[文書名] 日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の特殊核物質賃貸借協定
日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の特殊核物質賃貸借協定
この賃貸借協定(以下「賃貸借協定」という。)は、千九百七十年九月二十五日に、日本国政府(以下「賃借者」という。)とアメリカ合衆国政府(以下「政府」という。)を代表して行動する合衆国原子力委員会(以下「委員会」という。)との間で締結される。
賃貸借協定の両当事者は、協力協定に基づく賃借者への特殊核物質賃貸借に適用される条件を確定することを希望するので、賃貸借協定は、委員会の側においては千九百五十四年の合衆国原子力法(改正を含む。)に基づき、及び協力協定に基づき授権され、かつ、実施されるので、
よつて、賃貸借協定の両当事者は、相互に次のとおり協定する。
第一条 定義
賃貸借協定において
a 「法」とは、千九百五十四年の合衆国原子力法(改正を含む。)をいう。
b 「協力協定」とは、千九百六十八年二月二十六日にワシントンで署名された原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(将来改正され又はこれに代わるものを含む。)をいう。
c 「原子力委員会」、「委員会」又は「AEO」とは、合衆国原子力委員会又はその正当に授権された代表者をいう。
d 「基本料」とは、賃貸借協定に基づく個個の取引が行なわれる時に有効な標準形状及び仕様の天然若しくは劣化ウラン又は特殊核物質の単位当たりの合衆国ドルの額で、委員会が随時合衆国連邦官報に公表する価格表に定めるものをいう。
e 「混合」とは、原子炉における物質の照射以外の手段によつて、元素の同位元素の構成を変えることをいう。
f 「委員会の施設」とは、委員会により又は委員会のために運営される研究所、工場、事務所その他の施設をいう。
g 「委員会の確定仕様」とは、天然若しくは劣化ウラン又は特殊核物質の純度その他の物理的若しくは化学的特性についての仕様で、委員会が随時合衆国連邦官報に公表するものをいう。
h 「消耗された」又は「消耗」とは、その後の使用のために経済的に回収することができない方法による物質の損壊、燃焼、喪失若しくは処置、物質の計量不能又は異なる成分を持つ物質の混合その他その物質の価額の減少をもたらす同位元素率の変更をいう。
i 「劣化ウラン」とは、ウラン二三五の重量比が〇・〇〇七一一未満のウランをいう。
j 「確定した委員会の価格政策」とは、賃貸借協定に基づく個個の取引が行なわれる時に有効な適用される合衆国ドルによる価格又は料金で、(i)委員会が合衆国連邦官報に公表するもの又は(ii)公表された数字がない場合には、委員会の価格政策に従つて決定されるものをいう。この価格政策の明細は、賃借者の要請により提供される。委員会の公表された価格及び料金並びに価格政策は、随時改正することができる。
k 「天然ウラン」とは、ウラン二三五の重量比率が〇・〇〇七一一のウランをいう。
l 「委員会を代表して行動する者」とは、委員会との雇用関係又は契約に従つて賃貸借協定を実施し又は賃貸借協定の実施に参加する委員会の被用者及び請負人並びにこの請負人の被用者を含む。
m 「原料物質」とは、(1)ウラン、トリウム若しくは委員会が法第六十一条の規定に従つて原料物質であると決定するその他の物質又は(2)委員会が規則により随時決定する含有率においてこれらの物質の一若しくは二以上を含有する鉱石をいう。
n 「特殊核物質」とは、(1)プルトニウム、ウラン二三三、同位元素二三三若しくは同位元素二三五の濃縮ウラン及び委員会が法第五十一条の規定に従つて特殊核物質であると決定するその他の物質又は(2)これらの物質のいずれかで人工的に濃縮した物質をいう。ただし、原料物質は含まない。
o 「標準形状」とは、天然若しくは劣化ウラン又は特殊核物質の化学的形状で委員会が随時合衆国連邦官報に公表するものをいう。
p 「価額」とは、当該天然若しくは劣化ウラン又は特殊核物質が標準形状又は委員会の確定した仕様のものであるかどうかを問わず、適用される基本料にその物質の単位数又はその端数を乗ずることにより決定される合衆国ドルの額をいう。ただし、賃貸借協定に基づく同位元素ウラン二三五の濃縮ウランが原子炉における照射中に同位元素ウラン二三二及びウラン二三三の生成によりその同位元素比率を変更したときは、そのような物質の消耗に対する定期的な支払を定めるための「価額」とは、ウラン二三五のグラム数に合衆国連邦官報告示「プルトニウム及びウラン二三三濃縮ウラン保証購入価格」(千九百六十五年三月二十五日、三十FR三千八百八十六(随時改正する場合も同じ。))3(a)により算出されたウラン二三五のグラム当たり基本料を乗ずることにより決定される合衆国ドルの額をいう。
第二条 適用範囲
a
1 賃貸借協定は、協力協定に含まれるすべての条件、規定及び保証に従う。
2 賃貸借協定に又は委員会を通じて行動する政府と賃借者との間の書面による合意に別段の規定がない限り、賃貸借協定に含まれる条件は、賃貸借協定の締結の日以後に委員会が賃借者に提供する特殊核物質及び関係役務並びに賃貸借協定が効力発生の日時に政府と賃借者との間の特殊核物質賃貸借協定の適用を受ける物質があるときは、その物質にも適用される。賃借者は、賃貸借協定の条件のみに従い、賃貸借協定に基づくその物質についての義務を免除される。
b 賃借者は、委員会が定める様式の特殊核物質発注書を作成し、かつ、提出することにより、賃貸借協定の適用を受ける物質を発注する。賃借者は、その発注の際に、発注された物質が(a)賃借者に直接提供されるか、(b)処理及び(若しくは)加工その他の目的のために賃借者が雇用した委員会の賃借者である委員会の許可を受けた合衆国の会社(以下「合衆国の契約者」という。)を通じて提供されるか、又は(c)他の方法で提供されるかのいずれを希望するかを明示する。いずれの場合においても、賃借者への実際の引渡しは、賃貸借協定第十五条「引渡し」に定めるところに従い合衆国の輸出港において行なわれる。
