き渡すことによつてその食い違いを正すことのみに限定される。

2 賃貸借協定に基づいて賃借者が発注した物質で、委員会による賃借者への引渡しに先だつて賃借者が指定する合衆国の契約者に提供されるものの場合には、その物質が仕様に合致しないことに関する委員会の責任及び補償義務は、委員会とその契約者との間の取極により規制する。

d 賃貸借協定に基づき濃縮ウラン(ウラン二三五)として提供される物質は、その賃貸借された物質が賃貸借協定に定義する特殊核物質でなくなる程度までに同位元素率が減少する方法で消耗されることが認められる。賃貸借協定に規定する場合を除き、その結果生ずる普通ウラン又は減損ウランは、引き続き特殊核物質として賃貸借協定の規定の適用を受ける。ただし、その物質の喪失又は消耗についての賃借者の義務及びその物質の使用料についての賃借者の義務は、普通ウラン又は減損ウランの価値を使用して計算するものとし、さらに、賃借者が、賃貸借協定に定めるところによりその物質を直接に委員会の施設に返還することに代えて、その物質を委員会がこのため許可し、かつ、承認した他の者に移転し、その物質に関する賃借者の義務を終了させることを望む場合には、委員会は、その選択により、賃借者がその物質の価値を支払うことと引換えに、その物質に対する権原を移転することができる。

e 賃借者は、委員会の事前の同意を得ないで、賃貸借協定の適用を受ける特殊核物質を混合してはならない。

f 賃借者は、両当事者が別段の明示の合意をしない限り、賃貸借協定の適用を受けるすべての物質を、賃借者が占有する他のいかなる原料物質及び特殊核物質からも物理的に分離しておかなければならない。

第六条 委員会への物質の返還、委員会の役務についての特別の料金

a 1 賃貸借協定の両当事者が別段の合意をする場合を除き、賃借者は、賃貸借協定が満了し又はそれより早期に廃棄されたときは、賃貸借協定の適用を受けるすべての物質を返還する。もつとも、賃借者は、その満了又は廃棄の日より前にいつでもその物質を返還する権利を有する。

2 賃借者は、委員会に対し、物質を委員会に返還する意思を有する旨の書面による少なくとも六十日前の通告を、委員会がその通告を受ける権利を放棄しない限り、その物質の形状及び仕様を明示して与える。

b 賃貸借協定に別段の規定がある場合又は相互に合意する場合を除き、賃貸借協定の適用を受ける物質で直接委員会に返還されるものは、委員会が認める施設で処理された後は、賃貸借協定の署名の日に有効な標準形状でなければならず、かつ、賃貸借協定の署名の日に有効な物質の返還のための委員会の確定仕様に合致しなければならない。

c 委員会の同意を得て賃借者の管轄外へ移転された物質は、被移転者、委員会及び賃借者が移転された物質に関する取極を作成した場合には、その物質の形状及び(又は)仕様に関係なく、委員会に返還されたものとみなす。

d 委員会の施設以外の再処理施設で委員会が認めるものを賃借者が利用することができない場合又は委員会の施設以外の認められた施設の処理料が回収なることができる特殊核物質の価額をこえることを委員会が満足するように賃借者が立証した場合には、委員会は、bに定める以外の形状及び(又は)仕様の物質の返還を受諾する。この場合には、賃借者は、(i)賃貸借協定の署名の日に有効な委員会の確定仕様に合致するように返還される物質を処理するための役務料を支払うか又は(ii)その物質の価額若しくは価値に等しい額並びに物質の取扱い、保管及び(若しくは)処分についてその時に有効な委員会の価格政策に従つて決定される特別の役務料を支払う。このdにいう処理役務料は、その時に有効な確定した委員会の価格政策に従つて決定される委員会の処理料及び処理中に消耗される物質の価額又は価値について委員会が決定する額を含む。賃借者が返還する物質がこのdの規定に基づく処理料の適用を受けるときはいつでも、賃借者は、委員会が決定する通常の処理期間が満了するまで、その物質について引き続き使用料を支払う。

e 賃貸借協定の両当事者は、dに定める場合には、賃借者が賃貸借協定に基づき賃貸借される物質の化学的処理を要請することができるものと了解する。両当事者は、さらに、賃借者の前記の要請があるときは、委員会が、(a)化学的処理の役務を遂行するための認められた商業的施設、(b)委員会の施設及び(c)合衆国の原子炉設置被許可者に対して委員会が提供する同様の役務の利用可能性等の要素を考慮して、前記の役務を遂行することを約束することができるかどうかを決定し、また、それができると決定するときは、いかなる条件でその役務を遂行するかを決定するものと了解する。

