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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国とヴィエトナム共和国との間の借款に関する協定第三条1に関する交換公文

[場所] サイゴン
[年月日] 1959年5月13日
[出典] 外交青書4号,279−280頁.
[備考] 
[全文]

(日本側書簡)

 書簡をもつて啓上いたします。本全権委員は、本日署名された日本国とヴィエトナム共和国との間の借款に関する協定の第三条1に言及する光栄を有します。日本国政府は、両政府が次のとおり合意することを提案いたします。

 両政府は、日本輸出入銀行とヴィエトナム共和国政府又はその所有し、若しくは支配する法人との間で取りきめられることあるべき契約が、次の各項を基礎とする諸条件を含むよう、配慮するものとする。

1 利率は、国際復興開発銀行が課する利息の通常の水準に基いて決定される。

2 貸付は、十年の期間の間に償還される。償還は、三年の経過の後開始され、それに続く七年の間に完了される。

3 元本の償還及び利息の支払は、日本国の外国為替及び外国貿易管理法並びにこれに基く命令及び規則に従つて円貨で行われる。この円貨は、ヴィエトナム共和国政府又はその所有し、若しくは支配する法人がアメリカ合衆国ドルを日本国における外国為替公認銀行に売却して取得されるものとする。

4 ヴィエトナム共和国政府が所有し、又は支配する法人が行う元本の償還及び利息の支払は、ヴィエトナム共和国政府が保証を行う。

 本全権委員は、さらに、この書簡及び前記の提案の貴国政府による受諾を確認される閣下の返簡を、借款に関する協定の効力発生の日に効力を生ずる両政府間の合意を構成するものとみなすことを提案する光栄を有します。

 本全権委員は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。

 千九百五十九年五月十三日にサイゴンで

日本国全権委員 藤山愛一郎

ヴィエトナム共和国全権委員 ヴ・ヴァン・マオ閣下

(ヴィエトナム側書簡)

 書簡をもつて、啓上いたします。本全権委員は、本日付の閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。

(日本側書簡)

 本全権委員は、本国政府に代つて、閣下の書簡に述べられた提案を受諾し、かつ、前記の書簡及びこの書簡を、借款に関する協定の効力発生の日に効力を生ずる両政府間の合意を構成するものとみなすことに同意する光栄を有します。

 本全権委員は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向つて敬意を表します。

千九百五十九年五月十三日にサイゴンで

ヴィエトナム共和国全権委員

ヴ・ヴァン・マオ

日本国全権委員 藤山愛一郎閣下