c 委員会が行なうか又は委員会のために行なわれる賃借者の物質発注書の受諾は、その発注書に明示された物質を賃貸借協定の条件に従つて賃貸する旨の委員会の約束を構成する。
d 賃貸借協定のいかなる規定も、賃借者に対して物質を発注する義務を負わせ、又は委員会に対して賃借者に物質を賃貸する義務若しくはその物質に関連して賃借者に役務を提供する義務を負わせるものとみなしてはならない。
第三条 権原
賃貸借協定に別段の規定がある場合又は賃貸借協定の両当事者が書面により別段の合意をする場合を除き、賃貸借協定に従つて賃借者に提供され若しくは賃借者が受領し又は賃貸借協定に基づいて所持するすべての物質に対する権原は、常にアメリカ合衆国政府が有する。
第四条 賃貸借協定の期間、廃棄及び取消し
a 賃借者は、賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、千九百七十年十二月三十一日又は両当事者が相互に合意するそれよりおそい日まで賃貸借協定の適用を受ける物質を占有し、かつ、使用する権利を有する。
b 協力協定の満了又は廃棄は、自動的に賃貸借協定の終了となり、その後は、いずれの物質発注も、賃貸借協定の終了により影響を受ける物質につき、効力を有しない。
c 賃借者は、物質の引渡し前のいかなる時においても、委員会にあてた書面による通告により、賃貸借協定に基づく物質発注を取り消すことができる。ただし、賃借者は、その発注に関連して委員会が負担した費用について、その費用が負担された時に有効な確定した委員会の価格政策に従つて決定される取消料を支払う。
d 賃借者が、なんらかの理由により、賃貸借協定に基づき賃貸された物質を賃貸された目的に使用することができない場合には、賃借者は、すみやかに委員会に通報し、かつ、両当事者が今後書面による別段の合意をする場合を除き、賃貸借協定の条件に従つて当該物質を返還する。
e 委員会は、賃借者が賃貸借協定に基づく自己の義務を遂行せず、また、その旨の書面による通告の日から三十日以内に是正措置をとらない場合には、その不履行が不可抗力による原因で賃借者の過失又は不注意によらないものから生じた場合を除き、賃借者にあてた書面による通告により、いつでも、政府に費用を負わせることなしに賃貸借協定の全部又は一部を廃棄させ又は停止することができる。
第五条 委員会が提供すべき物質、役務料
a 委員会及び賃借者が書面により合意する場合を除き、賃貸借協定の適用を受ける特殊核物質は、委員会の確定仕様に従う標準形状で、賃借者に提供される。
b
1 賃借者は、賃貸借協定の適用を受ける物質で直接賃借者に提供されるものに関し、取出し、荷造りその他賃借者の発注書に従つて提供される特別の役務についての委員会の役務料を支払う。賃借者及び委員会が作成する物質発注書においてその料金が合意されない限り、賃借者は、賃借者の発注書に従つて提供される役務についての料金でその役務が提供される時に有効な確定した委員会の価格政策に従つて決定されるものを委員会に支払う。賃借者は、また、前記の役務が提供される期間及び賃貸借協定の規定に従つて賃借者に賃貸される特殊核物質の実際の引渡しまでの期間についての使用料相当額並びにその特別の役務の提供中に消粍される物質の価額を支払う。
2 賃貸借協定に基づいて賃借者が発注する物質で、賃借者が雇用する合衆国の契約者を通じて提供されるものの場合には、前記の契約者が取出し、荷造りその他賃借者の発注書に従つて提供される特別の役務についての委員会の役務料を支払うための取決めは、賃借者により行なわれる。前記の役務が提供される期間についての使用料(以下に定める。)の支払及びその特別の役務の提供中に消耗される物質の価格の支払に関する取決めも、また、賃借者により前記の契約者との間で行なわれる。
c
1 賃貸借協定に基づいて発注された物質で直接賃借者に提供されるものが委員会の確定仕様(又は賃借者及び委員会が作成する発注書に定める仕様)に合致しないときは、政府、委員会及び委員会を代表して行動する者の責任及び補償義務は、適用される仕様に合致する物質を引き渡すことによつてその食い違いを正すことのみに限定される。委員会は、適用される仕様に合致しないすべての物質の返還のための輸送費用を輸送者に支払い、また、合致した取替物質を輸送するための輸送費用を輸送者に支払う。この取替物質に関していかなる役務料も要求されず、また、この物質を輸送する委員会所有の容器の賃貸料金は、輪送の日の後三十日間は課されない。
2 賃貸借協定に基づいて賃借者が発注した物質で、委員会による賃借者への引渡しに先だつて賃借者が指定する合衆国の契約者に提供されるものの場合には、その物質が仕様に合致しないことに関する委員会の補償義務及び責任は、委員会とその契約者との間の取決めにより規制する。
d 賃貸借協定に基づき濃縮ウラン(ウラン二三五)として提供される物質は、その賃貸借された物質が賃貸借協定に定義する特殊核物質でなくなる程度までに同位元素率が減少する方法で消耗されることが認められる。このd又はeに規定する場合を除き、その結果生ずる天然ウラン又は劣化ウランは、引き続き特殊核物質として賃貸借協定の規定の適用を受ける。ただし、その物質の消耗についての賃借者の義務及びその物質の使用料についての賃借者の義務は、天然ウラン又は劣化ウランの価額を使用して計算するものとし、さらに、賃借者が、賃貸借協定に定めるところによりその物質を直接に委員会の施設に返還することに代えて、その物質を委員会がこのため許可し、かつ、承認した他の者に移転し、その物質に関する賃借者の義務を終了させることを望む場合には、委員会は、その選択により、賃借者にその物質の価額を支払うよう要求し、その物質に対する権原を賃借者に移転することができる。
