[文書名] 日本国とビルマ連邦との間の経済及び技術協力に関する協定,協定の実施細目に関する交換公文
(日本側書簡)
(訳文)
書簡をもつて啓上いたします。本全権委員は、本日署名された日本国とビルマ連邦との間の経済及び技術協力に関する協定に言及する光栄を有します。日本国政府は、両政府が協定第九条の規定に基づいて次のとおり合意することを提案いたします。
I 実施計画
協定第二条2の実施計画の案は、両政府間でその実施計画を当該年度の開始に先だつて合意しうるように適当な時間的余裕をもつて、ビルマ連邦政府により毎年提出されるものとする。
II 契約及び認証契約
1 協定第四条1の契約(以下「契約」という。)は、日本円で商業的条件により締結されるものとする。
2 協定第四条2の認証契約の実施に関する責任は、協定第六条の規定に基づいて日本国に設置されるビルマ連邦の使節団(以下「使節団」という。)及び協定第四条1の日本国の国民又は日本国の法人(以下「日本国の法人」という。)で認証契約の当事者であるもののみが負うものとする。
3 認証契約であつて、輸送、保険又は検査のような附随的な役務の供与を必要とし、かつ、そのための支払が協定に従つて行なわれることとなつているものは、すべて、これらの役務が日本国民又は日本国の法人により行なわれるべき旨の規定を含まなければならない。
すべての認証契約は、その認証契約から又はこれに関連して生ずる紛争が、いずれか一方の契約当事者の要請により、両政府間で行なわれることがある取極に従つて商事仲裁委員会又は仲裁委員会に解決のため付託される旨の規定を含まなければならない。両政府は、正当になされたすべての仲裁判断を最終的なものとし、かつ、執行することができるようにするため必要な措置を執るものとする。
III 支払
1 使節団は、日本国の法律に基づき外国為替公認銀行として認可され、かつ、日本国民によつて支配されている日本国の銀行(以下「銀行」という。)と取極を行ない、自己の名義で特別勘定を開設して銀行に日本国政府からの支払の受領等を授権し、及び日本国政府に対しその取極の内容を通告するものとする。特別勘定は、利子を附さないものとする。
2 使節団は、認証契約の規定に基づいて支払の義務が生ずる期日前に十分な余裕をもつて、支払金額、支払が行なわれるべき銀行名及び使節団が関係契約者に支払を行なうべき期日を記載した支払請求書を日本国政府に送付するものとする。
3 日本国政府は、支払請求書を受領したときは、使節団が関係契約者に支払を行なうべき期日前に、銀行に請求金額を支払うものとする。
4 日本国政府は、また、協定第四条3の規定に従つて両政府間で行なう合意により、使節団の経費の支払、ビルマ人の技術者及び学生の日本国における教育及び訓練に関する経費の支払並びに両政府間で合意する他の目的のための経費の支払を、3に定めると同一の方法で、行なうものとする。
5 3及び4の規定に基づいて日本国政府が支払う金額は、特別勘定に貸記するものとし、他のいかなる資金も、特別勘定に貸記されないものとする。特別勘定は、2及び4の目的のためにのみ借記を行なうものとする。
6 使節団が特別勘定に貸記された資金の全部又は一部を認証契約の解除その他によつて引き出さなかった場合には、未払金額は、両政府間の協議の後に、2及び4の目的のための支払に充てられるものとする。
7 特別勘定から支払われた金額の全部又は一部が使節団に返還された場合には、その返還された金額は、5の規定にかかわらず、特別勘定に貸記するものとする。その返還された金額は、両政府間の協議の後に、2及び4の目的のための支払に充てられるものとする。
8 協定第五条2の規定の適用上、「支払を行なつた時」とは、支払が日本国政府により銀行に対して行なわれた時をいう。
9 日本国がビルマ連邦に供与したものとみなされる生産物及び役務の額の決定にあたつては、協定第五条2の円で支払われた金額から換算される合衆国ドルの等価額が、計算の基礎となるものとする。前記の換算に用いられる為替相場は、日本国政府が正式に決定しかつ国際通貨基金が同意した日本円の合衆国ドルに対する平価で次に掲げる日に適用されているものとする。
(a) 認証契約に関する支払の場合には、日本国政府が当該契約を認証した日
(b) その他の場合には、各場合につき両政府間で合意する日。ただし、合意した日がないときは、日本国政府が支払請求書を受領した日とする。
IV 使節団
ビルマ連邦政府は、契約の締結及び認証契約の実施に関して使節団のために及びこれに代わつて行動する権限を与えられる使節団の長、法務部長その他の職員及び協定第六条2の規定に従つて設置される事務所の長の氏名を日本国政府に随時通報するものとし、日本国政府は、その氏名を日本国の官報で公示するものとする。前記の使節団及び事務所の長並びに使節団の法務部長その他の職員の権限は、日本国の官報で別段の公示がされるまでの間は、継続しているものとみなされる。
V 合同委員会
1 両政府は、それぞれ、合同委員会のために代表一人及び代表代理数人を任命する。
2 合同委員会は、いずれか一方の政府の代表の要請によつて会合するものとする。
3 合同委員会の任務は、次の事項に関する両政府間の協議及びそれぞれの政府への勧告とする。
(a) 協定第一条の生産物及び役務のビルマ連邦への供与に関するビルマ連邦政府と日本国民又は日本国の法人との間の契約の認証に関する手続
(b) 協定第四条2の契約の日本国政府による認証の基準
(c) 生産物及び役務のビルマ連邦への供与に関する協定第五条1の支払の手続
(d) 日本国が協定第二条2の生産物及び役務を供与するにあたつて従う実施計画の作成及び変更に関する問題
(e) 協定第一条の日本国民の役務に対する報酬の表の随時の作成
(f) 協定の実施の進行(協定第一条の規定に基づく生産物及び役務の供与のための日本国政府による支出金の総額の算定を含む。)の随時の検討
(g) 協定第十条に規定する紛争の解決に関する問題
(h) 協定の実施に関するその他の問題で両当事国が合意により合同委員会に付託するもの
本全権委員は、さらに、この書簡及び前記の提案の貴国政府による受諾を確認される閣下の返簡を、日本国とビルマ連邦との間の経済及び技術協力に関する協定第九条の規定に基づく同協定の実施に関する細目についての両政府間の合意を構成するものとみなすことを、同協定のその他の細目は両政府の当局の間で合意するとの了解の下に、提案する光栄を有します。
本全権委員は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて敬意を表します。
千九百六十三年三月二十九日に
ラングーンで
日本国全権委員 飯塚定輔
ビルマ連邦全権委員 ティ・ハン閣下
(ビルマ側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本全権委員は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本全権委員は、閣下の書簡に述べられた提案に本国政府に代わつて同意し、さらに、閣下の書簡及びこの書簡をビルマ連邦と日本国との間の経済及び技術協力に関する協定の実施に関する細目についての両政府間の合意を構成するものとみなすことに同意する光栄を有します。
本全権委員は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
千九百六十三年三月二十九日に
ラングーンで
ビルマ連邦全権委員 ティ・ハン
日本国全権委員 飯塚定輔閣下