f 賃貸借協定の適用を受ける物質で六弗化ウランの形状で直接委員会に返還されるものは、委員会が定める適当な寸法の円筒に入れて輸送しなければならない。一個の容器に入れて輸送される物質の量は、使用する円筒の型について委員会が定める最小限度の積量より少なくてはならない。

g 1 委員会に返還されるすべての物質は、委員会が定める健康上及び安全上の危険に対する適当な保障措置の下に、委員会が賃借者との協議の後指定するアメリカ合衆国の輸入港に運送される。委員会は、その後直ちに、その物質の輸入を許可するため必要な措置を執る。両当事者が別段の合意をしない限り、賃借者は、その後、要求される料金、条件及び許可要件に従つて、その物質をf・o・b・の商業的運送条件で、委員会の施設又は委員会が指定する場所に運送する運送者を手配し、かつ、その運送のすべての費用について責任を負う。

2 委員会は、物質を返還する意思を有する旨の賃借者の通告を受領した後、賃貸借協定に基づく返還としてその物質を受諾することができるかどうかについて、及び適当な場合には物質の返還のために指定する委員会の施設又は場所について、賃借者にすみやかに通告する。

3 賃借者は、物質の発送の時に、発送の日付及び輸送方法、輸入港への到着予定日並びにその物質の委員会の施設への引渡し予定日を委員会に通告する。

h 委員会は、賃貸借協定に基づく物質の返還を証明する適当な受領書を発給する。

第七条 喪失し又は消耗した物質についての支払

a 賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、賃借者は、物質の喪失又は消耗について、その喪失又は消耗が賃借者の過失若しくは怠慢又は物質の賃借者への引渡しの時から物質が賃貸借協定に定めるところに従つて委員会に返還される時までの間に生ずる他の理由によるかどうかを問わず、委員会に対し責任を負い及び補償する。

b 賃借者は、委員会に対し、委員会の定める様式により、その時に賃借者に知られている物質のすべての喪失又は消耗を正確に示す報告を行なう。賃借者は、喪失し又は消耗した物質を報告するに際し、当該喪失又は消耗の時を、それが起こつた特定の場合を基礎として、又は喪失若しくは消耗を算定するための認められた手続及び方法に従つて、正確に確定するよう合理的な努力を支払う。

c 賃借者は、喪失し又は消耗した物質について賃貸借協定第十二条cの規定に従い定期的に支払を行なうことができ、かつ、委員会が要求するときは、これを行なうものとする。賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、喪失し又は消耗した物質について委員会に支払われるべき額は、賃貸借協定に従つて算定される当該喪失又は消耗の時におけるその物質の価額又は価値とする。

第八条 使用料の支払

 賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、賃借者は、第十条に定めるところに従い、賃貸借協定の適用を受ける物質についての使用料を委員会に支払うことに同意する。使用料率は、委員会の明細勘定書の期間について有効な委員会の公表した年間(三百六十五日)使用料率とする。

第九条 委員会の他の権能

 賃貸借協定のいかなる規定も、委員会が、賃借者と協議の後、法律上その他の援用することができる権能に基づいて、賃貸借協定の適用を受ける物質及び(若しくは)役務に関する委員会の料金又は賃貸借協定の他の特定の規定が適用されないと決定するときは、その料金を支払い、又はその規定を遵守する義務を賃借者に負わせるものとみなしてはならない。

第十条 特殊核物質賃貸借勘定の開設

a 委員会は、賃借者のために特殊核物質賃貸借勘定を開設し、賃貸借協定に定めるところに従い、賃貸借協定の適用を受ける物質の価額又は価値に等しい額をこの勘定に借記する。この勘定には、賃貸借協定に定めるところに従い、賃貸借協定に基づいて返還され又は支払が行なわれた物質の価額又は価値に等しい額を貸記する。委員会に支払うべき使用料の額は、この勘定の各日の差引残高を使用して算定する。返還された物質の価額又は価値及び喪失し又は消耗した物質についての支払を控除した後にこの勘定に示される物質の価額又は価値は、返還されず又は支払が行なわれない物質について委員会に支払うべき額を示す。喪失し又は消耗したものとして支払が行なわれた物質がその後賃借者勘定に再び計上される場合には、賃貸借協定第十二条cに定める賃借者に対する支払の払いにもどし(又は適当な相殺)が行なわれた日付で、賃借者勘定に再び計上される時のその物質の価額又は価値に等しい額を前記の勘定に借記する。

