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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 公海上で我が国の民間船舶に対し侵害行為を行う外国船舶を自衛隊の船舶等が認知した場合における当該侵害行為への対処について

[場所] 
[年月日] 2015年5月14日
[出典] 内閣府
[備考] 閣議決定
[全文]

 政府は、自衛隊の船舶又は航空機による警戒監視等の活動中に、公海上で我が国の民間船舶(我が国の船籍を有する民間船舶をいう。)に対し、海賊行為その他我が国に対する外部からの武力攻撃に該当しない不法な暴力行為、抑留又は略奪行為(以下単に「侵害行為」という。)を行う外国船舶を認知した場合、これに対処し、我が国の主権を守り、国民の安全を確保するとの観点から、関係機関がより緊密に協力し、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するため、下記により対応することとする。

   記

1.事態の的確な把握

 当該侵害行為を行う又はその可能性のある外国船舶を認知した場合、事態を把握した防衛省は、内閣情報調査室を通じて内閣総理大臣、内閣官房長官、内閣官房副長官、内閣危機管理監及び国家安全保障局長(以下「内閣総理大臣等」という。)への報告連絡を迅速に行うとともに、速やかに内閣官房、外務省、海上保安庁その他関係省庁にこの旨を通報し、相互に協力して更なる事態の把握に努める。

 なお、上記報告ルートに加え、防衛省による内閣総理大臣等への報告がそれぞれのルートで行われることを妨げるものではない。

2.事態への対処

 当該侵害行為への対処に当たっては、内閣官房、外務省、海上保安庁、防衛省その他関係省庁は相互に緊密かつ迅速に情報共有し、調整し、及び協力するものとする。

3.迅速な閣議手続等

(1)現に行われている当該侵害行為への対応に関し、海上保安庁のみでは対応できないと認められ、次のア又はイに係る内閣総理大臣の承認等のために閣議を開催する必要がある場合において、特に緊急な判断を必要とし、かつ、国務大臣全員が参集しての速やかな臨時閣議の開催が困難であるときは、内閣総理大臣の主宰により、電話等により各国務大臣の了解を得て閣議決定を行う。この場合、連絡を取ることができなかった国務大臣に対しては、事後速やかに連絡を行う。

 ア 海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律第7条第1項に規定する海賊対処行動の発令(同条第2項ただし書に規定する場合に限る。)

 イ 自衛隊法第82条に規定する海上における警備行動の発令

(2)上記(1)ア又はイの命令発出に際して国家安全保障会議における審議等を行う場合には、電話等によりこれを行うことができる。

4.事案発生前からの緊密な連携等

 上記のほか、内閣官房及び関係省庁は、事案が発生する前においても連携を密にし、当該侵害行為への対応について認識を共有するとともに、訓練等を通じた対処能力の向上等を図り、事案が発生した場合には迅速に対応することができる態勢を整備することとする。