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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本・カンボジア友好条約(日本国とカンボディアとの間の友好条約)

[場所] 東京
[年月日] 1955年12月9日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),733−734頁.条約集34−45.
[備考] 
[全文]

 日本国及びカンボディア王国は、

 両国間の友好関係を一層強化することを希望して、

 友好条約を締結することに決定し、そのため、次のとおり全権委員を任命した。

 日本国政府

   外務大臣 重光葵

 カンボディア王国政府

   外務大臣 サムダイ・プレア ノロドム・シアヌーク ウパユヴァレア殿下

 これらの全権委員は、互にその全権委任状を示し、それが良好妥当であると認められた後、次の諸条を協定した。

第一条

 日本国及びカンボディアは、両国間の永久の平和及び永続する友好関係を維持するものとする。

第二条

 各締約国は、他方の締約国の主権、独立及び領土の保全を尊重することを約束する。 

 両締約国は、両国間に生ずることがあるいかなる紛争をも、平和的手段によつて解決することを約束する。

第三条

 各締約国の外交代表及び領事官は、他方の締約国の領域内において、最恵国の外交代表及び領事官が同領域内で受けるすべての特権及び免除を相互主義に基いて、享有するものとする。

第四条

 両締約国は、両国間の経済的、財政的、技術的及び文化的協力関係を強化することを目的とする諸協定を締結するため、交渉を開始するものとする。

 両締約国は、科学及び産業の分野における知識及び技術上の経験の交換を容易にするため努力するものとする。

第五条

 各締約国は、自国の領域へ移住することを希望する他方の締約国の国民に対し、その移住が両国の共通の利益をもたらすと認めたときは、できる限りの便宜を供与することに努力するものとする。

第六条

 この条約は、各締約国の憲法上の手続に従つて批准されるものとし、プノンペンで行われるべき批准書の交換の日の後一箇月で効力を生ずる。この条約は、いずれか一方の締約国が一年の予告をもつて廃棄しない限り効力を有するものとする。

 以上の証拠として、各全権委員は、この条約に署名調印した。

 千九百五十五年十二月九日に東京で、日本語、カンボディア語及びフランス語により本書二通を作成した。解釈に相違があるときは、フランス語の本書による。

日本国のために

重光葵

カンボディアのために

N・シアヌーク