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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定

[場所] 
[年月日] 1968年2月26日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(その1)(附表)

 日本国政府及びアメリカ合衆国政府は、千九百五十八年六月十六日に原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定に署名し、同協定は、千九百五十八年十月九日に署名された議定書及び千九百六十三年八月七日に署名された議定書によつて改正されたので、

 両当事国政府は、動力用及び研究用の原子炉の設計、建設及び運転並びに原子力の他の平和的利用の開発に関する情報の交換を含む原子力の平和的及び人道的利用の実現をめざす研究及び開発の計画を遂行することを希望するので、

 両当事国政府は、前記の目的を達成するために相互に協力するため、この協定を締結することを希望するので、また、

 両当事国政府は、この協定をもつて、千九百五十八年六月十六日に署名された原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(その改正を含む。)に替えることを希望するので、

 両当事国政府は、次のとおり協定する。


第一条

 この協定の適用上、

A 「合衆国委員会」とは、合衆国原子力委員会をいう。

B 「両当事国政府」とは、日本国政府及びアメリカ合衆国政府をいい、アメリカ合衆国政府を代表する合衆国委員会を含む。「当事国政府」とは、両当事国政府のいずれか一方をいう。

C 「原子兵器」とは、原子力を利用する装置で、その主たる目的が兵器、兵器の原型若しくは兵器の試験装置としての使用又はそれらの開発にあるものをいう。ただし、その装置の輪送又は推進のための手段は、それが当該装置の分離及び分割の可能な部分である場合には、含まれない。

D 「副産物質」とは、特殊核物質の生産若しくは利用の過程において生産され、又はそれらの過程に附随する放射線の照射により放射性を帯びた放射性物質(特殊核物質を除く。)をいう。

E 「設備及び装置」及び「設備又は装置」とは、器具、機械又は施設をいい、特殊核物質を使用し、又は生産することができる施設(原子兵器を除く。)及びその構成部分を含む。

F 「国際機関」には、共通の目的のために連携している国家の集団を含む。

G 「者」とは、個人、社団、組合、会社、協会、信託、財団、公私の組織、団体、政府機関又は公社をいい、この協定の両当事国政府を含まない。

H 「原子炉」とは、ウラン、プルトニウム若しくはトリウム又はウラン、プルトニウム若しくはトリウムの組合せを利用することにより自続的核分裂連鎖反応がその中で維持される機械(原子兵器を除く。)をいう。

I 「秘密資料」とは、(1)原子兵器の設計、製造若しくは使用、(2)特殊核物質の生産又は(3)エネルギ-の生産における特殊核物質の使用に関するすべての資料をいい、権限のある当局により非公開の指定から解除され、又は秘密資料の範囲から除外された資料を含まない。

J 「原料物質」とは、(1)ウラン、トリウム若しくは日本国政府若しくは合衆国委員会が原料物質であると決定するその他の物質又は(2)日本国政府若しくは合衆国委員会が随時決定する含有率においてこれらの物質の一若しくは二以上を含有する鉱石をいう。

K 「特殊核物質」とは、(1)プルトニウム、同位元素二三三若しくは同位元素二三五の濃縮ウラン及び日本国政府若しくは合衆国委員会が特殊核物質であると決定するその他の物質又は(2)これらの物質のいずれかにより人工的に濃縮した物質をいう。

L 「旧協定」とは、千九百五十八年六月十六日に署名され、千九百五十八年十月九日に署名された議定書及び千九百六十三年八月七日に署名された議定書によつて改正された原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定をいう。

M 「保障措置」とは、原子力の平和的利用のための資材、設備及び装置がいかなる軍事目的を助長するためにも使用されないことを確保するための管理の制度をいう。


第二条

A この協定の規定、要員及び資材の入手可能性並びにそれぞれの国において有効な関係法令及び許可要件に従うことを条件として、両当事国政府は、平和的目的のための原子力の利用の達成について相互に援助するものとする。

B 秘密資料は、この協定に基づいては通報されないものとし、また、資材若しくは設備及び装置の移転又は役務の供与は、それが秘密資料の通報を伴う場合には、この協定に基づいては行なわれないものとする。

C この協定は、両当事国政府が通報することを許されていない情報の交換を要求するものではない。


第三条

 第二条の規定に従うことを条件として、両当事国政府は、原子力の平和的用途への応用並びにこれに関連する保健上及び安全上の問題について、公開の情報を交換するものとする。この条に規定する情報の交換は、報告、会議及び施設の訪問を含む各種の方法により行なわれるものとし、次の分野の情報に関するものを含む。