e (1) 委員会は、賃貸借協定の適用を受けるプルトニウム、ウラン二三三又は同位元素二三三の濃縮ウランを賃借者に引き渡すにあたつて、そのプルトニウムが他のプルトニウムと混合されないこと及びそのウラン二三三又は同位元素二三三の濃縮ウランが他のウランと混合されないことを指示することができる。
(2) 賃貸借協定の適用を受ける天然ウラン、劣化ウラン又は濃縮ウランをウラン二三三又は同位元素ウラン二三三の濃縮ウラン以外のウランで賃貸借協定の適用を受けないものと混合する場合には、
(A) 混合終了の日から百二十日以内に委員会がすべての関係者からの書面による合意を受領し、かつ、
1 混合された製品の同位元素含有分(ウラン二三五重量パーセント)が混合に用いられた賃貸借物質の同位元素含有分よりも高いときは、(a)委員会は、混合製品の賃借者の持分の部分で混合に用いられた賃借者の賃貸借物質の価額をこえないものの価額を賃借者勘定に借記し、混合に用いられた賃借者の賃貸借物質の価額を賃借者勘定に貸記し、(b)賃借者勘定にこのように借記された混合製品に対する権原は政府に帰属するものとみなされ、かつ、(c)賃借者は、貸方の物質の価額が借方の物質の価額をこえるときは、その差額を委員会に支払う。
2 混合された製品の同位元素含有分(ウラン二三五重量パーセント)が、混合に用いられた賃貸借物質の同位元素含有分よりも低いときは、(a)委員会は、混合製品の賃借者の持分の部分で、混合に用いられた賃借者の賃貸借物質の供給部分(ウラン二三五重量パーセント〇・七一一の同位元素含有分を有するウランが供給物質として用いられたとして)をこえない供給部分を有するものの価額を賃借者勘定に借記し、かつ、混合に用いられた賃借者の賃貸借物質の価額を賃借者勘定に貸記し、(b)賃借者勘定にこのように借記された混合製品に対する権原は、政府に帰属するものとみなされ、かつ、(c)賃借者は、貸方の物質の価額が借方の物質の価額をこえるときは、その差額を委員会に支払う。
(B) 委員会が(A)に規定する書面による合意を受領していない場合には、委員会、賃借者及び賃貸借協定の適用を受けないウランの所有者が書面により別段の合意を行なわない限り、(1)賃借者は、混合に用いられた賃貸借勘定に係る物質を購入したものとみなされ、そのように購入した物質の価額を委員会に支払い、かつ、(2)その物質に対する権原は、その価額が委員会に支払われた時に、政府から賃借者に移転する。
(3) 賃貸借協定の適用を受けるプルトニウムを賃貸借協定の適用を受けないプルトニウムと混合する場合又は賃貸借協定の適用を受けるウランを賃貸借協定の適用を受けないウラン二三三若しくは同位元素二三三の濃縮ウランと混合する場合には、賃借者は、(A)当該物質を混合する条件に関し事前に委員会の書面による同意を取り付け、又は(B)混合の結果(混合製品の処分並びに委員会及び賃借者に支払うべき金額を含む。)に関する書面による委員会の決定を最終的なかつ拘束力のあるものとして受諾することに同意する。
(4) e(2)において「価額」とは、混合の完了の日における価額をいう。e(2)(A)2に定める供給部分は、委員会によつて随時合衆国連邦官報に公表され、かつ、混合の完了の日に有効な濃縮役務に関する確定した委員会標準表から算出する。
(5) 賃借者は、混合に使用された原料物質若しくは特殊核物質に対し又はこれらに関連して申し立てられた権利を理由とする第三者の請求権について、政府、委員会及び委員会を代表して行動する者に対し損害を与えないようにすることがここに合意される。
f
(1) 賃借者は、賃貸借協定の適用を受ける物質の受領、占有、使用、場所、移動及び物理的な在庫に関する完全かつ十分な記録を保持し、妥当な通告により調査のため委員会に提供する。この記録は、物理的測定、消耗、実際の在庫及び関連の取引を十分に示すものでなければならない。賃借者は、委員会の定めるところに従い、賃貸借協定の適用を受ける物質に関し、受領され、物理的に存在し、消粍され又は移転された物質の数量を示す移転文書及び報告書を提出する。賃借者は、賃貸借協定の適用を受ける物質で賃借者の管理の下にあるものについて賃貸借期間の十二箇月ごとに最小限一回の物理的在庫調査を行ない、また、賃貸借協定の適用を受ける物質で賃借者以外の者の管理の下にあるものについても在庫調査を行なうことを保証する。
(2) 賃借者は、委員会に対し、妥当な時はいつでも、賃貸借協定の適用を受ける物質の観察に必要な立入りを認めるものとし、また、賃貸借協定に基づいて賃借者が委員会に提出することを要求されている報告書の正確さの確認のため必要と委員会が認めるときは、委員会に対し、相互に受諾する手続に従つて、監査及び在庫量検査の実施を許可する。委員会は、賃貸借協定の適用を受ける物質についての在庫量検査(賃借者は、この在庫量検査には物理的又は化学的分析のための妥当な数の試料採取を含むことがあることに同意する。)を賃借者の処理及び引渡計画並びに当該物質に関する第三者との約束に対する影響を最小限にするように実施することに同意する。この(2)の規定は、賃借者の同意がある場合を除き、特殊核物質を含む加工品の破壊検査を実施することを委員会に許可するものではない。賃借者は、物質の試料、役務若しくは設備を賃借者が提供するか又は監査及び在庫量検査の実施に関して供給される場合には、その試料の費用若しくは価額につき又は役務若しくは設備について委員会に対しいかなる経費をも請求しないことに同意する。ただし、委員会は、試料に含まれる物質の価額につき賃借者勘定において委員会に対する十分な借記を認め、また、委員会は、物質試料の標準形状への転換につき賃借者に対しいかなる経費をも請求しない。賃借者が賃貸借協定の適用を受ける物質を他の者に運送するか又はそのような物質を運送させる場合には、賃借者は、この(2)の規定に基づき委員会に与えられる権利及び特権がその運送によつて影響を受けないように確保する。
第六条 委員会への物質の返還、委員会の役務についての特別の料金
a 賃貸借協定の両当事者が書面による別段の合意をする場合を除き、賃借者は、賃貸借協定が満了し又はそれより早期に廃棄されたときは、賃貸借協定の適用を受けるすべての物質を返還する。もつとも、賃借者は、その満了又は廃棄の日より前にいつでもその物質を返還する権利を有する。
