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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書

[場所] 
[年月日] 1973年12月21日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書


 日本国政府及びアメリカ合衆国政府は、

 千九百七十二年二月二十四日に交換された書簡によりその第九条Aに規定する制限量が増大された千九百六十八年二月二十六日にワシントンで署名された原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(以下「協力協定」という。)を改正することを希望して、

 次のとおり協定する。

第一条

協力協定第七条を次のように改める。

第七条

A(1) 合衆国委員会のウラン濃縮のための施設の能力の利用可能性及び第九条において移転のために認められた量の範囲内で、日本国内における動力への利用のために燃料として使用する同位元素U-二三五の濃縮ウランを生産し又は濃縮することを目的として、この(1)に定めるところにより、合衆国委員会と日本国政府又はその管轄の下にある認められた者との間で契約を締結することができる。日本国政府又はその管轄の下にある認められた者は、そのような役務を必要とする場合であつて、量、濃縮度、引渡計画その他の役務の提供に関する条件を定める確定的な契約を締結する用意がある場合には、合衆国委員会の施設においてその時に利用可能であり、かつ、未配分であるウラン濃縮能力を、そのような役務の他の購入者との間における公平を基礎として利用することができることが両当事国政府により了解される。そのような役務の提供のための契約は、時宜に応じて交渉され及び締結される。

(2) 合衆国委員会は、さらに、日本国政府又はその管轄の下にある認められた者が要請する場合には、自己の選択に基づき、かつ、合意される条件により、第九条において移転のために認められた量の範囲内で、日本国内における動力への利用のために燃料として使用する同位元素U-二三五の濃縮ウランを売却することができる。

B 合衆国委員会は、日本国政府又はその管轄の下にある認められた者に対し、合意される条件により、特定の研究における利用(研究用、材料試験用又は実験用の原子炉及び原子炉実験における利用を含む。)のために燃料として使用する同位元素U-二三五の濃縮ウランの移転(特に濃縮役務契約による供給)を行なう。

D 合衆国委員会は、日本国政府又はその管轄の下にある認められた者に対し、合意されるところに従い、かつ、第九条Bの規定に従うことを条件として、原子炉及び原子炉実験における燃料としての使用に供するため、同位元素U-二三五の濃縮ウラン以外の特殊核物質を移転することができる。個個の移転の条件は、事前に合意されるものとする。

第二条

協力協定第八条を次のように改める

第八条

A この協定に基づいて供給される同位元素U-二三五の濃縮ウランは、同位元素U-二三五を二十パ-セントまで含むことができる。この協定に基づいて供給される同位元素U-二三五の濃縮ウランの一部は、合衆国委員会がそのような移転について技術的又は経済的な正当性があると認めるときは、同位元素U-二三五を二十パ-セントをこえる割合で含む資材として提供することができる。

B 第九条の規定に従うことを条件として、第六条B又は第七条の規定に基づいて日本国政府又はその管轄の下にある認められた者に移転される同位元素U-二三五の濃縮ウランの量は、この協定において認められた目的(日本国における原子炉又は原子炉実験の燃料供給及びそれらの能率的かつ継続的運転を含む。)の達成のために必要なものとして相互に合意する数量を含むことができる。

C アメリカ合衆国から受領した特殊核物質が再処理を必要とするとき、又は同国から受領した燃料資材を含む照射を受けた燃料要素が原子炉から取り出されてその形状若しくは内容が変更されるときは、その再処理又は変更は、第十一条の規定が効果的に適用されるとの両当事国政府の共同の決定に基づいて日本国の施設において、又は相互に合意するその他の施設において行なうことができる。

D この協定又は旧協定に基づいて合衆国委員会により賃貸された燃料のいずれかの部分の中に照射の過程を経た結果生産された特殊核物質は、賃借者の債権勘定となり、その生産された物質に対する権原は、Cに定める再処理の後、合衆国委員会及び賃借者が別途合意する場合を除くほか、賃借者に属する。

E この協定又は旧協定に基づいて日本国政府又はその管轄の下にある認められた者に移転された資材の使用を通じて生産された特殊核物質は、第三国又は国際機関に移転することができる。ただし、当該第三国若しくは国際機関がアメリカ合衆国政府との間に適当な協力のための協定を締結していること又は当該第三国若しくは国際機関がその特殊核物質を平和的目的のために使用することを両当事国政府が受け入れることができる保障措置の下で保証していることを条件とする。

F 日本国政府は、合衆国委員会がこの協定又は旧協定に基づいて同政府に賃貸した特殊核物質又は燃料要素に関し、その特殊核物質又は燃料要素の生産又は加工、所有、賃借並びに占有及び使用から生ずる原因のいかんを問わないすべての責任(第三者に対する責任を含む。)について、その特殊核物質又は燃料要素が合衆国委員会から日本国政府又は同政府のために行動する者に引き渡された後は、アメリカ合衆国政府に対しその責任を免れさせ、かつ、損害を与えないようにするものとする。