(1) 研究用、材料試験用、実験用、試験動力用又は動力用の原子炉及び原子炉実験に係る開発、設計、建設、運転及び利用

(2) 物理学上及び生物学上の研究並びに医学、農業及び工業における放射性同位元素、原料物質、特殊核物質及び副産物質の利用

(3) 前記に関連する保健上及び安全上の問題


第四条

A 第三条に定められ、かつ、第二条の規定に従う合意された情報の交換の対象に関連する重要な資材(原料物質、重水、副産物質、他の放射性同位元素、安定同位元素並びに原子炉及び原子炉実験の燃料供給以外の目的のための特殊核物質を含む。)は、商業的に入手することができないときは、合意される量だけ、かつ、合意される条件により、一定の応用のために両当事国政府の間で移転される。

B 両当事国政府の特殊な研究用施設及び原子炉材料試験施設は、そのような施設を商業的に利用することができないときは、第二条の規定に従うことを条件として、かつ、合意される条件により、相互の利用のために提供されるものとする。ただし、その利用は、提供国政府が支障なく提供することができる場所、施設及び要員の範囲内で行なうものとする。

C 第三条に定められ、かつ、第二条の規定に従う合意された情報の交換の対象に関連し、設備及び装置は、合意される条件により、両当事国政府の間で移転される。そのような移転は、その時における供給の不足その他の事情から生ずる制限を受けることが了解される。


第五条

この協定又は旧協定に基づいて両当事国政府の間で交換され又は移転された情報(設計図及び仕様書を含む。)並びに資材、設備及び装置の使用又は応用は、これらを受領する当事国政府の責任においてされるものとし、他方の当事国政府は、その情報が正確であること又は完全であることを保証せず、また、その情報、資材、設備及び装置がいずれか特定の使用又は応用に適合することは保証しない。


第六条

A 原子力の平和的用途への応用に関し、資材(特殊核物質を除く。)、設備及び装置の移転並びにこれらに関連する役務の遂行のため、いずれか一方の当事国政府又はその管轄の下にある認められた者と他方の当事国政府の管轄の下にある認められた者との間で取極を行なうことができることが了解される。

B 原子力の平和的用途への応用に関し、第四条及び第七条に規定する使用のため、かつ、第八条中の関連する規定及び第九条の規定に従うことを条件として、特殊核物質の移転及びこれに関連する役務の遂行について、いずれか一方の当事国政府又はその管轄の下にある認められた者と他方の当事国政府の管轄の下にある認められた者との間で取極を行なうことができることが了解される。

C 両当事国政府は、この条のA及びBにいう活動が、第二条の規定及び両当事国政府が採用することのある契約上の政策で民間取引に一般的に適用されるものに従うことを合意する。


第七条

A この協定の期間中、合衆国委員会は、日本国政府又は、第六条Bの規定に基づき、その管轄の下にある認められた者に対し、合意される条件により、この協定の附表に掲げる動力用原子炉(商業船舶用の推進機関を含む。)の計画において燃料として使用するための同位元素U-二三五の濃縮ウランの日本国のすべての必要量を供給する。附表は、第九条に定める量の制限に従うことを条件として、両当事国政府の同意により、この協定を改正することなく、随時修正することができる。

(1) 合衆国委員会は、日本国政府又は前記の認められた者のために、千九百六十八年十二月三十一日後に同位元素U-二三五の濃縮ウランの生産及び(又は)濃縮を行ない又は行なわせることにより、必要とされる同位元素U-二三五の濃縮ウランを供給する。(合衆国委員会は、日本国政府又は前記の認められた者がこのような役務取極に基づく同位元素U-二三五の濃縮ウランの特定の引渡しのために必要とされる天然ウランを合理的に入手することができない旨の通知を適時に行なうときは、合意される条件により、必要とされる天然ウランを供給する用意がある。)

(2) A(1)の規定にかかわらず、日本国政府又は前記の認められた者が要請するときは、合衆国委員会は、自己の選択に基づき、合意される条件により、同位元素U-二三五の濃縮ウランを売却することがある。