b 賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、賃貸借協定の適用を受ける物質で直接委員会に返還されるものは、委員会が認める施設で処理された後は、物質が返還される日に有効な標準形状でなければならず、かつ、物質が返還される日に有効な物質の返還のための委員会の確定仕様に合致しなければならない。
c 委員会の同意を得て賃借者の管轄外へ移転された賃貸借協定の適用を受ける物質は、被移転者、委員会及び賃借者が移転された物質に関する取決めを作成した場合には、その物質の形状及び(又は)仕様に関係なく、委員会に返還されたものとみなす。
d 委員会は、その裁量により、bに定める以外の形状及び(又は)仕様の物質を受諾することができる。そのような場合には、委員会がそのままの形状における物質の受諾が合衆国政府にとつて最も有利であると決定しない限り、賃借者は、返還される物質がその返還の時に有効な標準形状に合致するようにし及びその返還の時に有効な委員会の確定仕様を満たすように処理するための役務料を支払う。その役務料は、物質の返還の時に有効な確定した委員会の価格政策に従つて決定される委員会の処理料及び処理中に消耗される物質の価額について委員会が決定する額を含む。賃借者は、その返還する物質がこのdの規定に基づく処理料の適用を受ける場合には、委員会がその物質を受諾するときに決定する処理期間の満了まで、その物質について引き続き使用料を支払う。
e 委員会がdの規定に従つて物質を受諾しない場合には、賃借者は、bに定める以外の形状及び(又は)仕様で返還された物質については物質の価額に等しい額を委員会に支払う。さらに、賃借者は、その物質の取扱い、保管及び(又は)処分についてその物質が返還される時に有効な確定した委員会の価格政策に従つて決定される特別の役務料をも支払う。
f 賃貸借協定の適用を受ける物質で六弗化ウランの形状で直接委員会に返還されるものは、委員会が定める適当な寸法の容器に入れて輸送しなければならない。一個の容器に入れて輸送される物質の量は、使用する容器の型について委員会が定める最小限度の積量より少なくてはならない。
g
1 アメリカ合衆国に返還されるすべての物質は、委員会が賃借者との協議の後指定するアメリカ合衆国の輸入港に運送される。委員会は、その後直ちに、その物質の輸入を許可するため必要な措置をとる。両当事者が別段の合意をしない限り、賃借者は、その後、要求される料金、条件及び許可要件に従つて、その物質を商業的運送手段により、委員会の施設又は委員会が指定する場所に運送する運送者を賃借者の費用で手配する。
2 委員会が放棄しない限り、賃借者は、物質を合衆国に返還する意思を有する旨を少なくとも十五日前に委員会に通告する。委員会は、物質を返還する意思を有する旨の賃借者の通告を受領した後、その物質の返還のために指定する委員会の施設又は場所について、賃借者にすみやかに通告する。賃借者は、その物質の発送の時に、委員会の施設又は他の場所への物質の発送の日及び輸送方法並びに到着予定日を委員会に通告する。
h 委員会は、賃貸借協定に基づく物質の返還を証明する適当な領収書を発給する。
第七条 消耗した物質についての支払
a 賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、賃借者は、物質の消耗について、その消耗が賃借者の過失若しくは不注意又は第十五条の規定に従つて物質が委員会によつて提供される時からその物質が賃貸借協定に定めるところに従つて委員会の施設に返還される時までの間に生ずる他の理由によるかどうかを問わず、委員会に対し責任を負い及び補償する。
b 賃借者は、委員会に対し、委員会の定める様式により、十二月三十一日及び六月三十日までに賃借者に知られている物質のすべての消耗を正確に示す報告を年二回、二月一日及び八月一日までに行なう。賃借者は、消粍した物質を報告するに際し、当該消耗の時を、それが起こつた特定の場合を基礎として、又は賃借者が提案し、かつ、委員会が認めた消耗を算定するための手続及び方法に従つて、正確に確定するよう合理的な努力を払う。
c 賃借者は、消耗した物質について定期的に支払を行なうことができ、かつ、委員会が要求するときは、これを行なうものとする。賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、消耗した物質について委員会に支払われるべき額は、賃貸借協定に従つて算定される当該消耗の時におけるその物質の価額とする。同位元素比率の変化により価額の減少した物質以外のすべての消耗した物質の権原は、当該価額の委員会への最終支払の後、委員会から賃借者に移転する。
第八条 使用料の支払
賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、賃借者は、第十条に定めるところに従い、賃貸借協定の適用を受ける物質についての使用料を委員会に支払うことに同意する。使用料率は、委員会の明細勘定書の期間について有効な委員会の公表した年間(三百六十五日)使用料率とする。
第九条 委員会の他の権能
賃貸借協定のいかなる規定も、委員会が、賃借者との協議の後、法律上その他の援用することができる権能に基づいて、賃貸借協定の適用を受ける物質及び(若しくは)役務に関する委員会の料金又は賃貸借協定の他の特定の規定が適用されないと決定するときは、その料金を支払い、又はその規定を遵守する義務を賃借者に負わせるものとみなしてはならない。
第十条 特殊核物質賃貸借勘定の開設
