[文書名] ラオス問題に関するプーマ首相と佐藤栄作首相往復書簡,佐藤首相の返書
一九六九年七月二十八日
殿下
六月十九日付の殿下の書簡を多大の関心をもって拝読させていただきました。貴国と極めて緊密な関係を有するアジアの一国としてのわが国としましても、貴国において戦闘が続いており、最近戦闘の激化の兆候さえ見えていることに多大の懸念を有するとともに、一日も早く平和が回復されることを強く希望するものであります。この点私は上記書簡に示された殿下の立場を十分理解するとともに、きびしい内外の環境の中で紛争の解決のため日夜努力されておられる殿下に深い敬意を表する次第であります。
わが国としても、ラオス問題の解決については、一九六二年のジュネーヴ協定への復帰によるラオスの独立、領土保全及び中立の確保がこの地域の安定のために最も望ましいと考えております。ラオス問題は最終的にはベトナム問題とともに解決することが現実的でありましょうが、このためにも将来出来るだけ早い機会にラオス問題をめぐる当事者間の話し合いが開始されることが望ましいと考えております。
わが国は、その果し得る役割に自ら限界があるとしても、アジアの平和と安定を希求する立場から、この際、殿下の御要望に出来るだけ応ずべく、ラオス問題につき当事者間の話し合いによる和平が一日も早く到来するよう広く関係国に対し、適当なチャネルを通じ呼びかけることとしたいと考えております。
殿下の御健闘を祈ります。
敬具
日本国総理大臣
佐藤栄作