B 合衆国委員会は、日本国政府又はその管轄の下にある認められた者に対し、合意されるところに従い、特定の研究のための応用(研究用、材料試験用又は実験用の原子炉及び原子炉実験に係るものを含む。)において燃料として使用するための同位元素U-二三五の濃縮ウランを移転する。個個の移転の条件は、事前に合意されるものとし、また、同位元素U-二三五の濃縮ウランの権原が移転される場合には、合衆国委員会は、取極をこの条のA(1)に規定する約束に限定する権利を有することが了解される。

C 合衆国委員会は、また、日本国政府又はその管轄の下にある認められた者に対し、日本国における転換役務及び(又は)加工役務の遂行並びにその後のアメリカ合衆国への返還又は第十条A(3)の規定に従う第三国若しくは国際機関への移転のため、特殊核物質を、個個の移転について合意される条件により、移転することができる。同位元素U-二三五の濃縮ウランの権原が合衆国委員会から移転される場合には、同委員会は、取極をこの条のA(1)に規定する約束に限定する権利を有することが了解される。

D 合衆国委員会は、日本国政府又はその管轄の下にある認められた者に対し、合意されるところに従い、原子炉及び原子炉実験において燃料として使用するためのプルトニウムを移転する。個個の移転の条件は、事前に合意されるものとする。


第八条

A 第六条B及び第七条に規定する合衆国委員会による同位元素U-二三五の濃縮ウランの移転に関し、次のことが了解される。

(1) 量、濃縮度、引渡計画その他の供給又は役務の条件を定める契約は、合衆国委員会と日本国政府又はその認める者との間で時宜に応じて締結される。

(2) 売却される同位元素U-二三五の濃縮ウランの価格又は遂行される濃縮役務の料金は、引渡しの時にアメリカ合衆国内の使用者について適用される価格又は料金とする。引渡しに必要とされる予告期間は、予告の時にアメリカ合衆国内の使用者について適用される期間とする。合衆国委員会は、より短い期間の予告に基づいて同位元素U-二三五の濃縮ウランを供給し又は濃縮役務を遂行することに同意することができる。ただし、そのようなより短い期間の予告のため合衆国委員会が負担した例外的な生産費を補うために合衆国委員会が妥当と考える付加金が通常の基本価格又は基本料金に加えて賦課されることを条件とする。

B この協定又は他の協力協定に基づいて合衆国委員会が供給することに同意した同位元素U-二三五の濃縮ウランの総量が合衆国委員会がこのために提供することができる同位元素U-二三五の濃縮ウランの量の最大限に達し、かつ、第九条に規定する調整された純量に達するまでの契約が日本国政府又はその認める者によって締結されていない場合には、合衆国委員会は、適当な予告により、その時において契約されていない同位元素U-二三五の濃縮ウランの全部又は一部について日本国政府又は前記の者が契約を締結するように要請することができる。この条の規定に基づく合衆国委員会の要請に従って契約が締結されない場合には、合衆国委員会は、このようにして契約の締結を要請した同位元素U-二三五の濃縮ウランに関するすべての義務を解除されることが了解される。

C この協定に基づいて供給される同位元素U-二三五の濃縮ウランは、同位元素U-二三五を二十パ-セントまで含むことができる。この協定に基づいて供給される同位元素U-二三五の濃縮ウランの一部は、合衆国委員会がそのような移転について技術的又は経済的な正当性があると認めるときは、同位元素U-二三五を二十パ-セントをこえる割合で含む資材として提供することができる。

D 別途合意される場合を除き、附表に掲げる特定の原子炉計画のためにこの協定に基づいて割り当てられた同位元素U-二三五の濃縮ウランの総量の入手可能性を確保するためには、当該原子炉の建設が附表に掲げる計画に従って開始されること及び日本国政府又はその認める者が、合衆国委員会が最初の燃料装荷のための資材の供給を間に合わすことができるように、あらかじめ、前記の総量について契約を締結することが必要となることが了解される。また、日本国政府又はその認める者が特定の計画のために割り当てられた同位元素U-二三五の濃縮ウランの総量より少ない量について契約すること又は供給契約の締結の後にこれを終了させることを希望する場合には、別途合意される場合を除き、当該計画のための割当ての残量を入手することができなくなり、かつ、それに応じて、第九条に規定するU-二三五の調整された純量の最大限が減少することが了解される。

E 第九条に定める制限に従うことを条件として、原子炉又は原子炉実験の燃料供給のために第六条B又は第七条の規定に基づいて移転され、かつ、日本国政府の管轄の下にある同位元素U-二三五の濃縮ウランの量は、いずれの時においても、当該原子炉又は原子炉実験の燃料装荷に必要な量に当該原子炉又は原子炉実験の能率的かつ継続的な運転を可能にするために必要であると両当事国政府が認める量を加えるものをこえてはならない。