b 賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、賃借者勘定には、提供された物質について、賃借者にその物質が引き渡された日付で借記する。

c 直接委員会に返還され又は賃借者の管轄外に移転された物質については、その物質が賃貸借協定第六条の規定に従つて返還され又は移転された場合にのみ賃借者勘定に貸記する。賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、直接委員会に返還された物質については、賃貸借協定に従つて委員会が定める場所に物質が引き渡された日付で、賃貸借協定に貸記する。賃借者の管轄外に移転された物質についての貸記は、相互に合意する日付で行なう。支払が行なわれた物質についての貸記は、委員会がその支払を受領した日付で行なう。

d 委員会が第十一条に定めるところに従つて適用される基本料を変更するときはいつでも、賃借者勘定に記入する物質の価額又は価値は、新たな基本料により再び算定する。ただし、この変更の日に喪失し又は消耗している物質の価額又は価値は、再び算定しない。新たな基本料は、適用される基本料の変更が有効となる日の後に、喪失し又は消耗した物質の価額又は価値の決定及び使用料の適用を受ける物質の価額又は価値の算定のために使用される。

e 賃借者は、物質の発送及び移転の結果行なわれる賃借者勘定の借記及び貸記並びに適用される基本料の変更に伴う前記の勘定における物質の価額又は価値の変更について通告を受ける。賃借者は、前記の通告に対する異議又はその通告における食い違い若しくは誤りを委員会にすみやかに通告する。

f 賃借者は、賃貸借協定の適用を受ける物質に関して、委員会が定める受領及び発送を明示する移転書、喪失又は消耗の報告並びに現在使用量報告を提出し、かつ、賃貸借協定の適用を受ける物質の受領、占有、移転又は使用に関する適当な記録を維持し、合理的な通告を受けたときは、会計監査のためにその記録を委員会に提供する。

第十一条 使用料率、基本料及び仕様の変更

a 賃貸借協定に基づいて提供された物質についての使用料率、基本料、標準形状及び(又は)仕様は、法に基づいて委員会が行なう変更に従う。

b 使用料率、基本料、標準形状及び(又は)仕様の変更は、委員会の変更の公示に従い、七月一日又は一月一日のいずれかの日に効力を生ずる。ただし、その変更について公表その他の方法により少なくとも三十日前の予告が賃借者に与えられることを条件とする。もつとも、委員会は、委員会の変更の公示により、賃借者に対する事前の通告なしに、につでも使用料率又は基本料を減額することができる。

第十二条 AECの義務の履行、支払請求

a 委員会は、賃貸借協定に基づく義務を委員会の施設の運営者を通じて履行することができる。

b 賃貸借協定に基づき委員会に支払うべき額についての支払請求は、通常、

(1) 役務については、その遂行の後に、及び

(2) 物質の使用料及び物質の喪失又は消耗に対する料金については、半年ごとに行なう。

c 賃貸借協定第七条の規定に従つて行なわれた喪失及び消耗についてのすべての支払請求及び支払は、当該物質の実際の量又は算定された量、濃縮度、同位元素含有分及び仕様に合わせて調整される。賃借者が、喪失し又は消耗したものとして報告された物質について支払を行ない、その後その物質が賃借者勘定に再び計上されたときはいつでも、委員会は、賃借者に対し、その物質につき賃借者が支払つた額を払いもどす(又は委員会に支払うべき額と適当に相殺する。)。本項に定める調整は、dにいう場合を除き、賃借者又は委員会に利息を支払う義務を負わせない。

d 委員会が行なうか又は委員会のために行なわれるすべての支払請求は、明細勘定書の日付の日から六十日目の日に期限が到来し、アメリカ合衆国の通貨で支払われる。委員会は、支払を明細勘定書の日付の日から六十日以内に受領しなかつたときは、その支払額について、年六パーセントの率で追加の料金を徴収する権利を有する。

