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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の研究目的のための特殊核物質の売買に関する協定

[場所] 
[年月日] 1965年8月30日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の研究目的のための特殊核物質の売買に関する協定

 この協定は、千九百六十五年八月三十日に、日本国政府(以下「買主」という。)とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会(以下「売主」という。)との間で締結される。

 この協定の両当事者は、協力協定(後記の定義による。)に基づく研究目的のための特殊核物質の買主に対する売却による配給に適用される条件を確定することを希望するので、

 この協定は、売主の側においては、千九百五十四年の合衆国原子力法(改正を含む。)に基づき授権され、かつ、締結されるので、

 よつて、この協定の両当事者は、相互に次のとおり協定する。

A この協定の附属書に定める規定は、協力協定の一般的権限の範囲内で売主と買主との間で随時締結される一定の研究目的のための特殊核物質の売買に関する両当事者の補足契約について、以下に定めるところに従つて適用される。

B この協定の有効期間中に締結される前記の物質に関する補足契約は、この協定がその補足契約について適用されることに言及し、かつ、その言及によりこの協定を同契約の一部とするものとする。その補足契約は、同物質、その用途、料金、合衆国の輸出港並に引渡し及び船積みに関して適用される指示を掲げる規定、並びに、その契約において明示的に修正される場合を除くほか、この協定の規定からなるものとする。

C 両当事者の意図は、この協定を補足する契約により特殊核物質の売買について規定することであるので、この協定のいかなる規定も、両当事者に対して特殊核物質を売却し又は購入する義務を負わせるものとみなしてはならない。

D いずれの一方の当事者も、他方の当事者に対する書面による六十日の予告により、この協定を終了させることができる。この協定は、この規定により前もつて終了する場合を除くほか、千九百六十七年六月三十日に終了する。

E 売主が国内の購入者に対し売却により特殊核物質の配給を開始する時には、両当事者は、いずれか一方の当事者の要請により、この協定について相互に受諾しうる修正であつて特殊核物質の国内販売に適用される売主の政策に合致するものを行なうために、相互に協議する。

F この協定の削除、修正若しくは追加又はその終了は、それまでに両当事者間に締結された契約で、引用によりこの協定をその一部としているものに影響を及ぼすものではない。

G この協定は、千九百五十八年六月十六日にワシントンで署名された原子力の非軍事的利用に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協力に関する協定(改正を含む。この協定において「協力協定」という。)に基づき締結される。

H この協定の附属書及び売買契約書式例(1/20/64)は、この協定の不可分の一部と認められる。

 以上の証拠として、この協定の両当事者は、この協定に署名した。

 千九百六十五年八月三十日にワシントンで、日本語及び英語により本書二通を作成した。

 日本国政府のために

 鶴見清彦

 アメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会のために

  ジヨン・A・ホール



附属書

I 定義

A 「基本料」とは、この協定に基づく個個の取引が行なわれる時に有効な標準形状及び仕様の特殊核物質の単位当たりのドルの額で、売主が随時合衆国連邦官報に公表する価格表に定めるものをいう。

B 「売主の確定仕様」とは、特殊核物質の純度その他の物理的又は化学的特性についての仕様で、売主が随時合衆国連邦官報に公表するものをいう。

C 「売主の確定した価格政策」とは、この協定に基づく個個の取引が行なわれる時に適用されている価格又は料金で、(i)売主が合衆国連邦官報に公表するもの又は、(ii)公表された数字がない場合には、売主の価格政策に従つて決定されるものをいう。その写しは、買主の要請により提供される。委員会の公表された価格及び料金は、随時改正することができる。

D 「価格」とは、当該特殊核物質が標準形状及び仕様のものであるかどうかを問わず、売主の適用される基本料にその物質の単位数及びその端数を乗ずることにより決定されるドルの額をいう。

II 物質の仕様及び形状

別段の合意がない限り、この協定に基づき売却される特殊核物質は、その物質の配給のための売主の化学的標準形状で、かつ、合衆国連邦官報に随時公表される売主の碓定仕様に従い、売主によつて提供される。

III 引渡し

A 売主は、買主の要求により、買主が手配する運送者を通じて直接買主に対し、又は処理、加工若しくは買主のためのその他の役務のために買主が雇用し若しくは手配するアメリカ合衆国の契約者に対し、この協定に基づく補足契約の実施に必要な量の特殊核物質を提供する。

