データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日米安全保障協議委員会(「2+2」)共同発表(2006年5月1日)

[場所] ワシントンDC
[年月日] 2006年5月1日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

ライス国務長官

ラムズフェルド国防長官

麻生外務大臣

額賀防衛庁長官

 日米安全保障関係を中核とする日米同盟は、日本の安全及びアジア太平洋地域における平和と安定にとって不可欠の基礎であり、地域における米国の安全保障政策の要である。この強力なパートナーシップは、グローバルな課題に対応し、また、基本的人権、自由、民主主義及び法の支配といった両国が共有する基本的な価値を促進する上で、ますます極めて重要となってきている。この同盟関係は、地域及び世界の安全保障環境における変化に成功裡に適応してきており、引き続き、将来の課題に対応するため、より深く、より幅広く、発展していく必要がある。このパートナーシップが、強固であり続けるためには、両国の国民一般の確固とした支持を引き続き得ることにより強化されなければならない。

 本日の会合において、閣僚は、新たに発生している脅威が、世界中の国々の安全に影響を及ぼす共通の課題を生み出しているとの見解を共有し、幅広い問題に関する二国間のますます緊密な協力に留意した。閣僚は、日米同盟が、地域及び世界の平和と安全を高める上で極めて重要な役割を引き続き果たすよう、協力を拡大したいと考えていることを確認した。閣僚は、イラク及びアフガニスタンを再建し、これらの国々において民主主義を強化するとともに、より広い中東における改革の努力を支援するための、日米の努力の重要性に留意した。閣僚は、イランに対しすべての濃縮関連活動を停止し、IAEAの査察に全面的に協力するよう説得する努力において、緊密に協力することを確約するとともに、国連安全保障理事会の行動が協調してとられる必要性につき合意した。

 アジア太平洋地域も、世界の他の地域と同様、不透明性や不確実性を生み出す課題に引き続き直面している。閣僚は、六者会合の共同声明への一致したコミットメントを再確認し、北朝鮮に対して、無条件かつ即時に六者会合の場に戻ること、完全、検証可能かつ不可逆的な形で核計画を廃棄すること、また、すべての不法な活動や拡散の活動を中止することを求めた。閣僚は、外交努力を通じて地域紛争を解決することの重要性を再確認し、地域における軍事力の近代化に関してより一層の透明性を求めた。

 このような安全保障環境の中で、閣僚は、2005年2月に安全保障協議委員会が特定した共通戦略目標を実現するに当たり、緊密に協力するとのコミットメントを確認した。閣僚は、2005年10月の安全保障協議委員会文書に記されている両国間の役割・任務・能力に関する勧告に示されているように、弾道ミサイル防衛、両国間の計画検討作業、情報共有と情報協力や国際平和協力活動といった分野で、二国間の安全保障・防衛協力の実効性を強化し、改善することの必要性や、自衛隊と米軍の相互運用性を向上することの重要性を強調した。この文脈で、閣僚は、変化する地域及び世界の安全保障環境において、確固たる同盟関係を確保するとともに、様々な課題に対応するよう同盟の能力を向上するために、安全保障・防衛協力の在り方を検討する重要性を強調した。

 本日開催された安全保障協議委員会において、閣僚は、本日の同委員会文書「再編実施のための日米のロードマップ」に記されている、2005年10月の再編案の実施の詳細を承認した。閣僚は、これらの再編案の実施により、同盟関係における協力は新たな段階に入るものであり、また、地域における同盟関係の能力強化につながるものであることを認識した。今後実施される措置は、日米安全保障条約の下での日米双方のコミットメントを強化すると同時に、沖縄を含む地元の負担を軽減するとの日米双方の決意を示すものである。これは、安全保障上の同盟関係に対する国民一般の支持を高める基礎を提供するものである。閣僚は、日本国政府による地元との調整を認識し、再編案が実現可能であることを確認した。また、閣僚は、これらの再編案を完了させることが同盟関係の変革の基礎を強化するために不可欠であることを認識し、日米安全保障条約及び関連取極を遵守しつつ、この計画を速やかに、かつ、徹底して実施していくことを確約した。