第十三条 傷害又は損害

a アメリカ合衆国政府、委員会又は委員会のために若しくは委員会を代表して行動する者のいずれも、賃貸借協定に基づき提供される物質が、(a)それが提供された目的若しくは両当事者がその後協力協定の範囲内で合意することがある他の目的に使用されたときに傷害若しくは損害を起こさないこと又は(b)その物質を委員会に要求する目的である結果をもたらすことにつき明示又は黙示の保証その他の言明を行なわない。

b 賃貸借協定に基づき賃貸借される物質に関し、賃借者は、その特殊核物質の生産又は加工、運送、所有、賃借並びに占有及び使用から生ずる原因のいかんを問わないすべての責任(第三者に対する責任を含む。)について、その物質が第十五条b(2)の規定に基づき賃借者に引き渡され、又は同条aの規定に基づき賃借者が手配する運送者に引き渡された後は、アメリカ合衆国政府に対しその責任を免れさせ、かつ、損害を与えないようにするものとする。この条のいかなる規定も、賃借者又は他の者が法第百七十条に基づき有する権利を奪うものではない。

第十四条 引渡しの時

委員会は、賃貸借協定の適用を受ける物質の発注書に掲げる時に物質の引渡しを行なうよう合理的な努力を払うが、アメリカ合衆国政府、委員会及び委員会のために又は委員会を代表して行動する者は、その時に引渡しが行なわれなかつたことについて、責任を負わない。

第十五条 引渡し

a 賃貸借協定に基づいて発注された物質で直接賃借者に提供されるものに関し、委員会は、賃借者が手配する運送者に対し、委員会の施設におけるf・o・b・の商業的運送条件で発注物質を引き渡す。賃借者が手配した運送者に対する物質又は容器の引渡しは、賃貸借協定の適用上賃借者に対するその物質又は容器の引渡しとみなす。運送者は、委員会が要求する料金、条件及び許可要件に従い、委員会が賃借者との協議の後指定するアメリカ合衆国内の輸出港にその物質を運送する。委員会は、その後直ちに、その指定港において賃借者に対する物質の輸出を許可するため必要な措置を執る。物質のアメリカ合衆国内及び同国外の運送費(容器及び荷造りの費用を含む。)、保管費並びに発送に関連する物質の物理的な取扱いに関するすべての手配は、賃借者の責任であり、委員会の責任ではない。賃借者又はその正当に授権された代理人は、運送者に対する物質の引渡しの時に、そのための適当な受領証に署名する。物質の賃貸借は、この署名の時に開始し、賃借者は、その物質について完全な責任を負う。

b 賃貸借協定に基づいて発注された物質で、賃借者が雇用し又は手配する合衆国の契約者に対し、処理及び(若しくは)加工並びに製造又は賃借者のための他の役務のために提供されるものに関し、

(1) 委員会は、前記の合衆国の契約者に対し、委員会が要求する料金、条件及び許可要件に従うことを条件として、委員会の施設におけるf・o・b・の商業的運送条件で、前記の物質を提供する。

(2) 賃借者は、前記の契約者による物質の処理及び(若しくは)加工並びに製造が完了した時に、又は、他の役務の場合には、相互に合意する時に、委員会が特殊核物質の同位元素含有分及び畳に関して賃貸借協定第十八条cに定める前記の契約者の決定の証明書を受領した上で、委員会が賃借者との協議の後指定するアメリカ合衆国内の輸出港に、賃借者が委員会に対し三十日の書面による予告を行なつた後に、委員会が要求する料金、条件及び許可要件に従つてその物質を運送し及び引き渡す運送者を手配する。委員会は、その後直ちに、その指定港において物質を賃借者に引き渡すため、及びその輸出を許可するため必要な措置を執る。物質のアメリカ合衆国内及び同国外の運送並びに引渡しの費用(容器及び荷造りの費用を含む。)、保管費並びに引渡しに関連する物質の物理的な取扱いに関するすべての手配は、賃借者の責任であり、委員会の責任ではない。賃借者又はその正当に授権された代理人は、指定輸出港においてその物質の引渡しを受諾し、かつ、そのための適当な受領証に署名する。物質の賃貸借は、この署名の時に開始し、賃借者は、その物質に含まれる特殊核物質について完全な責任を負う。

第十六条 円筒及び設備

a 別段の合意がある場合を除き、賃貸借協定の適用を受ける物質の賃借者への発送及びその物質の委員会への返還は、もつぱら、委員会が認める容器及び(又は)設備により行なわれる。委員会は、その物質の発送のための容器及び設備を提供することができるが、その義務を有しない。

b AEC所有のものでない円筒、容器及び設備で賃借者が提供し又は利用するものは、安全、設計基準、清潔性及び非汚染性に関する委員会の現行の仕様及び慣例に合致するものとし、そのことについての判定は、委員会のみが行なう。委員会は、AEC所有のものでない円筒、容器及び設備を合理的な期間内に賃借者に返還するように努力するが、その円筒、容器又は設備の喪失又は損傷について責任を負わない。ただし、その喪失又は損傷が委員会の過失又は怠慢に起因する場合は、この限りでない。委員会による前記の返還発送は、委員会の施設におけるf・o・b・の商業的運送条件で行なわれる。

