データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ベトナムの復興発展のための贈与に関する記事資料,ベトナム社会主義共和国の経済の復興と発展のための贈与に関する日本国政府とベトナム社会主義共和国政府との間の書簡の交換について

[場所] 
[年月日] 1976年9月14日
[出典] 日本外交主要文書・年表(3),866頁.外務省公表集・昭和51年,148−9頁.
[備考] 
[全文]

一、わが国は、昭和四十八年九月二十一日、旧ベトナム民主共和国と国交を樹立して以来、経済協力等、両国間の諸問題につき話し合いを行い、同国政府よりわが国政府に対し同国の経済の復興と発展のための無償援助を要請越したのに応じ、昨年十月わが方は同国政府に対し昭和五十年度分として八十五億円にのぼる無償援助を供与した。その後同国政府は、引き続き昭和五十一年度における無償援助についても協力方要請越したところ、わが方としては、本件無償援助がベトナムを含むインドシナ地域の復興と安定に資することとなるとの観点より、同国に対し応分の協力を行うことが望ましいものと認め、本年四月以降、本件援助の実施につき当初同国政府と、南北ベトナム統一後はベトナム社会主義共和国政府との間で交渉を行ってきた結果、この程右取決め案につき合意をみたので、九月十四日に東京においてわが方中江アジア局長と先方グエン・ザップ(Nguyen Giap)駐日大使との間でこのための書簡の交換が行われた。

二、この書簡の交換によって、日本国政府はベトナム社会主義共和国政府に対し、五十億円を限度とする額の贈与を行うこととなるが、この贈与は、ベトナム社会主義共和国の復興及び発展に資するためセメント工場建設に必要な各種の設備及び機材をベトナム社会主義共和国政府が日本国から購入するために使用される。

三、なお、本件書簡交換は、ベトナム社会主義共和国が本年七月成立して以来わが国との間に合意された最初の取決めであり、同国との友好関係強化に役立つことを期待している。