F アメリカ合衆国から受領した特殊核物質が再処理を必要とするとき、又はアメリカ合衆国から受領した燃料資材を含む照射を受けた燃料要素が原子炉から取り出されてその形状若しくは内容が変更されるときは、その再処理又は変更は、第十一条の規定が効果的に適用されるとの両当事国政府の共同の決定に基づいて日本国の施設において、又は相互に合意するその他の施設において行なうことができる。

G この協定又は旧協定に基づいて合衆国委員会により日本国政府又はその管轄の下にある認められた者に賃貸された燃料のいずれかの部分の中に照射の過程を経た結果生産された特殊核物質は、日本国政府又は前記の認められた者の債権勘定となり、Fに定める再処理の後日本国政府又は前記の認められた者に返還されるものとし、その物質に対する権原は、その返還の時に日本国政府又は前記の認められた者に移転されるものとする。

H この協定又は旧協定に基づいて日本国政府又はその管轄の下にある認められた者に移転された資材の使用を通じて生産された特殊核物質は、第三国又は国際機関に移転されない。ただし、合衆国委員会がそのような移転に同意する場合は、この限りでない。

I 日本国政府がこの協定に従って供給することを合衆国委員会に要請し、又は旧協定に基づいて日本国政府に供給されたある種の原子力資材は、注意して取り扱い及び使用しない限り、人体及び財産に有害である。日本国政府は、このような資材の引渡しを受けた後は、アメリカ合衆国政府に関する限り、その安全な取扱い及び使用について、すべての責任を負うものとする。日本国政府は、合衆国委員会がこの協定又は旧協定に基づいて同政府に賃貸した特殊核物質又は燃料要素に関し、その特殊核物質又は燃料要素の生産又は加工、所有、賃借並びに占有及び使用から生ずる原因のいかんを問わないすべての責任(第三者に対する責任を含む。)について、その特殊核物質又は燃料要素が合衆国委員会から日本国政府又は同政府のために行動する者に引き渡された後は、アメリカ合衆国政府に対しその責任を免れさせ、かつ、損害を与えないようにするものとする。


第九条

A アメリカ合衆国から日本国に、第四条、第六条B若しくは第七条の規定に基づいてこの協定の期間中に移転され、又は旧協定に基づいて移転された同位元素U-二三五の濃縮ウラン中のU-二三五の調整された純量の合計は、十六万一千キログラム又は両当事国政府の間でそれぞれの法律上及び憲法上の手続に従って合意される量をこえてはならない。前記の各条又は旧協定に基づく前記の上限の範囲内における移転の量を計算するため、次の計算方法が使用される。

####

(1) 前記の各条又は旧協定に基づいて移転された同位元素U-二三五の濃縮ウラン中に含まれるU-二三五の量から

(2) 等量の通常の同位元素含有比のウラン中に含まれるU-二三五の量を差し引いたもの から、

(3) アメリカ合衆国を原産地とするウランで回収することができるもののうち、この協定又は旧協定に基づいてアメリカ合衆国に返還され、又はアメリカ合衆国の同意を得て第三国若しくは国際機関に移転されたものに含まれるU-二三五の量から

(4)等量の通常の同位元素含有比のウラン中に含まれるU一二三五の量を差し引いたもの

を差し引く


B アメリカ合衆国から日本国に、第四条、第六条B若しくは第七条の規定に基づいてこの協定の期間中に移転され、又は旧協定に基づいて移転されたプルトニウムの純量は、三百六十五キログラム又は両当事国政府の間でそれぞれの法律上及び憲法上の手続に従って合意される量をこえてはならない。プルトニウムの純量は、日本国政府又はその管轄の下にある認められた者に移転された総量から、この協定に基づいてアメリカ合衆国に返還され、又はアメリカ合衆国の同意を得て第三国若しくは国際機関に移転されたものの量を差し引いたものとする。


第十条

A 日本国政府は、次のことを保証する。

(1) 第十一条に定める保障措置が維持されること。

(2) 日本国政府又はその管轄の下にある認められた者に対しこの協定又は旧協定に基づいて売却その他の方法により移転された資材(設備及び装置を含む。)並びにその資材(設備及び装置を含む。)の使用を通じて生産された特殊核物質が、原子兵器、原子兵器の研究若しくは開発又は他の軍事目的に使用されないこと。

