データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本・ビルマ共同コミュニケ(佐藤首相とネ・ウイン議長の共同コミュニケ)

[場所] 
[年月日] 1967年9月22日
[出典] 佐藤内閣総理大臣演説集,154−155頁.
[備考] 抜萃
[全文]

一、佐藤総理大臣は、ビルマ滞在中、ネ・ウイン革命委員会議長と会談し、現下の国際情勢、なかんずくアジア情勢および日緬両国が共通の関心を有するその他の諸問題について率直な意見の交換を行なつた。会談は極めて友好的な雰囲気のうちに行なわれ、両国の相互理解を深める上に大きく寄与した。

一、議長および総理大臣は、各国が平等、相互の立場の尊重および相互の内政不干渉を基礎として平和的かつ友好的な関係を維持することが何よりも重要であることを再確認するとともに、すべての国がこの基本的原則を遵守することが国際間の平和維持に不可欠であるとの確固たる信念を表明した。

一、議長および総理大臣は東南アジアにおける最近の情勢をふり返り、またその将来について討議した。両者はこの地域内の諸国が独立を擁護し国家の尊厳を維持せんとする共通の利益によつて鼓舞されていることを認めた。両者はこの共通の利益に基づく決意が必ずや東南アジアの将来に多大の影響を及ぼすであろうとの信念を明らかにした。

一、議長および総理大臣は、また、ベトナムにおける情勢について深い関心を表明し、すべての当事者が同国における恒久的平和を確保する公正な解決策の探求のために、一層の努力を払うよう希望した。

一、議長および総理大臣は開発途上国において経済開発を促進し、一般的福祉を増進する責務に注意を払うことの緊要性を考慮した。両者はこの責務が成功裡に達成されるに従い、国際間の平和と安全を維持するための条件がさらに強化されるであろうとの確信を表明した。両者は開発途上国における生活水準を向上させる第一義的な責任が、当該政府および国民に存する一方、国際間の協力がこの目的のために大きな助けとなりうるとの見解を表明した。

一、議長および総理大臣は今次の佐藤総理大臣のビルマ訪問が、両国間の友好関係と協力の一層の発展に寄与したことに満足の意を表するとともに、今次訪問によつて、両者の個人的接触を新たにしえたことを喜び、今後とも、かかる接触を強化したいとの希望を表明した。