[文書名] 国際緊急援助隊の派遣に関する法律(成立時)
法律第九十三号
国際緊急援助隊の派遣に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、海外の地域、特に開発途上にある海外の地域において大規模な災害が発生し、又は正に発生しようとしている場合に、当該災害を受け、若しくは受けるおそれのある国の政府又は国際機関(以下「被災国政府等」という。)の要請に応じ、国際緊急援助活動を行う人員を構成員とする国際緊急援助隊を派遣するために必要な措置を定め、もつて国際協力の推進に寄与することを目的とする。
(国際緊急援助隊の任務)
第二条 国際緊急援助隊は、前条に規定する災害に係る次に掲げる活動(以下「国際緊急援助活動」という。)を行うことを任務とする。
一 救助活動
二 医療活動(防疫活動を含む。)
三 前二号に掲げるもののほか、災害応急対策及び災害復旧のための活動
(関係行政機関との協議)
第三条 外務大臣は、被災国政府等より国際緊急援助隊の派遣の要請があつた場合において、第一条の目的を達成するためその派遣が適当であると認めるときは、国際緊急援助隊の派遣につき協力を求めるため、被災国政府等からの当該要請の内容、災害の種類等を勘案して、別表に掲げる行政機関(次条において「関係行政機関」という。)の長及び国家公安委員会と協議を行う。
(関係行政機関等の措置)
第四条 関係行政機関の長は、前条の協議に基づき、その職員に国際緊急援助活動を行わせることができる。
2 国家公安委員会は、前条の協議に基づき、都道府県警察に対し、その職員に国際緊急援助活動を行わせるよう、指示することができる。
3 都道府県警察は、前項の指示を受けた場合には、その職員に国際緊急援助活動を行わせることができる。
4 消防庁長官は、前条の協議に基づき、市町村(東京都及び市町村の消防の一部事務組合を含む。次項において同じ。)に対し、その消防機関の職員に国際緊急援助活動を行わせるよう、要請することができる。
5 市町村は、前項の要請を受けた場合には、その消防機関の職員に国際緊急援助活動を行わせることができる。
(外務大臣の国際協力事業団に対する命令)
第五条 外務大臣は、第一条の目的を達成するため適当であると認める場合には、国際協力事業団に対し、国際緊急援助活動を前条の規定に基づき行う国若しくは地方公共団体の職員又は同事業団の職員その他の人員を国際緊急援助隊として派遣するよう、命ずることができる。
2 前項の命令は、第三条の協議が行われた場合には、当該協議に基づいて行うものとする。
(国際緊急援助隊の任務の遂行)
第六条 外務大臣は、被災国政府等と連絡を密にし、その要請等を考慮して、国際緊急援助隊の活動の調整を行う。
2 国際緊急援助隊は、被災国政府等の要請を十分に尊重して活動しなければならない。
(国際協力事業団による業務の実施)
第七条 国際緊急援助隊の派遣及びこれに必要な業務(国際緊急援助活動に必要な機材その他の物資の調達、輸送の手配等を含む。)は、国際協力事業団が行う。
附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(国際協力事業団法の一部改正)
第二条 国際協力事業団法(昭和四十九年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。
第一条中「行い、並びに」を「行い、」に改め、「実施に必要な業務を行い」の下に「、並びに開発途上地域等における大規模な災害に対する緊急援助の実施に必要な業務を行い」を加える。
第二十一条第一項第四号の次に次の一号を加える。
四の二 開発途上地域等における大規模な災害に対する緊急援助の実施に必要な次の業務を行うこと。
イ 国際緊急援助隊の派遣に関する法律(昭和六十二年法律第九十三号)に基づき、国際緊急援助隊を派遣すること。
ロ 国際緊急援助隊の派遣に関する法律に基づき、国際緊急援助活動に必要な機材その他の物資の調達、輸送の手配等を行うこと。
ハ 外務大臣の指示に基づき、イの業務に係る国際緊急援助活動その他の緊急援助のための機材その他の物資を備蓄し、又は供与すること。
第二十一条第一項第五号中「並びに第三号ニ及びホ」を「、第三号ニ及びホ並びに第四号の二」に改める。
第四十条第一項中「及び第四号」を「、第四号及び第四号の二」に改める。
第四十二条第三項中「第三号」の下に「、第四号の二」を加える。
第四十三条第一項第二号中「及び第四号に掲げる」を「、第四号及び第四号の二に掲げる」に改める。
(消防組織法の一部改正)
第三条 消防組織法(昭和二十二年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第四条中第二十四号を第二十五号とし、第二十三号を第二十四号とし、第二十二号の次に次の一号を加える。
二十三 国際緊急援助隊の派遣に関する法律(昭和六十二年法律第九十三号)に基づく国際緊急援助活動に関する事項
(海上保安庁法の一部改正)
第四条 海上保安庁法(昭和二十三年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第五条第十七号の次に次の一号を加える。
十七の二 国際緊急援助隊の派遣に関する法律(昭和六十二年法律第九十三号)に基づく国際緊急援助活動に関すること。
(警察法の一部改正)
第五条 警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。
第五条第二項第十五号を同項第十六号とし、同項第十四号中「ものの外」を「もののほか」に改め、同号を同項第十五号とし、同項中第七号から第十三号までを一号ずつ繰り下げ、第六号の次に次の一号を加える。
七 国際緊急援助活動に関すること。
第三十条第一項中「第六号まで、第八号から第十号まで及び第十三号から第十五号まで」を「第七号まで、第九号から第十一号まで及び第十四号から第十六号まで」に改める。
第三十三条第一項中「第五条第二項第九号」を「第五条第二項第十号」に改める。
{別表(第三条関係)削除}
内閣総理大臣 中曽根康弘
外務大臣 倉成正
文部大臣 塩川正十郎
厚生大臣 斉藤十朗
農林水産大臣 加藤六月
通商産業大臣 田村元
運輸大臣 橋本龍太郎
郵政大臣 唐沢俊二郎
労働大臣 平井卓志
建設大臣 天野光晴
自治大臣 葉梨信行