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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する 日本国政府とオーストラリア政府との間の協定」の署名についての内閣官房長官談話(平野博文内閣官房長官)

[場所] 
[年月日] 2010年5月19日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

一.政府は、国際連合平和維持活動(PKO)や諸外国での災害救援活動等の分野において我が国自衛隊と豪州国防軍が協力する機会が増加している現状を踏まえ、これらの活動において物品又は役務を相互に提供するための枠組みを設定することの可能性について政府部内で検討するとともに、豪州との間で交渉を行った結果、昨日、「日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定」に署名することを閣議決定した。この協定は、自衛隊と豪州国防軍との間で、共同訓練、PKO、人道的な国際救援活動、大規模災害への対処のための活動、外国での緊急事態における自国民等の輸送又は日常的な活動のために必要な物品又は役務を相互に提供するための枠組みを定めるものであり、これらの活動における自衛隊と豪州国防軍との間の緊密な協力を促進し、もって国際連合を中心とする国際平和のための努力を始めとする国際的な協力に積極的に寄与することとなる。

二.本協定に基づく物品又は役務の相互提供は、食料、水、宿泊、輸送、燃料、被服、通信、部品又は構成品等について行われるものとされており、「武器又は弾薬」の提供は実施しないこととしているものの、提供することとしている物品又は役務の一部には、武器輸出三原則等における武器等に当たるものが含まれることとなる可能性がある。政府は、これまで武器等の輸出については武器輸出三原則等によって慎重に対処してきたところであるが、一.に述べた本協定の内容及び意義にかんがみ、本協定の下で行われる武器等の提供は武器輸出三原則等によらないこととする。この場合、本協定においては、提供先が豪州国防軍に限定され、受領側の義務として、提供される物品又は役務の国連憲章と両立しない使用の禁止及び提供側政府の事前同意なく第三者へ移転を行うことの禁止が定められていることから、これによって国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則等の基本理念は確保されることとなる。

三.なお、政府としては、今後とも、武器輸出三原則等に関しては、国際紛争等を助長することを回避するというその基本理念を維持していく考えである。