(3) 日本国政府又はその管轄の下にある認められた者に対しこの協定又は旧協定に基づいて移転された資材(設備及び装置を含む。)が前記の認められた者以外の者に対し、又は日本国政府の管轄の外に移転されないこと。ただし、合衆国委員会が、第三国又は国際機関への資材の移転がアメリカ合衆国とその国又は国際機関との間の協力のための協定の範囲内にあると認めて、その移転に同意する場合は、この限りでない。

B アメリカ合衆国政府は、次のことを保証する。

(1) アメリカ合衆国政府又はその管轄の下にある認められた者に対しこの協定又は旧協定に基づいて売却その他の方法により移転された資材(設備及び装置を含む。)、その資材(設備及び装置を含む。)の使用を通じて生産された特殊核物質及びそのように移転され又は生産された資材に代わる同種類かつ等量の資材が、原子兵器、原子兵器の研究若しくは開発又は他の軍事目的に使用されないこと。

(2) アメリカ合衆国政府又はその管轄の下にある認められた者に対しこの協定又は旧協定に基づいて移転された資材(設備及び装置を含む。)及びその資材(設備及び装置を含む。)の使用を通じて生産された特殊核物質が前記の認められた者以外の者に対し、又はアメリカ合衆国政府の管轄の外に移転されないこと。ただし、日本国政府が、第三国又は国際機関へのその移転に同意する場合は、この限りでない。


第十一条

A 両当事国政府は、この協定又は旧協定に基づいて移転されたすべての資材、設備又は装置が非軍事的目的のためにのみ使用されることを確保することについての共通の関心を強調する。

B アメリカ合衆国政府は、この協定の他のいかなる規定にもかかわらず、この協定に定める保障措置が第十二条に規定する両当事国政府の合意により国際原子力機関の保障措置によって代置される範囲を除き、次の権利を有する。

(1) 設計及び操作を非軍事的目的のために確保し、かつ、保障措置の効果的な適用を可能にする目的をもつて、この協定若しくは旧協定に基づいて日本国政府若しくはその管轄の下にある者に提供された次に掲げる物又はそのようにして提供された原料物質、特殊核物質、減速材物質若しくは合衆国委員会が指定するその他の資材のいずれかを使用し、加工し、若しくは処理する次に掲げる物の設計を審査する権利

(a) 原子炉並びに

(b) その他の設備及び装置で合衆国委員会がその設計が保障措置の効果的な適用に関連があると決定するもの

(2) この協定又は旧協定に基づいて日本国政府又はその管轄の下にある者に提供された原料物質又は特殊核物質に関して、並びにそのようにして提供された次に掲げる資材、設備及び装置、すなわち

(a) 原料物質、特殊核物質、減速材物質又は合衆国委員会が指定するその他の資材

(b) 原子炉及び

(c) その他の設備又は装置で合衆国委員会がこのB(2)の規定の適用を条件として提供する品目として指定するもののいずれかにおいて使用され、それから回収され、又はその使用の結果生産される原料物質又は特殊核物質に関して、

(i) 操作記録の保持及び提出を要求し、並びに前記の原料物質又は特殊核物質の計量性の確保に資するための報告を要請し、かつ、受領する権利並びに

(ii) 日本国政府又はその管轄の下にある者の管理の下にある前記の原料物質又は特殊核物質がこの条に定めるすべての保障措置及び第十条に定める保障に従うべきことを要求する権利

(3) B(2)にいういずれかの特殊核物質で、日本国において原子力計画のために必要とされておらず、かつ、日本国政府の管轄の外に移転されないか、又は両当事国政府が相互に受諾する取極に基づいて他の方法により処分されないものを貯蔵するために使用される施設を承認する権利

(4) 日本国政府と協議した後、この協定が遵守されているかどうかを決定し、及び必要と認められる独立の計測を行なうために、B(2)の規定の適用を受ける原料物質及び特殊核物質の計量に必要なすべての場所及び資料に日本国内において近づくことができる要員を指名する権利。ただし、いずれか一方の当事国政府の要請があるときは、前記の要員は、日本国政府が指名する要員を伴うものとする。

(5) この条の規定又は第十条に定める保証に対する違反があり、かつ、日本国政府が妥当な期間内にこの条の規定を履行しない場合には、この協定を停止し、又は廃棄して、B(2)に掲げる資材、設備及び装置の返還を要求する権利