B 買主に直接提供される物質に関し、売主は、買主が手配する運送者に対し、要求される条件、料金及び許可要件に従い、売主の施設においてf・o・b・の商業的運送条件によりその物質を引き渡す。買主が手配する運送者に対する容器に入れた物質の引渡しは、買主に対するその物質及び容器の引渡しとみなされる。買主又はその授権された代理人は、その引渡しの時に、そのための適当な受領書に署名し、その物質につき完全な責任を負う。運送者は、売主が買主と協議の後指定するアメリカ合衆国の輸出港にその物質を運送する。売主は、その後直ちに、その物質の買主に対する輸出を許可するために必要な措置を執る。

C 処理、加工又は買主のためのその他の役務のために買主の合衆国の契約者に対して提供される物質に関し、売主は、その物質を売主の施設において提供する。ただし、その物質が契約者自身の在庫から取り出される場合はこの限りでない。買主は、契約者による役務提供の完了後直ちに、その特殊核物質の同位元素含有分及び量についての契約者の決定の証明書を契約者から売主に提出させる。買主は、売主による前記の証明書の受領後、前記の合衆国の契約者を通じて、売主が買主と協議の後指定する合衆国の輸出港へのその物質の運送及び引渡しについて手配する。その物質の運送は、別段の合意がない限り、買主の売主に対する書面による三十日の予告の後行なわれ、かつ、売主が要求する条件及び許可要件に従う。売主は、その物質の輸出港への到着後直ちに、その物質を買主に引き渡すため及びその輸出を許可するために必要な措置を執る。アメリカ合衆国内及び同国外の運送及び引渡しのすべての費用(容器及び荷造りの費用を含む。)、その物質のすべての保管費並びに当該引渡しに関連するその物質の物理的取扱いに関するすべての手配は、買主の責任であり、売主の責任ではない。買主又はその正当に授権された代理人は、指定輸出港においてその物質の引渡しを受諾し、かつ、そのための適当な受領書に署名する。買主は、その後直ちに、その物質に含まれる特殊核物質について完全な責任を負う。

D この協定に基づいて売却される特殊核物質に対する権原は、特殊核物質がアメリカ合衆国の管轄を離れる時に、買主に帰属する。

IV 責任

A 特殊核物質がIIIBに定めるところにより買主の運送者に引き渡された後は、買主は、その物質の指定港への運送から生じ又は運送の結果として生ずる原因のいかんを問わないすべての責任(第三者に対する責任を含む。)について売主に対し損害を与えないようにし、かつ、その運送中のその物質の喪失又は損傷について及びその物質に関して売主が要求する料金(売主の確定した価格政策に従つて決定される。)について売主に対して責任を負うものとする。ただし、日本国政府の責任は、協力協定の規定に従うものとする。この項のいかなる規定も、買主その他の者が千九百五十四年の合衆国原子力法(改正を含む。)の第百七十条に基づき有する権利を奪うものではない。

B この協定に基づく補足契約に従つて売主が買主に引き渡す物質の応用又は使用は、買主の責任においてなされるものとし、売主は、その物質に関し又はそれが特定の使用若しくは応用に適合することに関し、明示、黙示又は法律上のいかなる保証も与えない。

V 引渡しの時

 売主は、この協定に基づく売買の対象である特殊核物質を売買契約書に記載された時に引き渡すよう合理的な努力を払うが、売主及び売主を代表して行動する者は、その時に引渡しが行なわれなかつたことについて、責任を負わない。

VI 支払

 買主は、売主の明細勘定書(この明細勘定書は、この協定に基づき売却される特殊核物質のIIIに定める引渡しの買主による受諾の時又はその後に発送される。)の日付の日の後六十日以内に、その物質の引渡しがこの協定に基づき受諾される時における価額を売主に支払う。支払は、合衆国通貨で、売主はその指定する代理人若しくは契約者に対して行なう。売主は、明細勘定書の日付の日の後六十日以内に支払を受けなかつたときは、その支払額について、年六パーセントの率で追加の料金を請求することができる。

VII 物質の量及び物性の決定

A この協定に基づき売主が買主に売却する特殊核物質で、処理、加工又は買主のためのその他の役務のために買主が雇用し又は手配する契約者に対しIIICに従い提供されるものの物性は、売主がその契約者に提供するその特殊核物質の物性て、特殊核物質賃貸借協定又はその物質に関する売主と契約者との間のその他の供給取極に従い決定されるものと同一のものとみなされる。

