データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国とフィリピン共和国との間の貿易に関する合意された議事録

[場所] 東京
[年月日] 1960年12月9日
[出典] 外交青書5号,275頁.
[備考] 訳文
[全文]

 日本国政府(以下「日本国政府」という。)及びフィリピン共和国政府(以下「フィリピン政府」という。)の代表者の間における両国間の友好通商航海条約(以下「条約」という。)の署名に至る交渉において、日本国政府及びフィリピン政府は、条約の実施に関連して、それぞれの憲法上の権能の範囲内で実施されるべき次の了解に到達した。

1 両政府は、近年、通常の市場経路を通じ、かつ、商業的条件で、日本国とフィリピン共和国との間に高水準の貿易が行なわれていることを了知する。両政府は、将来においてもこのような高水準の貿易が維持され、かつ、さらに拡大されることを期待する。

2 条約第三条4及び議定書10(2)の規定を留保して、

 (1) 日本国政府は、フィリピン共和国に対し、糖みつ、含みつ糖、分みつ糖、葉たばこ、葉巻、バナナ及びパイナップルの外国為替割当総額について競争する機会を与えるものとする。

 (2) 日本国政府は、日本国の全般的な貿易及び外国為替に関する政策に従うことを条件として、フィリピン共和国が日本国への輸出につき相当な関心を有する産品を自動承認制品目表に掲げておくものとする。

3 両政府は、第一次産品輸出国が直面する国際商品貿易の障害及び不安定性並びにこれらの困難が前記の国の経済的安定に及ぼす影響を考慮して、第一次産品の国際貿易に一層大きな安定性と予見可能性とを生み出すための方法を見出す緊急の必要があることに同意する。したがって、両政府は、いずれか一方の国に直接利害関係のある第一次産品の国際貿易の状況を改善することを目的とする国際的な措置に対し、好意的考慮を払うものとする。

千九百六十年十二月九日に東京で

日本国のために

湯川盛夫

フィリピン共和国のために

J・B・ラウレル・ジュニア