(6) 保健上及び安全上の事項について日本国政府と協議する権利

C 日本国政府は、この条に定める保障措置の適用を容易にすることを約束する。

D B(4)の規定に従ってアメリカ合衆国政府によって指名される要員は、同政府に対する自己の責任を遂行する場合を除き、B(4)の規定に基づく公的任務により知るに至った産業上の秘密又は他の秘密の情報を漏らしてはならない。


第十二条

A 両当事国政府は、両当事国政府及び国際原子力機関により千九百六十三年九月二十三日に署名された協定により同機関が旧協定に従う資材及び施設に保障措置を適用してきたことに留意し、かつ、同機関の施設及び役務を引き続き利用することが望ましいことを認めるので、同機関に対し、その保障措置の適用を継続し、この協定に基づく保障措置に従う資材及び施設に対しその保障措置を適用するように要請することを合意した。必要な取極は、両当事国政府と同機関との間で締結される協定により、この協定を改正することなく行なわれる。

B いずれの当事国政府も、Aに規定する三者間の取極について相互に満足する合意に達しない場合には、通告によりこの協定を廃棄することができる。両当事国政府は、いずれかの当事国政府がこの協定を廃棄する措置を執る前に、その廃棄の経済的影響を慎重に検討する。アメリカ合衆国政府は、日本国政府が他の動力源を得るための取極を行なうために十分な予告を同政府に与える前に、また、日本国政府は、アメリカ合衆国政府が生産計画を調整するために十分な予告を同政府に与える前に、廃棄の権利を行使しない。いずれか一方の当事国政府によりこの協定が廃棄された場合には、アメリカ合衆国政府は、日本国政府に対し、この協定又は旧協定に基づいて供給され、かつ、まだ日本国内にあるすべての特殊核物質の返還が行なわれるように要請することができる。もつとも、アメリカ合衆国政府は、アメリカ合衆国においてその時に有効な合衆国委員会の価格表に従つて、その特殊核物質を返還する者(日本国政府を含む。)がそのように返還される特殊核物質について有する利益を補償する。


第十三条

この協定に規定する両当事国政府の権利及び義務は、適用できる限り、旧協定の下で開始された協力活動(旧協定に基づいて移転された資材、設備及び装置並びに情報を含むが、これらに限られない。)に及ぶ。


第十四条

A 千九百五十八年六月十六日に署名された原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(その改正を含む。)は、この協定が効力を生ずる日にこの協定によつて代替される。

B この協定は、それぞれの政府が、他方の政府から、この協定の効力発生のための法律上及び憲法上のすべての要件を満たした旨の文書による通告を受領した日に効力を生じ、かつ、三十年間効力を有する。

 以上の証拠として、下名は、署名のために正当な委任を受け、この協定に署名した。

 千九百六十八年二月二十六日にワシントンで、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。

 日本国政府のために

 下田武三

 アメリカ合衆国政府のために

 ディ-ン・ラスク

 グレン・T・シ-ボ-グ



附表

日本国の濃縮ウラン動力用原子炉計画

分類 原子炉 建設開始時期 必要とされるU-二三五の総量(キログラム)

建設中 A 敦賀 三二二メガワット (日本原子力発電株式会社) 千九百六十六年  八、三一四

   B 福島 四〇〇メガワット (東京電力株式会社) 千九百六十六年 一〇、三八三

   C 美浜 三四〇メガワット (関西電力株式会社) 千九百六十六年  七、六七八

計画中 D 中部第一号 三五〇メガワット 千九百六十八年 一〇、九二一

   E 東京第二号 七五〇メガワット 千九百六十八年 一六、五五六

   F 関西第二号 五〇〇メガワット 千九百六十八年 一二、〇二六

   G 関西第三号 七五〇メガワット 千九百七十年  一六、七九七

   H 中国第一号 五〇〇メガワット 千九百七十年  一一、一九八

   I 東京第三号 七五〇メガワット 千九百七十年  一六、七九七

   J 中部第二号 五〇〇メガワット 千九百七十一年 一一、一九八

   K 九州第一号 五〇〇メガワット 千九百七十一年 一〇、七八三

   L 東北第一号 五〇〇メガワット 千九百七十一年 一〇、七八三

考慮中   五〇〇メガワット 千九百七十年-千九百七十二年 一〇、七八三

合計 一五四、二一七

 書簡をもつて啓上いたします。本官は、本日署名された原子力の非軍事的利用に関する協力のためのアメリカ合衆国政府と日本国政府との間の協定に言及し、同協定の締結のための交渉において到達した次の了解を確認する光栄を有します。