a 委員会は、賃借者のために特殊核物質賃貸借勘定を開設し、賃貸借協定に定めるところに従い、賃貸借協定の適用を受ける物質の価額に等しい額をこの勘定に借記する。この勘定には、賃貸借協定に定めるところに従い、賃貸借協定に基づいて返還され又は支払が行なわれた物質の価額に等しい額を貸記する。委員会に支払うべき使用料の額は、この勘定の各日の差引残高を使用して算定する。返還された物質の価額及び消耗した物質についての支払を控除した後にこの勘定に示される物質の価額は、返還されず又は支払が行なわれない物質について委員会に支払うべき額を示す。消耗したものとして定期的に支払が行なわれた物質がその後賃借者勘定に再び計上される場合には、賃貸借協定第十二条cに定める賃借者に対する支払の払戻し(又は適当な相殺)が行なわれた日付で、賃借者勘定に再び計上される時のその物質の価額に等しい額を前記の勘定に借記する。
b 賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、賃借者勘定には、提供された物質について、賃借者にその物質が引き渡された日付で借記する。ただし、委員会の他の賃借者から直接賃貸借物質が移転される場合には、当該借記は、賃借者、他の賃借者及び委員会がその物質について作成する発注書に記載された有効な日付で行なう。委員会が別段の同意を与える場合を除き、その有効な日付は、委員会がその発注書の実施の日の前三十日以内でなければならず、また、その日付は、適用される移転文書にも記載される。
c 委員会に返還され又は他の賃借者に移転された物質については、その物質が第六条の規定に従つて返還され又は移転された場合にのみ賃借者勘定に貸記する。賃貸借協定に別段の規定がある場合を除き、直接委員会に返還された物質については、賃貸借協定に従つて委員会が定める場所に物質が引き渡された日付で、賃借者勘定に貸記する。他の賃借者に移転された物質についての貸記は、受領賃借者、委員会及び賃借者が作成する発注書に記載された有効な日付で行なう。支払が行なわれた物質についての貸記は、委員会がその支払を受領した日付で行なう。
d 委員会が第十一条に定めるところに従つて適用される基本料を変更するときはいつでも、賃借者勘定に記入する物質の価額は、新たな基本料により再び算定する。ただし、この変更が有効となる日に消耗している物質の価額は、再び算定ない。新たな基本料は、適用される基本料の変更が有効となる日の後に、消耗した物質の価額の決定及び使用料の適用を受ける物質の価額の算定のために使用される。
e 賃借者は、物質の発送、消粍又は移転の結果行なわれる賃借者勘定の借記及び貸記並びに適用される基本料の変更に伴う前記の勘定における物質の価額の変更についてすみやかに通告を受ける。賃借者は、前記の通告において食い違いがあるとする異議又はその通告における誤りを委員会にすみやかに通告する。
第十一条 使用料率、基本料及び仕様の変更
a 賃貸借協定に基づいて提供された物質についての使用料率、基本料、標準形状及び仕様は、法に基づいて委員会が行なう変更に従う。
b 基本料の増加又は標準形状若しくは委員会の確定した仕様の変更には、公表その他の方法により、賃借者に対し少なくとも百八十日の予告が与えられることを必要とする。使用料率の増加は、公表その他の方法により、賃借者に対し少なくとも三十日の予告が与えられることを必要とする。
第十二条 AECの義務の履行、支払請求
a 委員会は、賃貸借協定に基づく義務を委員会の施設の運営者を通じて履行することができる。その運営者は、賃貸借協定の条件を修正し、同協定の要件を放棄し、又は同協定から生ずる要求若しくは紛争を解決してはならない。
b 賃貸借協定に基づき委員会に支払うべき額についての支払請求は、通常、
(1) 役務については、その遂行の後に、
(2) 物質の使用料及び物質の消耗に対する料金については、半年ごとに行なう。
c 定期的に行なわれるすべての支払請求及び支払は、当該物質の実際の量又は算定された量、濃縮度、同位元素含有分及び仕様に合わせて調整される。賃借者が消耗したものとして報告された物質について定期的に支払を行ない、その後その物質が賃借者勘定に再び計上されたときはいつでも、委員会は、賃借者に対し、その物質につき賃借者が支払つた額を払い戻ず(又は委員会に支払うべき額と適当に相殺する。)。このcに定める調整は、dにいう場合を除き、賃借者又は委員会に利息を支払う義務を負わせない。
d 委員会が行なうか又は委員会のために行なわれるすべての支払請求は、明細勘定書の日付の日から六十日目の日に期限が到来し、アメリカ合衆国の通貨で支払われる。賃借者は、委員会に支払うべき額で委員会が明細勘定書の日付の日から六十日以内にその支払を受けなかつたものについては、委員会が一般的な適用のために随時決定する年率(三百六十五日を基礎とする。)で利息を支払う。この利息は、明細勘定書の日付の日から六十一日目の日に生する。
第十三条 放棄、責任
a 政府、委員会又は委員会を代表として行動する者のいずれも、賃貸借協定に基づき提供される物質が、(i)いかなる目的に使用されたときにも傷害若しくは損害を起こさないこと、(ii)市場向きの品質のものであること又は(iii)特定の目的に適合することにつき明示又は黙示の保証その他の言明を行なわない。
b 賃貸借協定に基づき賃貸借された物質に関し、賃借者は、その特殊核物質の生産又は加工、運送、所有、賃借並びに占有及び使用から生ずる原因のいかんを問わないずべての責任(第三者に対する責任を含む。)について、賃借者の合衆国の契約者が委員会との間の特殊核物質賃貸借取決めに基づきその責任を負う範囲を除き、第十五条の規定に基づき委員会がその物質を提供する時から、アメリカ合衆国政府に対しその責任を免れさせ、かつ、損害を与えないようにするものとする。この条のいかなる規定も、賃借者又は他の者が千九百五十四年合衆国原子力法(改正を含む。)第百七十条の規定に基づき有する権利を奪うものではない。
第十四条 引渡しの時
委員会は、賃貸借協定の適用を受ける物質の発注書に掲げる時に物質の引渡しを行なうよう合理的な努力を払うが、政府、委員会及び委員会を代表して行動する者は、その時に引渡しが行なわれなかつたことについて、責任を負わない。
第十五条 引渡し
