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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] インドネシアに対する新規援助の供与および対日延払い債務に対する再融資について

[場所] 
[年月日] 1968年7月2日
[出典] 外交青書13号,77−78頁.
[備考] 記事資料
[全文]

 インドネシアの経済の安定と復興に協力するため、わが国がインドネシアに対して行なう1968年分新規援助およびインドネシアの対日延払債務に対する再融資についての交渉が6月19日より東京において行なわれていたが、このほど両国政府間で了解に達したので、それを確認する書簡が7月2日東京において三木外務大臣に代わる上田経済協力局長と在京インドネシア・ルクミト大使(Maj. Gen. Roekmito Hendraningrat)との間で交換された。

 今回の了解の内容は次のとおりである。

1. (イ)海外経済協力基金から商品援助借款234億円(6、500万ドル相当)が供与される。条件は、7年据置後13年払い、年利3パーセント。インドネシア経済の安定復興のために必要とされる生産物および役務のわが国からの調達のために使用される。

   (ロ)同じく海外経済協力基金から36億円(1、000万ドル相当)のプロジェクト援助借款が供与される。条件は、7年据置後13年払い、年利3.5パーセント。案件名は後記のとおりであるが、いわゆる3Kダム、タンジュンプリオク火力発電所およびジャワ島マイクロ網等計8件が暫定的にとりきめられているが、今後の調査をまって確定され、借款はそれらに必要な生産物および役務のわが国からの調達のために使用される。

   (ハ)1967年の国際穀物協定の食糧援助規約に留意し、日本国政府から500万ドル相当の援助が供与される。ただし上記規約の発効を条件とし、その内容および方式は両国間の別途の取り決めの対象となる。

   (ニ)なおプロジェクト援助については、わが国政府としては、上記(ロ)の1、000万ドルの援助を含み、総額4、000万ドルの範囲内で基金からの借款供与が実現するようインドネシア政府に協力することとなった。但し、1、000万ドルをこえる部分については改めて両国政府間の取り決めが必要である。

2. さらに両国政府は、借款の実施状況を随時検討し、借款の円滑、かつ、効果的な使用を確保するために必要な措置をとるため相互に協議することに合意した。

3. 対日延払債務に対する再融資については、インドネシアの国際収支上の負担の軽減を目的として昨年10月のパリ会議の了解に従い、同国の対日延払債務のうち、1968年中に支払期限の到来する債務に対する再融資のため日本輸出入銀行が約25億2、000万円(700万ドル相当)の借款を供与することになる。条件は3年据置後8年払い、年利4パーセント。