c 物質が委員会に発送され、かつ、容器、物質又は発送方法が委員会又は当該事項の管轄権を有する合衆国政府の他のいずれかの機関が定める健康及び安全の基準に合致しなかつたため、委員会が容器、貨車、トラックその他の輸送車両又は委員会の荷おろし場及び機械の汚染除去を行なうこととしたときはいつでも、賃借者は、確定した委員会の価格政策に従つて委員会が決定する汚染除去費用の全部について委員会に対し責任を負う。

第十七条 譲渡

賃借者は、委員会の明示の書面による承認を受けないで、賃貸借協定又は同協定の適用を受ける物質の発注書を譲渡することができない。

第十八条 物質の量及び物性の決定、測定の相違の解決、使用料の調整

a 委員会への又は委員会からの直接移転 この項は、賃貸借協定の適用を受ける物質で処理を行なわずに直接委員会へ又は委員会から移転されるものの量及び物性の決定並びにその決定から生ずる測定値の相違の解決(「判定人」の利用を含む。)についての規定及び手続を定める。(この項の規定の適用上、「発送者」及び「受領者」とは、場合により、委員会及び賃借者又はその逆をいう。)

1 委員会が定めた方法により採取した委員会の試料は、正式の試料であり、委員会及び賃借者が他の試料の使用に合意しない限り、委員会、賃借者及び判定人を拘束する。

2 受領者は、前記の物質についてのAEC移管書に掲げる発送者の量及び(又は)物性を受諾しない場合には、その物質の受領の時又はその物質についてのAEC移管書の受領の時のいずれかおそい時から六十日以内に書面又は電信による異議の通告を発送者に対し行なう。異議の通告は、異議を裏付ける測定資料を含むものとする。この異議の通告が前記の六十日以内に与えられなかつた場合には、発送者の測定値が最終的となり、かつ、両当事者を拘束する。受領者は、委員会及び賃借者がその物質の使用又は処分を相互に合意しない限り、その相違が解決されるまではいかなる方法でもその物質を使用し又は処分してはならない。ただし、この項のいかなる規定も、受領者が保管のため又は健康上及び安全上の危険に対する防護のために必要な取扱いをその物質につき行なうことを妨げるものではない。

3 異議が相互の合意により解決されない場合には、次の手続が適用される。

(a) 異議が総量測定(たとえば、総量、総重量及び純重量、総個数その他当該物質の全量に関して行なわれる測定)に関するものである場合には、両当事者が相互に合意する判定人により、相互に合意する場所で、再測定が行なわれる。判定人の測定値は、両当事者にとつて最終的である。判定人の測定値からより離れた原測定値を出した当事者が判定人の経費を負担する。ただし、判定人の測定値が発送者の測定値と受領者の測定値とから等距離にある場合には、両当事者がそれぞれ判定人の経費の半額を負担する。

(b) 異議が試料の分析から得られた測定値に関するものである場合には、正式の試料を、分析のため、相互に合意される判定人に提出する。判定人の測定値は、両当事者にとつて最終的である。

(i) 正式の試料に基づく仕様の許容限度に関する異議の場合には、判定人の測定値が仕様の許容限度内にあるときは、受領者が判定人の経費を負担し、また、判定人の測定値が仕様の許容限度内にないときは、発送者が判定人の経費を負担する。

(ii) 正式の試料による定量的決定に関する異議の場合には、判定人の測定値を使用し、判定人の測定値からより離れた測定値を出した当事者が判定人の経費を支払う。ただし、判定人の測定値が発送者の測定値と受領者の測定値とから等距離にある場合には、両当事者がそれぞれ判定人の経費の半額を負担する。

4 この条にいう測定に関する異議の対象となる物質に関して賃貸借協定に基づいて使用料が課される期問は、次のとおり調整される。

(a) 異議が賃借者に引き渡された物質に関するものであり、かつ、判定人により賃借者に有利に解決される場合には、使用料は、異議の通告の受領の日と解決の日又は、相互に合意するときは、賃借者による物質の使用若しくは処分の日のいずれか早い日との間は課されない。ただし、異議がその物質の仕様に関するものであり、かつ、判定人により賃借者に有利に解決される場合には、使用料は、賃借者がその物質を受領するとき、相互に合意した上でその物質を使用し若しくは処分するとき又は異議の解決の後妥当な期間内にその物質の返還を行なわないときに限り、課される。