第三条

協力協定第九条を次のように改める。

第九条

A 日本国内における動力への利用のためこの協定又は旧協定に基づいてアメリカ合衆国から日本国に移転される同位元素U-二三五の濃縮ウランを生産するために必要な分離作業量は、総設備容量六万メガワット(電気出力)又は両当事国政府の間でそれぞれの法律上及び憲法上の手続に従つて合意される容量を有する原子炉の核燃料サイクルを維持するために必要な分離作業量をこえてはならない。

B 合衆国委員会によりこの協定に基づいて移転され又は旧協定に基づいて移転されたプルトニウムの純量は、三百六十五キログラムをこえてはならない。プルトニウムの純量は、日本国政府又はその管轄の下にある認められた者に移転された総量から、この協定に従いアメリカ合衆国に返還され又は第三国若しくは国際機関に移転されたものの量を差し引いたものとする。

第四条

協力協定第十一条B中(1)から(6)までの部分以外の部分を次のように改める。

アメリカ合衆国政府は、同政府が受け入れることができる国際原子力機関の保障措置の第十二条に規定するところによる適用がされないこととなつた場合には、この協定の他のいかなる規定にもかかわらず、保障措置に関する次の権利を有する。

第五条

協力協定第十二条を次のように改める。

第十二条

A 両当事国政府は、両当事国政府及び国際原子力機関により千九百六十八年七月十日に署名された三者間協定により、同機関が、旧協定又はこの協定に基づく保障措置の対象となる日本国政府の管轄の下にある資材、設備及び施設に第十一条の規定に適合する保障措置を適用してきたことに留意する。両当事国政府は、国際原子力機関の施設及び役務を引き続き利用することが望ましいと認めるので、両当事国政府と同機関との間の前記の三者間協定(随時行なわれることがある改正を含む。)又はこれに代わる新しい三者間協定に基づき、旧協定又はこの協定に基づく保障措置の対象となる資材、設備及び施設に同機関の保障措置が引き続き適用されることに同意する。

B いずれか一方の当事国政府が核兵器の不拡散に関する条約第三条4にいう協定又はこれと同様の協定であつて、このBにいう停止の目的のために他方の当事国政府が受け入れることができるものを国際原子力機関との間に締結する場合には、その協定が適用されている期間中、その協定を締結する当事国政府については、Aの三者間協定で定める保障措置の適用は、停止する。

C いずれの当事国政府も、この条に規定する関係保障措置協定がこの協定の終了前に廃棄され、かつ、両当事国政府が国際原子力機関の保障措置の再開にすみやかに合意しない場合には、通告によりこの協定を廃棄することができる。両当事国政府は、いずれかの当事国政府がこの協定を廃棄する措置をとる前に、その廃棄の経済的影響を慎重に検討する。アメリカ合衆国政府は、日本国政府が他の動力源を得るための取極を行なうために十分な予告を同政府に与える前に、また、日本国政府は、アメリカ合衆国政府が生産計画を調整するために十分な予告を同政府に与える前に、廃棄の権利を行使しない。いずれか一方の当事国政府によりこの協定が廃棄された場合には、アメリカ合衆国政府は、日本国政府に対し、この協定又は旧協定に基づいて供給され、かつ、まだ日本国内にあるすべての特殊核物質の返還が行なわれるように要請することができる。もつとも、アメリカ合衆国政府は、アメリカ合衆国においてその時に有効な合衆国委員会の価格表に従つて、その特殊核物質を返還する者(日本国政府を含む。)がそのように返還される特殊核物質について有する利益を補償する。

第六条

協力協定第十四条B中「三十」を「三十五」に改める。

第七条

この議定書は、それぞれの政府が、他方の政府から、この議定書の効力発生のための法律上及び憲法上のすべての要件を満たした旨の文書による通告を受領した日に効力を生じ、かつ、協力協定の効力の存続期間中効力を有する。

以上の証拠として、下名は、正当に委任を受け、この議定書に署名した。

千九百七十三年三月二十八日にワシントンで、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。

日本国政府のために

牛場信彦

アメリカ合衆国政府のために

マ-シャル・グリ-ン

ディクシィ・リ-・レイ



(アメリカ合衆国側書簡)

 書簡をもつて啓上いたします。本長官は、本日署名された原子力の非軍事的利用に関する協力のためのアメリカ合衆国政府と日本国政府との間の協定を改正する議定書に言及し、同議定書の締結のための交渉において到達した次の了解を確認する光栄を有します。

1 議定書による改正後の協力協定第七条Aの規定にかかわらず、アメリカ合衆国政府は、この書簡の附表に明記される動力用原子炉の計画における燃料供給のため、議定書による改正前の協力協定に基づく同位元素U-二三五の濃縮ウランの配分を維持する。