a 賃貸借協定に基づいて発注された物質で賃借者に提供されるものに関し、委員会は、賃借者が手配する運送者に対し、委員会の施設において積込みの商業的運送手段により発注物質を提供する。運送者は、賃借者との協議の後、委員会が指定するアメリカ合衆国内の輸出港にその物質を運送し、引き渡す。委員会は、その後直ちに、その指定港において賃借者に物質を引き渡し、かつ、その輸出を許可するため必要な措置をとる。物質の引渡しに関するアメリカ合衆国内及び同国外の運送並びに引渡しの費用(容器及び荷造りの費用を含む。)並びにその引渡しに関連する保管の費用は、賃借者の責任であり、委員会の責任ではない。賃借者又はその正当に授権された代理人は、指定された輸出港において物質の引渡しを受諾し、かつ、そのための適当な受領証に署名する。物質の賃貸借は、この署名の時に開始し、賃借者は、その賃貸借物質について完全な責任を負う。
b 賃貸借協定に基づいて発注された物質で、賃借者が雇用する合衆国の契約者に対し、処理及び(又は)加工のために提供されるものに関し、
(1) 委員会は、前記の合衆国の契約者に対し、委員会の施設における積込みの商業的運送手段により、前記の物質を提供する。
(2) 賃借者は、前記の契約者による物質の処理及び調整が完了した時に、委員会が特殊核物質の同位元素含有分及び量に関して第十八cに定める前記の契約者の決定の証明書を受領したうえで、委員会が賃借者との協議の後指定するアメリカ合衆国内の輸出港に、賃借者が委員会に対し三十日の書面による予告を行なつた後に、その転換され又は加工された物質を運送し及び引き渡す運送者を手配する。委員会は、その後直ちに、その指定港において物質を賃借者に引き渡すため、及びその輸出を許可するため必要な措置をとる。物質のアメリカ合衆国内及び同国外の運送並びに引渡しの費用(容器及び荷造りの費用を含む。)、保管費並びに引渡しに関連する物質の物理的な取扱いに関するすべての手配は、賃借者の責任であり、委員会の責任ではない。賃借者又はその正当に授権された代理人は、指定輸出港においてその物質の引渡しを受諾し、かつ、そのための適当な受領証に署名する。物質の賃貸借は、この署名の時に開始し、賃借者は、賃貸借物質について完全な責任を負う。
第十六条 容器及び設備
a 物質の委員会から賃借者への発送及び賃借者から委員会ヘの発送は、賃借者が提供する容器により行なわれる。ただし、委員会は、必要な容器が商業的供給源から正当に入手することができないと決定する場合において可能なときは、委員会所有の容器を提供することができる。物質の運送に使用される委員会所有の容器は、別段の合意がある場合を除き、委員会の指定する委員会の施設における賃借者の車両又は商業的運送手段に対しf・o・b・で賃借者に提供される。賃借者提供の容器又は設備は、当該容器又は設備により賃借者に発送される物質の予定された引渡しに先だち、委員会が定める妥当な期間内に委員会の指定するその施設に引き渡される。賃借者提供の容器又は設備は、物質の委員会から賃借者への発送及び発送された物質の一時的貯蔵のためにのみ使用される。
b すべての容器及び設備は、委員会所有のものであるか又は賃借者提供のものであるかを問わず、提供され、利用され又は返還される時に有効な安全、設計基準、清潔性及び非汚染性に関する委員会の規則、仕様及び慣例に合致するものとし、そのことについての判定は、委員会のみが行なう。物質が委員会の所有していない容器で賃借者から委員会に返還される場合において、他の物質が賃借者に引き渡されるときは、委員会は、賃借者の希望に応じ、当該物質の発送には実施可能な限り委員会所有のものでない容器を使用する。委員会は、委員会所有のものでない容器又は「返還可能」と認めた設備をすみやかに賃借者に返還するが、その容器又は設備の喪失又は損傷について責任を負わない。ただし、その喪失又は損傷が委員会の過失又は不注意に起因する場合は、この限りではない。委員会による前記の返還発送は、それが届けられた委員会の施設において賃借者の車両又は商業的運送手段に対しf・o・b・で行なわれる。
c 委員会所有の容器及び設備の権原は、政府が引き続き有する。賃借者は、このような容器及び設備については、委員会所有の財産の使用者に対して一般的に適用される賃借料で委員会が決定するものを支払う責任を有する。賃借者は、委員会所有の容器及び設備を賃借者の車両又は商業的運送手段に対しf・o・b・で受領した委員会の施設にすみやかに返還する。賃借者は、委員会所有の容器又は設備の喪失又は損傷について責任を負わない。ただし、賃借者、賃借者の契約者又は代理人の過失又は不注意による場合は、この限りでない。委員会所有の容器又は設備は、物質の委員会への発送又は物質の委員会からの発送及び運送された物質の一時的な貯蔵にのみ使用される。
d 物質又は容器が委員会に発送され又は委員会所有の容器が委員会に返還され、かつ、容器、物質又は発送方法が委員会又は当該事項の管轄権を有する連邦又は州のいずれかの機関が定める健康及び安全の基準に合致しなかつたため、委員会が容器、貨車、トラックその他の輸送車両又は委員会の荷おろし場及び機械の汚染除去を行なうこととしたときはいつでも、賃借者は、確定した委員会の価格政策に従つて委員会が決定する汚染除去費用の全部について委員会に対し責任を負う。委員会に返還された容器又は設備に残留する物質は、賃借者が消耗したものとみなし、かつ、賃借者は、賃貸借協定に従つて当該物質について支払う。
第十七条 譲渡
賃借者は、委員会の明示の書面による承認を受けないで、賃貸借協定又は同協定の適用を受ける物質の発注書を譲渡することができない。
第十八条 物質の量及び物性の決定、測定値の相違の解決
a 次の規定及び方法は、賃貸借協定の適用を受ける物質で賃貸者が委員会の施設から受領し又は委員会の施設に直接返還するものに関し、物質の量及び物性の決定並びにその決定から生する測定値の相違の解決について適用する。この条の恒定の適用上、「供給者」及び「受領者」とは、場合により、委員会及び賃借者をいう。供給者は、移転された物質の量及び物性についての説明書(容器及び物質の総重量並びに容器の風袋に関する説明を含む。)をすみやかに受領者に提供する。