(b) 異議が直接委員会に返還される物質に関するものである場合には、使用料は、発送物資の受領の日と賃借者が異議の通告を受領した日との間は課されない。異議が賃借者に有利に解決されない限り、使用料は、異議の通告を賃借者が受領した日と解決の日又は、相互に合意するときは、委員会による物質の使用若しくは処分の日のいずれか早い日との間は課される。

(c) 判定人が利用され、かつ、判定人の測定値が両当事者の測定値から等距離にある場合には、使用料は、異議の通告の受領の日と解決の日又は、相互に合意されるときは、賃借者若しくは委員会によるその物質の使用若しくは処分の日のいずれか早い日との間の半分の期間は課されない。

(d) 異議が相互の合意により解決される場合には、使用料の期間は、相互の合意により定める。

前記の使用料は、量又は他の特徴が問題になつている物質の全体に適用するものとし、測定値の相違により示される量にだけ適用するのではない。  

b 処理のために返還される物質

賃貸借協定の適用を受ける照射済物質で化学的処理及び経理上の決済を規定する契約に基づき直接委員会に返還されるものの量及び物性は、その契約で合意する規定及び手続に従つて決定する。

c 「合衆国の契約者」を通じて提供される物質

賃貸借協定に基づいて発注された物質で、処理及び(若しくは)加工並に製造又は賃借者のための他の役務のため賃借者が雇用し又は手配した合衆国の契約者に提供されるものについては、次の規定が適用される。

(1) 賃借者は、処理され及び(若しくは)加工され並びに製造され又は他の役務が提供された物質に含まれる特殊核物質の量及びその同位元素含有分に関する前記の契約者の決定の証明書を前記の契約者をして委員会に対し提出させる。賃貸借協定の両当事者による別段の合意がない限り、賃借者の合衆国の契約者により処理され及び(若しくは)加工され並びに製造され又は他の役務が提供された濃縮ウランの同位元素ウラン二三五の百分率は、委員会が前記の契約者に提供したウランの同位元素ウラン二三五の濃縮度と同一とみなされ、これに従つて契約者の証明書を作成する。処理され及び(若しくは)加工され並びに製造され又は他の役務が提供された物質に含まれる特殊核物質の量は、合衆国の契約者が決定するもので、賃借者が受諾し、かつ、委員会により適当と認められる審査又は分析の後委員会が受諾し又は修正した量として前記の証明書に記載されるものとする。

(2) 委員会と前記の契約者との間において前記の物質の量及び物性の決定並びにその決定から生ずる測定値の相違の解決を規律する規定及び手続は、委員会と前記の契約者との間の取極により定める。

第十九条 特許侵害の免責

 委員会が書面により責任を免れる権利を明示的に放棄しない限り、賃借者は、賃借者のために行なわれたいずれかの役務、分析又は試験の実施中にそれについての賃借者の特別の指示に従つた結果生ずる公開の特許の侵害について、アメリカ合衆国政府、委員会及び委員会のために又は委員会を代表して行動する者に対し、その責任(それに伴う費用及び経費を含む。)を免れさせることに同意する。

第二十条 情報の利用及び公開の権利

 委員会は、賃貸借協定に基づいて賃借者のために行なわれた役務、分析又は試験の結果委員会又は委員会のために若しくは委員会を代表して行動する者が開発した情報又は資料を公開し及び利用する権利を有する。

第二十一条 他の契約及び協定

 賃貸借協定によれば、賃貸借協定の適用を受ける照射済物質の処理役務に関する賃借者と委員会との間の別個の契約及び(又は)賃貸借協定の適用を受ける物質を委員会の利益のために委員会に提供するための賃借者と委員会との間の協定(この協定は、使用料支払義務の停止又は終了について、賃貸借協定に基づくその他の義務の停止、終了又は変更について、及び(又は)賃借者が返還する物質の量の測定値について規定することができる。)を締結する可能性が認められる。前記の停止、終了若しくは変更の場合又は賃貸借協定に基づいて賃借者のために債権が認められる返還物質の額の決定に際しての測定資料の使用の場合を除き、賃貸借協定の適用を受ける物質について賃貸借協定に基づいて賃借者が負う義務は、前記の別個の契約の存在にかかわらず、継続するものとする。