1 両当事国政府は、提供される資材及び情報が不完全及び不正確でないことを確保するために最善の努力を払うものであるので、両当事国政府によって提供される資材、設備及び装置の使用若しくは応用又は情報(設計図及び仕様書を含む。)の使用は、協定の第五条の規定に基づき、これらを受領する当事国政府の責任においてなされるものとし、これらを供給する当事国政府は、その情報、資材、設備及び装置がいずれか特定の使用又は応用に適合することは保証しない。

2 協定の第六条Cにいう両当事国政府の政策は、差別的には適用されないものとし、また、アメリカ合衆国政府によつて協定の第九条に規定する量の特殊核物質の移転を排除するような方法では適用されないものとする。

3 協定の第八条Hにいう生産された特殊核物質の日本国から第三国又は国際機関への移転に対する合衆国原子力委員会の同意は、商業的考慮のために与えられないことはない。

4 合衆国原子力委員会は、日本国政府の管轄の下にある私人又は私的機関に対して原子力資材を移転する前に、当該資材の安全な取扱い及び使用についての責任に関し、自己の選択に基づき、同委員会が満足のできる保証を同委員会に与えるよう当該私人又は私的機関に要請することがある。合衆国原子力委員会は、日本国政府の管轄の下にある私人又は私的機関に対して特殊核物質を賃貸する前に、自己の選択に基づき、同委員会を同委員会が満足のできる方法により当該物質に関する責任から免れさせ、かつ、損害を与えないようにするよう当該私人又は私的機関に要請することがある。

5 アメリカ合衆国政府は、日本国政府が、協定の第九条Bに規定する三百六十五キログラム(この量は、日本国の千九百七十年までの需要を満たすためのものである。)をこえる量のプルトニウムを必要とするようになると予想していることを了解する。両当事国政府は、民間の動力炉の運転の結果、千九百七十年代の初めには、アメリカ合衆国、日本国その他の国において、研究及び開発のための全必要量を満たすに十分な大量のプルトニウムが入手可能となるであろうということを認識している。このような事情の下において、合衆国原子力委員会は、プルトニウムの長期的な供給者となることを計画していない。しかしながら、アメリカ合衆国政府は、プルトニウムの十分な供給が日本国における平和的研究及び開発のために重要であることを認めるので、協定の下で移転されるプルトニウムの上限の量を増加する必要について、日本国政府と協議を行なう用意がある。

6 原子炉以外の設備及び装置で、合衆国原子力委員会が協定の第十一条B(1)(b)に基づいてその設計が保障措置の効果的な適用に関連があると決定するものに関し、そのような設備及び装置は、国際原子力機関の保障措置文書INFCIRC-六六(その修正を含む。)に規定する主要な原子力施設又はそれらの主要な原子力施設の重要な部品に限られる。

7 両当事国政府の代表者は、協定の適用から生ずる問題について相互に協議するため随時会合することができる。

8 両当事国政府は、協定の規定がその時に存在する新しい状況に対処するに不適当となったときはいつでも、協定の規定を改正する目的をもって相互に協議する。そのような協議は、いかなる場合においても、両当事国が原子兵器の拡散防止のための条約の当事国となったときは行なわれる。

本官は、日本国政府の同意があれば、この書簡及び貴使の返簡が前記の了解を記録にとどめたものとみなすことを提案いたします。

本官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。

千九百六十八年二月二十六日にワシントンで

国務長官に代わつて ウィリアム・P・バンディ

日本国特命全権大使 下田武三閣下


(日本側書簡)

 書簡をもつて啓上いたします。本使は、本日署名された原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定に関して、同協定の締結のための交渉において到達した次の了解を述べられた本日付けの閣下の書簡に言及する光栄を有します。


(アメリカ合衆国側書簡の1から8まで)

 本使は、さらに、日本国政府が、前記の了解に同意し、並びに閣下の書簡及びこの返簡が前記の了解を記録にとどめたものとみなすことを確認することを閣下に通報する光栄を有します。

 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。

千九百六十八年二月二十六日にワシントンで

日本国特命全権大使 下田武三

国務長官 ディ-ン・ラスク閣下