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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイルに関する日米共同開発」に関する内閣官房長官談話

[場所] 
[年月日] 2005年12月24日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

1 政府は、本日の安全保障会議決定及び閣議決定を経て、弾道ミサイル防衛(BMD)用能力向上型迎撃ミサイルに関する日米共同開発に着手することを決定いたしました。

2 政府としては、大量破壊兵器及び弾道ミサイルの拡散が進展している状況において、BMDシステムが弾道ミサイル攻撃に対して、我が国国民の生命・財産を守るための純粋に防御的な、かつ、他に代替手段のない唯一の手段であり、専守防衛を旨とする我が国の防衛政策にふさわしいものであることから、平成11年度から海上配備型上層システムの共同技術研究に着手し、推進してきたところです。これは、平成16年度から整備に着手したBMDシステムを対象としたものでなく、より将来的な迎撃ミサイルの能力向上を念頭においたものであり、我が国の防衛に万全を期すために推進してきたものであります。

3 「中期防衛力整備計画(平成17年度〜平成21年度)について」(平成16年12月10日安全保障会議及び閣議決定)においては、「その開発段階への移行について検討の上、必要な措置を講ずる」とされておりますが、これまで実施してきた日米共同技術研究の結果、当初の技術的課題を解決する見通しを得たところであり、現在の国際情勢等において、今後の弾道ミサイルの脅威への対処能力を確保するためには、依然として厳しい財政事情を踏まえつつ、BMD用能力向上型迎撃ミサイルに関する日米共同開発を効率的に推進することが適切であると考えております。なお、同ミサイルの配備段階への移行については、日米共同開発の成果等を踏まえ、判断することとします。

4 武器輸出三原則等との関係では、「平成17年度以降に係る防衛計画の大綱について」(平成16年12月10日安全保障会議及び閣議決定)の内閣官房長官談話において、「弾道ミサイル防衛システムに関する案件については、日米安全保障体制の効果的な運用に寄与し、我が国の安全保障に資するとの観点から、共同で開発・生産を行うこととなった場合には、厳格な管理を行う前提で武器輸出三原則等によらないこと」としております。また、武器の輸出管理については、武器輸出三原則等のよって立つ平和国家としての基本理念にかんがみ、今後とも引き続き慎重に対処するとの方針を堅持します。これらを踏まえ、本件日米共同開発において米国への供与が必要となる武器については、武器の供与のための枠組みを今後米国と調整し、厳格な管理の下に供与することとします。

5 我が国としては、BMDについて、今後とも透明性を確保しつつ国際的な認識を広げていくとともに、米国とも政策面、運用面、装備・技術面における協力を一層推進させ、我が国の防衛と大量破壊兵器及び弾道ミサイルの拡散の防止に万全を期すべく努めていく所存です。