第二十二条 受益を禁止される者

 アメリカ合衆国議会の議員又は同国の属領代表は、同国の法律に従い、賃貸借協定のいかなる部分にも、また、それから生ずるいかなる利益にも関与し又は参加することができないものと了解される。

第二十三条 通告

a 賃貸借協定に基づく賃借者の通告は、書面により次のあて名で委員会に提出する。

 コロンビア区ワシントン二〇五四五 合衆国原子力委員会国際部長

b 賃貸借協定に基づく委員会の通告は、書面により次のあて名で賃借者に提出する。

 コロンビア区ワシントン二〇〇〇八

北西マサチューセッツ通り二五二〇

日本国大使館参事官

第二十四条 追加条項

 賃貸借協定第二条a2の規定にかかわらず、賃貸借協定は、千九百五十六年十一月二十三日及び千九百五十七年五月八日に署名され、それぞれJA/L/1及びJA/L/2として引用されている両当事者の協定に基づく物質の賃貸借には適用されず、また、その賃貸借に影響を与えるものではない。

 以上の証拠として、この協定の両当事者は、この協定に署名した。

 千九百六十四年十月三十日にワシントンで、日本語及び英語により本書二通を作成した。

 日本国政府のために
鶴見清彦

 アメリカ合衆国政府を代表して行動する
合衆国原子力委員会のために
ディクソン・B・ホイル



(協定の実施に関する交換公文)


 書簡をもつて啓上いたします。本官は、本日署名された日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の特殊核物質賃貸借協定に言及し、同協定を締結するための交渉において到達した次の了解を述べたいと思います。

1 賃貸借協定第五条b2、第六条g1並びに第十五条a及びb(2)の規定に関し、賃貸借協定の適用を受ける特殊核物質で、日本国における許可された使用者に配分されたか又は配分されるものについては、その許可された使用者がその物質の運送者を雇用し、かつ、その運送者の費用並びに取出し、荷造り及び賃借者の発注書に従つて提供されるその他の特別の役務についての委員会の役務料を支払うものと了解される。さらに、日本国政府は、その物質の引渡し及び返還に関連する運送の手配が適当に行なわれること並びに運送の費用並びに取出し、荷造り及び賃借者の発注書に従つて提供されるその他の特別の役務についての委員会の役務料が支払われることを確保する責任を賃貸借協定に基づき合衆国原子力委員会に対し常に負うものと了解される。

2 賃借者が賃貸借協定第六条d(ii)に定める選択を行なうことができるときは、両当事者は、賃借者が要請する場合には、賃借者による当該特殊核物質の購入を考慮する。賃貸借協定第三条及び第六条a1の規定は、第六条d(ii)の規定の適用をうけることがある特殊核物質の賃借者による購入の可能性を両当事者が考慮することを特に定めた規定であることが確認される。さらに、千九百五十八年六月十六日に署名された原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(改正を含む。)は、委員会が、前記の協力協定に基づき、日本国において建設される原子炉のため、濃縮ウランを合意するところに従つて売却し又は賃貸することを定めているので、原子炉における使用のために濃縮ウランを売却する委員会の現在の政策が変更されないとすれば、賃貸借協定に基づき賃借者に移転された特殊核物質を協力協定に従つて将来売却する了解に達することに困難は予見されない。

3 賃貸借協定第十三条bの規定に関し、千九百五十四年の合衆国原子力法(改正を含む。)第十一条r及び第百七十条dに修正が行なわれる場合には、賃借者及び委員会は、その修正の結果賃貸借協定の前記の条項の適用から生ずることがある問題につき相互に協議することが了解される。

4 賃貸借協定第十九条の規定に関し、特殊核物質が研究用及び物質試験用原子炉以外の原子炉における使用のため将来賃貸借協定に従つて賃貸される場合には、両当事者は、その物質の使用から生ずることがある公開の特許の侵害の責任について使用者がアメリカ合衆国政府に対し明示の免責を与えることが望ましいかどうかについて考慮することが了解される。

5 賃貸借協定第二十二条の規定に関し、同条は、賃借者がその同意なしでアメリカ合衆国政府の裁判所の管轄に服することを意味する目的のものではないと了解される。ただし、前記の了解は、外国政府に係る訴訟に関し合衆国において行なわれている一般的規則をなんら変更する目的のものではない。