B (1) この協定に基づき売主が買主に売却する特殊核物質で、もつぱら分析又は測定のために買主が雇用し又は手配する契約者に対しIIICに従い提供されるものの量は、両当事者が別段の合意をしない限り、売主がその契約者に提供する特殊核物質の量で、特殊核物質賃貸借協定又はその物質に関する売主とその契約者との間のその他の供給取極に従い決定されるものと同一のものとみなされる。

(2) この協定に基づき売主が買主に売却する特殊核物質で、処理、加工又は買主のためのその他の役務(分析及び測定を除く。)のために買主が雇用し又は手配する契約者に対しIIICに従い提供されるものの量は、契約者がIIICに従い売主に証明する特殊核物質の量で、その後売主が適当と考える検査又は分析の後売主が受諾し又は修正する量と同一のものとみ

C この協定に基づき売却される特殊核物質がIIIBに従い輸出港への直接運送のために買主が手配する運送者に対し売主の施設において引き渡される場合には、その特殊核物質の量及び物性は、売主が決定したものとする。その特殊核物質が売主の確定仕様に合致しないときは、合致しないことについての売主及び売主のために行動する者の責任及び補償義務は、適用される仕様に合致する特殊核物質を、売主が指定するアメリカ合衆国の施設において、その仕様に合致しない物質と引き替えに引き渡すことによつてその相違を修正することのみに限定される。売主は、その仕様に合致しない物質を返還するためのこん包及び運送の合理的な経費並びにその仕様に合致する代替物質を運送するための運送料を買主に支払う。

D VIIの前諸項に従い決定される量及び物性は、この協定の適用上最終的であり、かつ、拘束力を有するものとする。

E 売主の確定仕様に合致する特殊核物質を買主が雇用し又は手配する契約者に対しIIICに従い提供しなかつたことについての売主及び売主のために行動する者の責任及び補償義務は、特殊核物質賃貸借協定又は売主とその契約者との間のその他の供給取極に基づく売主の契約者に対する補償義務及び責任に限定される。

VIII 譲渡禁止

 買主は、売主の明示の書面による同意があり、かつ、協力協定の規定及びこれを修正し又は改正する規定に基づく場合を除くほか、この協定又はこの協定に基づく権利又は利益を譲渡することができない。

IX 受益を禁止される者

 アメリカ合衆国議会の議員又は同国の属領代表は、同国の法律に従い、この協定のいかなる部分にも又はそれから生ずるいかなる利益にも関与し又は参加することができないものと了解される。

X 協力協定

 この協定の対象である売買は、すべての点において協力協定の条件及び規定並びにこれを修正し又は改正する規定に従うものとし、かつ、協力協定第九条及び第十条に定める保障措置及び保証は、この協定に基づき移転される物質に常に適用されることが了解される。ただし、買主が、売主の同意を得て、アメリカ合衆国が協力協定(同協定が次の移転に適用される。)を締結している国又は一群の国に対しその後に移転した物質についてはこの限りでなく、また、協力協定に定める保障措置が千九百六十三年九月二十三日にウイーンで署名された原子力の非軍事的利用に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の二国間協定に対する国際原子力機関による保障措置の適用に関する国際原子力機関、日本国政府及びアメリカ合衆国政府の間の協定の有効期間中停止される限度においてはこの限りでない。この協定と協力協定との間に不一致が生じたときは、協力協定が定めるところによる。



合衆国原子力委員会と日本国政府との間の特殊核物質の売買契約

 日本国政府(以下「買主」という。)は、アメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会(以下「売主」という。)から、千九百五十八年六月十六日にワシントンで署名された原子力の非軍事的利用に関するアメリカ合衆国政府と日本国政府との間の協力に関する協定(改正を含む。)の条件に従い、かつ、千九百六十五年八月三十日に署名されたアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会と日本国政府との間の研究目的のための特殊核物質の売買に関する協定(同協定の規定は、その全文をこの契約中に含めたときと同様に、ここにこの契約の一部とされる。)に従い、次に記載する物質を購入することに同意し、売主は買主に対し同物質を売却することに同意する。この契約書に基づいて売却される物質は、使用する。

物質   料金

受領者   支払者

引渡し日   運送に関する指示

 アメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会のために

  年  月  日

 日本国政府のために

  年  月  日



(第一附属交換公文)


(日本側書簡)