(1) 委員会が定めた方法により委員会の施設において採取した委員会の試料は、正式の試料であり、委員会及び賃借者が他の試料の使用、方法又は採取場所に合意しない限り、委員会、賃借者及び判定人を拘束する。
(2) 次の規定及び方法は、容器及び物質の総重量からその容器の風袋を減じて得られる移転された物質の正味重量の決定について適用する。移転された物質の正味重量は、賃借者への引渡し又は委員会による引渡しの受領に先だち、場合により、委員会及び賃借者が他の方法又は施設について合意しない限り、委員会の方法及び施設を使用して委員会の施設において決定される。物質の発注又は返還の時に書面による要請の提出により、賃借者は、賃借者の費用で、委員会が行なう容器並びに容器及び物質の計量並びに正式の試料の採取を観察する機会を与えられる。委員会は、それらの観察のための日及び場所を賃借者に通告する。移転された物質の正味重量は、計量の結果に基づき決定され、(3)及び(4)の規定には従わない。
(3) 移転された物質の正味重量が(2)の規定に従つて決定された後に、受領者が、移転された物質の他の量及び物性に関する供給者の説明を受諾しえない場合には、受領者は、その物質の受領の後又は量及び物質について供給者の説明書の受領の後のいずれかおそい時から六十日以内に供給者に対し書面による異議の通告を行なう。この異議の通告には、異議を裏付ける測定及び(又は)分析資料を含むものとする。この異議の通告が前記の六十日以内に与えられなかつた場合には、供給者の測定値は、最終的となり、かつ、両当事者を拘束する。受領者は、異議がもつぱら仕様の許容限度内の量的決定に関するものである場合には、相違が解決される前にその物質を使用し又は処分することができる。異議が物質について仕様の許容限度内のものであるかどうかに関するものである場合には、受領者は、保管のため又は健康上及び安全上の危険に対する防護のために必要な取扱いをその物質について行なうことができる。ただし、受領者がその物質を引き続き使用し又は処分する場合には、供給者の測定値は、最終的となり、かつ、両当事者を拘束する。
(4) 異議が試料の分析から得られた測定値に関するものである場合において相互の合意により解決されないときは、正式の試料を、分析のため、相互に合意される判定人に提出する。判定人の測定値は、両当事者にとつて最終的である。
(i) 物質が仕様の許容限度内にあるかどうかに関する異議の場合には、判定人の測定値が仕様の許容限度内にあるときは、受領者が判定人の費用を支払い、また、判定人の測定値が仕様の許容限度内にないときは、供給者が判定人の費用を支払う。
(ii) 仕様の許容限度内の定量的決定に関する異議の場合には、判定人の測定値から一層離れた測定値を出した当事者が判定人の費用を支払う。ただし、判定人の測定値が供給者の測定値と受領者の測定値とから等距離にある場合には、両当事者がそれぞれ判定人の費用の半額を負担する。
(iii) (4)にいう「判定人の費用」とは、判定人の経費及び付加的費用(荷造り、取扱い並びに正式の試料の判定人への運送及び判定人からの運送その他の費用を含む。)をいう。判定人が二回以上の決定のために一回の正式の試料を用いる場合には、その判定人の費用は、判定人に試料を提供する前に当事者間で相互に合意した決定により、又はそのような合意のないときは、判定人が決定するところに従つて配分する。
b 賃貸借協定の適用を受ける物質で化学的処理及び経理上の決済のための契約に基づき直接委員会に返還されるものの量及び物性は、その契約によつて合意する規定及び手続に従つて決定する。
c 賃貸借協定に基づいて発注された物質で、処理及び(又は)加工のため賃借者が雇用した合衆国の契約者に提供されるものについては、次の規定が適用される。
(1) 賃借者は、転換され又は加工され及び調整された物質に含まれる特殊核物質の量及びその同位元素含有分に関する前記の契約者の決定の証明書を前記の契約者をして委員会に対し提出させる。賃貸借協定の両当事者による別段の合意がない限り、賃借者の合衆国の契約者により転換され又は加工され及び調整された濃縮ウランの同位元素ウラン二三五の百分率は、委員会が前記の契約者に提供したウランの同位元素ウラン二三五の濃縮度と同一とみなされ、これに従つて契約者の証明書を作成する。転換され又は加工され及び調整された物質に含まれる特殊核物質の量は、合衆国の契約者が決定するもので、賃借者が受諾し、かつ、委員会により適当と認められる審査又は分析の後委員会が受諾し又は修正した量として前記の証明書に記載されるものとする。
(2) 委員会と前記の契約者との間において前記の物質の量及び物性の決定並びにその決定から生ずる測定値の相違の解決を規律する規定及び手続は、委員会と前記の契約者との間の取決めにより定める。
第十九条 使用料の調整、相違の解決
この条にいう測定に関する異議の対象となる物質に関して賃貸借協定に基づいて使用料が課される期間は、次のとおり調整される。
a 異議がもつぱら仕様の許容限度内における定量的決定に関するものである場合において、(1)委員会の施設から直接賃借者に引き渡された物質に関し、異議が判定人により賃借者に有利に解決されるときは、測定値の差によつて表わされた物質の量に対する使用料は、賃借者への物質の引渡しの日と解決の日との間は課されないものとし、(2)委員会に直接返還された物質に関し、異議が判定人により賃借者に有利に解決されるときは、測定値の差によつて表わされた物質の量に対する使用料は、発送物質の受領の日と解決の日との間は課されない。判定人の測定値が、両当事者の測定値から等距離にある場合には、測定値の差によつて表わされた物質の量の使用料は、前記の関係期間の半分の期間は課されない。