 貴下が前記の了解を確認されれば幸いであります。

 千九百六十四年十月三十日

 日本国大使館参事官 鶴見清彦

 コロンビア区ワシントン二〇五四五
原子力委員会国際部長
マイロン・B・クラッツァー殿



 書簡をもつて啓上いたします。本官は、本日署名されたアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会と日本国政府との間の特殊核物質賃貸借協定に関する本日付けの貴下の書簡に言及いたします。その書簡において、貴下は、ある事項に関する貴下の了解を次のとおり述べられました。

1 日本側書簡1と同文

2 日本側書簡2と同文

3 日本側書簡3と同文

4 日本側書簡4と同文

5 日本側書簡5と同文

 本官は、前記の事項に関するわれわれの了解を確認いたします。

 千九百六十四年十月三十日

 国際部長マイロン・B・クラッツァーに代わつてディクソン・B・ホイル


コロンビア区ワシントン二〇〇〇八
北西マサチューセッツ通り二五二〇
日本国大使館参事官 鶴見清彦殿



(協定の解釈上の適用法規に関する交換公文)


 書簡をもつて啓上いたします。本官は、本日署名されたアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会と日本国政府との間の特殊核物質賃貸借協定に言及し、同協定に関するある事項についての次の了解を述べたいと思います。

 賃貸借協定は、アメリカ合衆国政府が当事者であるアメリカ合衆国における契約に対しアメリカ合衆国連邦裁判所において適用される法律に従つて解釈されるものとする。

 前記の規定は、日本国政府がその同意なしでアメリカ合衆国政府の裁判所の管轄に服することを意味する目的のものではないと了解される。ただし、この了解は、外国政府に係る訴訟に関し合衆国において行なわれている一般的規則をなんら変更する目的のものではない。

 貴下が前記の了解を確認されれば幸いであります。

 千九百六十四年十月三十日

 国際部長マイロン・B・クラッツァーに代わつて
ディクソン・B・ホイル

 コロンビア区ワシントン二〇〇〇八
北西マサチューセッツ通り二五二〇
日本国大使館参事官 鶴見清彦殿




 書簡をもつて啓上いたします。本官は、本日署名された日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の特殊核物質賃貸借協定に関する本日付けの貴下の書簡に言及いたいます<「いたします」だと思われます>。その書簡において、貴下は、同協定に関するある事項についての次の了解を述べられました。

 賃貸借協定は、アメリカ合衆国政府が当事者であるアメリカ合衆国における契約に対しアメリカ合衆国連邦裁判所において適用される法律に従つて、解釈されるものとする。

 前記の規定は、日本国政府がその同意なしでアメリカ合衆国政府の裁判所の管轄に服することを意味する目的のものではないと了解される。ただし、この了解は、外国政府に係る訴訟に関し合衆国において行なわれている一般的規則をなんら変更する目的のものではない。

 本官は、前記の事項に関するわれわれの了解を確認いたします。

 千九百六十四年十月三十日

 日本国大使館参事官 鶴見清彦

 コロンビア区ワシントン二〇五四五
原子力委員会国際部長
マイロン・B・クラッツァー殿



(協定第十条fの解釈に関する交換公文)


 本官は、日本国政府に代わつて、本日署名された日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の特殊核物質賃貸借協定第十条fに言及する光栄を有し、同条は、物質の経理のための書類審査を行なうため同条にいう記録その他の文書を日本国政府が委員会に提出すること以外のことを定めるものではないとの了解を申し述べたいと思います。

 ただし、前記の了解は、日本国政府が、査察を行ないたい旨の合衆国政府の要請を受諾しないことを必ずしも意味するものではなく、日本国政府は、それぞれの場合に応じてその要請を考慮する用意があります。

貴下がこの書簡の第一項に述べられた了解を確認されれば幸いであります。

 千九百六十四年十月三十日

 日本国大使館参事官 鶴見清彦

 コロンビア区ワシントン二〇五四五
原子力委員会国際部長
マイロン・B・クラッツァー殿




 本官は、合衆国委員会を代表して、本日署名されたアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会と日本国政府との間の特殊核物質賃貸借協定第十条fに関する本日付けの貴下の書簡に言及する光栄を有します。本官は、さらに、同条が物質の経理のための書類審査を行なうため同条にいう記録その他の文書を日本国政府が委員会に提出すること以外のことを定めるものではないとの同書簡に述べられた了解を確認する光栄を有します。

 千九百六十四年十月三十日

 国際部長マイロン・B・クラッツァーに代わつて
ディクソン・B・ホイル


コロンビア区ワシントン二〇〇〇八
北西マサチューセッツ通リ二五二〇
日本国大使館参事官 鶴見清彦殿