 書簡をもつて啓上いたします。本官は、本日署名された日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の研究目的のための特殊核物質の売買に関する協定に言及し、同協定を締結するための交渉において到達した次の了解を述べたいと思います。

1 同協定附属書のIIIA及びCの規定に関し、同協定に基づき売却される特殊核物質で、日本国における許可された使用者に配分されるものについては、日本国政府は、その許可された使用者にその物質の運送者を雇用させ、かつ、その運送者に支払うべき費用並びにその物質の容器、取出し、荷造り、取扱い及び保管の費用を支払わせることができるものと了解される。さらに、日本国政府は、同協定に基づくその物質の引渡しに関連する運送の手配が適当に行なわれること並びにその費用並びにその物質の容器、取出し、荷造り、取扱い及び保管の費用が支払われることを碓保する責任を同協定に基づき合衆国原子力委員会に対し常に負うものと了解される。

2 同協定附書IVAの規定に関し、千九百五十四年の合衆国原子力法(改正を含む。)第十一条r及び第百七十条dに修正が行なわれる場合には、売主及び買主は、その修正の結果同協定附属書IVAの規定の適用から生ずることがある問題につき相互に協議することが了解される。

3 同協定附属書IXの規定に関し、同条は、買主がその同意なしでアメリカ合衆国政府の裁判所の管轄に服することを意味する目的のものではないと了解される。ただし、前記の了解は、外国政府に係る訴訟に関し合衆国において行なわれている一般的規則をなんら変更する目的のものではない。

 貴下が前記の了解を確認されれば幸いであります。

 千九百六十五年八月三十日

 公使 鶴見清彦

コロンビア区ワシントン二〇五四五

   原子力委員会国際部長

   マイロン・B・クラッツアー殿



(米国側書簡)

 書簡をもつて啓上いたします。本官は、本日署名されたアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会と日本国政府との間の研究目的のための特殊核物質の売買に関する協定に関連する本日付けの貴下の書簡に言及いたします。その書簡において、貴下は、同協定に関する特定の事項についての貴下の了解を次のとおり述べられました。

1 日本側書簡1と同文

2 日本側書簡2と同文

3 日本側書簡3と同文

 本官は、前記の事項に関する了解を確認いたします。

 千九百六十五年八月三十日

 国際部長 マイロン・B・クラッツァー

 コロンビア区ワシントン二〇〇〇八

   北西マサチューセッツ通り二五二〇

   日本国大使館公使 鶴見清彦殿



(第二附属交換公文)

(米国側書簡)

 書簡をもつて啓上いたします。本官は、本日署名されたアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会と日本国政府との間の研究目的のための特殊核物質の売買に関する協定に言及し、同協定に関するある事項についての次の了解を述べたいと思います。

 同協定は、アメリカ合衆国政府が当事者であるアメリカ合衆国における契約に対しアメリカ合衆国連邦裁判所において適用される法律に従つて解釈されるものとする。

 前記の規定は、日本国政府がその同意なしでアメリカ合衆国政府の裁判所の管轄に服することを意味する目的のものではないと了解される。ただし、この了解は、外国政府に係る訴訟に関し合衆国において行なわれている一般的規則をなんら変更することを目的とするものではない。

 貴下が前記の了解を確認されれば幸いであります。

 千九百六十五年八月三十日

 国際部長 マイロン・B・クラッツァー

 コロンビア区ワシントン二〇〇〇八

北西マサチューセッツ通り二五二〇

日本国大使館公使 鶴見清彦殿


(日本側書簡)

 書簡をもつて啓上いたします。本官は、本日署名された日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の研究目的のための特殊核物質の売買に関する協定に関する本日付けの貴下の書簡に言及いたします。その書簡において、貴下は、同協定に関する特定の事項についての次の了解を述べられました。

 同協定は、アメリカ合衆国政府が当事者であるアメリカ合衆国における契約に対しアメリカ合衆国連邦裁判所において適用される法律に従つて解釈されるものとする。

 前記の規定は、日本国政府がその同意なしでアメリカ合衆国政府の裁判所の管轄に服することを意味する目的のものではないと了解される。ただし、この了解は、外国政府に係る訴訟に関し合衆国において行なわれている一般的規則をなんら変更することを目的とするものではない。

 本官は、前記の事項に関する了解を確認いたします。

 千九百六十五年八月三十日

 鶴見清彦

 コロンビア区ワシントン二〇五四五

 原子力委員会国際部長

 マイロン・B・クラッツァー殿