b 異議が仕様の許容限度に関するものである場合において、(1)委員会の施設から直接賃借者に引き渡された物質に関し、異議が判定人により賃借者に有利に解決されるときは、賃借者がその物質を受諾しない限り、その物質の使用料は、賃借者への物質の引渡しの日と委員会がその物質を受領する日との間は課されないものとし、(2)委員会へ直接返還される物質に関し、異議が判定人により賃借者に有利に解決するときは、その物質の使用料は、委員会がその物質を受領する日の後は課されない。
c 測定値に関する異議が相互の合意により解決される場合には、使用料の期間は、相互の合意により定める。
第二十条 特許侵害の免責
賃借者は、賃借者のために行なわれたいずれかの役務、分析又は試験の実施についての賃借者の特別の指示に従つた結果生じ、又は賃貸借協定に基づき入手した物質の賃借者の利用の結果生ずる公開の特許の侵害について、政府、委員会及び委員会を代表して行動する者に対し、その責任(それに伴う費用及び経費を含む。)を免れさせることに同意する。
第二十一条 情報の利用及び公開の権利
委員会は、賃貸借協定に基づいて賃借者のために行なわれた役務、分析又は試験の結果委員会を代表して行動する者が開発した情報又は資料を公開し及び利用する権利を有する。
第二十二条 法律、規則及び命令
賃借者は、合衆国及び州、属領又は政治的区画の適用される法律、規則及び命令に従つて、必要な許可及び免許を取得する。
第二十三条 受益を禁止される者
アメリカ合衆国議会の議員又は同国の属領代表は、同国の法律に従い、賃貸借協定のいかなる部分にも、また、それから生ずるいかなる利益にも関与し又は参加することができないものと了解される。
第二十四条 適用法
賃貸借協定は、アメリカ合衆国政府が当事者であるアメリカ合衆国における契約についてアメリカ合衆国連邦裁判所において適用される法律に従つて解釈されるものとする。
第二十五条 追加条項
賃貸借協定第二条a2の規定にかかわらず、賃貸借協定は、千九百五十六年十一月二十三日及び千九百五十七年五月八日に署名され、それぞれJA/L/1及びJA/L/2として引用されている両当事者の協定に基づく物質の賃貸借については適用されず、また、その賃貸借に影響を与えるものではない。
第二十六条 通告
a 賃貸借協定に基づく賃借者の通告は、書面により次のあて名で委員会に提出する。
コロンビア区ワシントン二〇五四五
合衆国原子力委員会国際部長
b 賃貸借協定に基づく委員会の通告は、書面により次のあて名で賃借者に提出する。
コロンビア区ワシントン二〇〇〇八
北西マサチューセッツ通り二五二〇
日本国大使館参事官
以上の証拠として、この協定の両当事者は、この協定に署名した。
千九百七十年九月二十五日にワシントンで、日本語及び英語によつて本書二通を作成した。
日本国政府のために
黒田瑞夫
アメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会のために
マイロン・B・クラッツァー
協定の適用に関する交換公文
(日本側書簡)
書簡をもつて啓上いたします。本官は、本日署名された日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の特殊核物質賃貸借協定に言及する光栄を有し、同協定に関するいくつかの事項に関して次の了解を申し述べたいと思います。
1 賃貸借協定第四条aの規定に関し、委員会が海外の賃借者に対して既に賃貸されている特殊核物質を千九百七十年十二月三十一日の後も引き続き占有し、かつ、使用することを許可することを決定する場合には、その決定は、無差別の方法で賃借者に適用されることが了解される。さらに、委員会が賃貸の継続を許可しない場合には、賃借者には、賃貸借協定に基づいて所持している物質を購入すること又は賃借物質につきその用途から規則的かつ経済的に回収して委員会に返還することを取りきめるため、千九百七十年十二月三十一日の後も妥当な期間が与えられることを十分に期待する。
2 賃貸借協定第五条e(5)、第十三条b及び第二十条の規定に言及される日本国政府の責任は、協力協定第八条1に規定された責任の範囲内のものである。
3 賃貸借協定第十三条bの規定に関し、千九百五十四年の合衆国原子力法(改正を含む。)第十一条r及び第百七十条dに修正が行なわれる場合には、賃借者及び委員会は、その修正の結果賃貸借協定の前記の条項の適用から生ずることがある問題につき相互に協議することが了解される。
4 賃貸借協定第十三条b、第二十三条及び第二十四条の規定に関し、前記の各条は、日本国政府がその同意なしでアメリカ合衆国政府の裁判所の管轄に服することを意味する目的のものではないことが了解される。ただし、この了解は、外国政府に係る訴訟に関し合衆国において行なわれている一般的規則をなんら変更する目的のものではない。
5 賃貸借協定第十三条bの規定に関し、合衆国原子力委員会法律顧問J・F・ヘネシーから日本国大使館参事官鶴見清彦にあてた千九百六十四年十月三十日付けの書簡において両当事者間で表明された了解は、この賃貸借協定にも準用されることが了解される。
貴官が前記の了解を確認されれば幸いであります。
千九百七十年九月二十五日
日本国大使館参事官 黒田瑞夫
コロンビア区ワシントン二〇五四五
原子力委員会国際部長
マイロン・B・クラッツアー殿
(米国側書簡)
書簡をもつて啓上いたします。本官は、日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の特殊核物質賃貸借協定についてのいくつかの事項に関し次の了解を述べられた千九百七十年九月二十五日付けの貴官の書簡を受領したことを確認いたします。
1 (日本側書簡1と同文)
2 (日本側書簡2と同文)
3 (日本側書簡3と同文)
4 (日本側書簡4と同文)
5 (日本側書簡5と同文)
本官は、アメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会が前記の事項に関する了解を確認したことを貴官に通報いたします。
千九百七十年九月二十五日
国際部長マイロン・B・クラッツアー
コロンビア区ワシントン二〇〇〇八
北西マサチューセッツ通り二五二〇
日本国大使館参事官 黒田瑞夫殿