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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定のある規定に代わる協定

[場所] バンコク
[年月日] 1962年1月31日
[出典] 外交青書6号,22−24頁.
[備考] 
[全文]

 日本国及びタイは、

 「特別円問題」に関連するすべての問題を解決し、両国間の伝統的友好関係及び経済協力関係を強化するため、千九百五十五年七月九日にバンコックで署名された特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定第二条及び第四条の規定に代わる新たな協定を締結することを希望して、

 次のとおり協定した。

第一条

 日本国政府は、次のとおり、九十六億円(九、六〇〇、〇〇〇、〇〇〇円)の額を日本国の通貨で八回の年賦払によりタイ政府に対し支払うものとする。

 千九百六十二年から千九百六十八年まで毎年の五月に各十億円(一、〇〇〇、〇〇〇、〇〇〇円)

 千九百六十九年五月に二十六億円(二、六〇〇、〇〇〇、〇〇〇円)

第二条

1 タイ政府は、日本国の法律に基づき外国為替公認銀行として認可されたいずれかの日本国及びタイの銀行と取極を行ない(以下「指定銀行」という。)、自己の名義で又はその財務代理人の名義で特別勘定を開設するものとする。この取極は、第一条に定める日本国政府からの支払の受領及び第四条1にいう契約の当事者に対する支払を指定銀行に授権し、並びにその他の銀行業務に関する事項を定めるものとし、その内容は、この協定及び日本国の関係法令の規定に合致するものであるかどうかについて確認を受けるため、指定銀行により日本国政府に提出されるものとする。

2 第一条に定める日本国政府のタイ政府に対する支払は、1にいう特別勘定への払込みによって行なわれるものとする。特別勘定は、第四条の規定に従い確認された調達契約により生ずる経費の支払に充てるためにのみ使用されるものとする。

第三条

1 第一条の規定に従って支払われる金額は、資本財及び設備を主とする日本国の生産物並びに日本国民及び日本国民の支配する日本国の法人の役務のタイ政府による調達により生ずる経費の支払のために使用されるものとする。

2 1にいう調達は、日本国の関係法令に定める手続及び方式で通常の商業、貿易及び役務の取引に適用されるもの以外の制限又は規制を受けないものとする。

第四条

1 タイ政府は、この協定に基づいて生産物及び役務の調達を行なうため、日本国民又は日本国民の支配する日本国の法人と日本円で契約を締結するものとする。

2 1にいう契約(これらの契約の変更を含む。)は、この協定の規定に合致するものでなければならない。これらの契約は、この基準に合致するものであるかどうかについて確認を受けるため、指定銀行により日本国政府に提出されるものとする。

第五条

 両政府は、必要なときは、この協定実施のための追加の手続細目を取りきめるため、相互に緊密に協議するものとする。

第六条

 千九百五十五年七月九日にバンコックで署名された特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定第二条及び第四条の規定は、この協定が効力を生ずる日に廃棄される。

第七条

 この協定は、日本国及びタイによりそれぞれの国内法上の手続に従って承認されなければならない。この協定は、その承認を通知する公文の交換の日に効力を生ずる。

 以上の証拠として、下名は、それぞれの政府から正当に委任を受け、この協定に署名した。

千九百六十二年一月三十一日にバンコックで、英語により本書二通を作成した。

日本国のために

大江晃

タイのために

T・コーマン