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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処について

[場所] 
[年月日] 2015年5月14日
[出典] 内閣府
[備考] 閣議決定
[全文]

 政府は、我が国の領海及び内水において、外国軍艦が国際法上の無害通航に該当しない航行を行う場合、我が国の主権を守り、国民の安全を確保するとの観点から、関係機関がより緊密に協力し、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するため、下記により対応することとする。

 なお、外国軍艦のうち、我が国の領海及び内水で潜没航行する外国潜水艦については、「我が国の領海及び内水で潜没航行する外国潜水艦への対処について」(平成8年12月24日閣議決定)により対応するものとする。

   記

1.事態の的確な把握

 我が国の領海及び内水において、外国軍艦が国際法上の無害通航に該当しない航行を行う可能性がある場合、事態を把握した海上保安庁又は防衛省は、内閣情報調査室を通じて内閣総理大臣、内閣官房長官、内閣官房副長官、内閣危機管理監及び国家安全保障局長(以下「内閣総理大臣等」という。)への報告連絡を迅速に行うとともに、速やかに内閣官房、外務省その他関係省庁にこの旨を通報し、相互に協力して更なる事態の把握に努める。

 なお、上記報告ルートに加え、海上保安庁又は防衛省による内閣総理大臣等への報告がそれぞれのルートで行われることを妨げるものではない。

2.事態への対処

 政府は、我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦に対しては、国際法に従って、我が国の領海外への退去要求等の措置を直ちに行うものとし、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するとの観点から、当該措置は、自衛隊法第82条に基づき海上における警備行動を発令し、自衛隊の部隊により行うことを基本とする。この際、防衛省、外務省及び海上保安庁は相互に緊密かつ迅速に情報共有し、調整し、及び協力するものとする。

3.迅速な閣議手続等

(1) 我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行っていると判断された外国軍艦への対処に関し、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要があり、自衛隊法第82条に規定する海上における警備行動の発令に係る内閣総理大臣の承認等のために閣議を開催する必要がある場合において、特に緊急な判断を必要とし、かつ、国務大臣全員が参集しての速やかな臨時閣議の開催が困難であるときは、内閣総理大臣の主宰により、電話等により各国務大臣の了解を得て閣議決定を行う。この場合、連絡を取ることができなかった国務大臣に対しては、事後速やかに連絡を行う。

(2) 上記(1)の命令発出に際して国家安全保障会議における審議等を行う場合には、電話等によりこれを行うことができる。

4.事案発生前からの緊密な連携等

 上記のほか、内閣官房及び関係省庁は、事案が発生する前においても連携を密にし、我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対応について認識を共有するとともに、訓練等を通じた対処能力の向上等を図り、事案が発生した場合には迅速に対応することができる態勢を整備することとする。