2 議定書が効力を生ずる前に合衆国委員会と日本国政府又はその管轄の下にある認められた者との間で締結された契約に関して、かつ、議定書が効力を生ずる日におけるそのような個個の契約の有効期間中、日本国政府又はその管轄の下にある認められた者に適用される同位元素U-二三五の濃縮ウランの価格又は濃縮役務の料金は、引渡しの時にアメリカ合衆国内の使用者について適用される価格又は料金とする。

  本長官は、日本国政府の同意があれば、この書簡及びその旨の閣下の返簡が前記の了解を記録にとどめたものとみなすことを提案いたします。

 本長官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。

千九百七十三年三月二十八日にワシントンで

国務長官に代わつて

マ-シャル・グリ-ン

日本国特命全権大使  牛場信彦閣下



附表


日本国の濃縮ウラン動力用原子炉計画


分類 原子炉 建設開始時期 必要とされるU-二三五の総量(キログラム)


建設完了

1 敦賀 (日本原子力発電株式会社) 三五七メガワット 千九百六十六年 七、三〇〇

2 福島第一号 (東京電力株式会社) 四六〇メガワット 千九百六十六年 八、七〇〇

3 美浜第一号 (関西電力株式会社) 三四〇メガワット 千九百六十六年 七、四〇〇

4 美浜第二号 (関西電力株式会社) 五〇〇メガワット 千九百六十八年 一〇、一七二


建設中

5 福島第二号 (東京電力株式会社) 七八四メガワット 千九百六十八年 一三、七八〇

6 高浜第一号 (関西電力株式会社) 八二六メガワット 千九百六十九年 一六、〇七三

7 島根第一号 (中国電力株式会社) 四六〇メガワット 千九百六十九年 八、四七七

8 福島第三号 (東京電力株式会社) 七八四メガワット 千九百七十年 一三、八〇〇

9 浜岡第一号 (中部電力株式会社) 五四〇メガワット 千九百七十年 九、五〇〇

10 玄海第一号 (九州電力株式会社) 五五九メガワット 千九百七十年 一〇、〇〇〇

11 高浜第二号 (関西電力株式会社) 八二六メガワット 千九百七十年 一四、七〇〇

12 女川第一号 (東北電力株式会社) 五二四メガワット 千九百七十一年 八、九〇〇

13 福島第五号 (東京電力株式会社) 七八四メガワット 千九百七十一年 一四、〇〇〇

14 福島第四号 (東京電力株式会社) 七八四メガワット 千九百七十二年 一三、五〇〇

15 大飯第一号 (関西電力株式会社) 一、一七五メガワット 千九百七十二年 一九、二五〇

16 美浜第三号 (関西電力株式会社) 八二六メガワット 千九百七十二年 一四、四五〇

17 伊方第一号 (四国電力株式会社) 五六六メガワット 千九百七十二年 九、六五〇

18 福島第六号 (東京電力株式会社) 一、一〇〇メガワット 千九百七十二年 一七、五〇〇

19 大飯第二号 (関西電力株式会社) 一、一七五メガワット 千九百七十二年 一七、七〇〇

20 東海第二号 (日本原子力発電株式会社) 一、一〇〇メガワット 千九百七十二年 一七、五〇〇


計画中

21 浜岡第二号 (中部電力株式会社) 八四〇メガワット 千九百七十三年 一四、五〇〇

22 福島第II第一号 (東京電力株式会社) 一、一〇〇メガワット 千九百七十三年 一七、五〇〇

23 東京第八号 (東京電力株式会社) 一、一〇〇メガワット 千九百七十三年 一三、五〇〇

24 北陸第一号 (北陸電力株式会社) 五五〇メガワット 千九百七十三年 七、三〇〇

25 九州第二号 (九州電力株式会社) 五五九メガワット 千九百七十三年 九、一〇〇

26 中部第三号 (中部電力株式会社) 一、一〇〇メガワット 千九百七十三年 一三、五〇〇

27 北海道第一号 (北海道電力株式会社) 三五〇メガワット 千九百七十三年 六〇〇

合  計 二〇、〇六九メガワット 三二八、三五二



(日本側書簡)

 書簡をもつて啓上いたします。本使は、本日署名された原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書に関して、同議定書の締結のための交渉において到達した次の了解を述べられた本日付けの閣下の書簡に言及する光栄を有します。



(アメリカ合衆国側書簡の1及び2)

 本使は、さらに、日本国政府が、前記の了解に同意し、並びに閣下の書簡及びこの返簡が前記の了解を記録にとどめたものとみなすことを確認することを閣下に通報する光栄を有します。

 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。

千九百七十三年三月二十八日にワシントンで

牛場信彦

国務長官  ウィリアム・P・ロジャ-ズ閣下